クリスマスの定番曲の思い出

 師走に入り、街はクリスマスカラー一色です。この季節になるとよく耳にするのが、山下達郎氏の「クリスマス・イブ」。この曲を聴くと必ず思い出すことがあります。それはイタリアンのマダムの話。バブル期の人気レストラン。24日のディナータイムは、2回転3回転は当たり前でした。そんな中、若い女性が来ない相手を待っていたという話です。結局彼女は、何も食べないで二人分の食事代を支払って次の予約客のために席を空けたと言います。“きっと君は来ない”このフレーズが、見てもいない場景を思い浮かばせ、切なくなるのです。
 日本人は、几帳面だからでしょう。日にちが決まっている行事は、その日にしないと気が済まないところがあります。新型コロナウイルス禍の初詣。神社は人混みを避けるため、12月にお参りしてもご利益は一緒とアピールしていましたが、さすがに日本人には通用しなかったようです。クリスマスイベントも、前後含めて1週間程度の余裕があれば、彼女は傷つかずに済んだかもしれないし、ティファニーのオープンハートはもっと売れたかもしれません。
 一方、ホームパーティは25日まで頻繁に行われます。ママ友と、お習い事の友人と、家族と。料理を持ち寄ったり、デリバリーをしたりして複数回クリスマスパーティに参加する女性たちは多く、あるスーパーマーケットのコンサルティングをしていたとき、「カウントダウン・クリスマス」をコンセプトに、12月各週の販促企画を立てたりもしました。クリスマスほど、人によって、年齢や状況によって価値やとらえ方が変わり、楽しみ方が多様化するイベントはほかにはないと思います。
 「クリスマス・イブ」でもうひとつ思い出すのは、気象予報士の“雪は雨になるが、雨は雪へとは変わらない”というコメント。標高が高い場所で雪だったものが、地表近くでは雨に変わることがあっても逆はないというもの。確かに。でもそういう意味じゃないんだよなぁ。