拡大する「フェムテック市場」

 [2026年 食市場のトレンド]講演で挙げたキーワードに、「リカバリー市場」があります。睡眠の質をよくする飲料、一時的な疲労感を除去してくれる食品に加え、疲れを取ってくれるウェア、睡眠の質を測ってくれるマットレス、コリをほぐしてくれるマッサージチェアなどなど、市場には実にさまざまな商品が登場しています。日本リカバリー協会は、25年のリカバリー市場は推計約7兆6000億円と24年比で27%伸長。30年は約14.3兆円、35年は21.1兆円に成長すると予測しています。
 商品だけではありません。ターゲットも広がりを見せています。その中のひとつが、フェムテック市場です。「フェムテック」とは、女性(female/フィーメイル)と技術(technology/テクノロジー)を組み合わせた造語で、生理や妊娠・出産、更年期障害、性の問題などの悩みをテクノロジーやアイデアで解決し、女性の生活を応援する商品やサービスのことです。25年の市場規模は前年比5.2%増の61億円。「健康管理支援サービス」「簡易検査サービス」、オンラインでの診察や相談、ピルを処方する「オンライン医療ソリューション」などなど、幅広い商品やサービスが用意されています。対象は、働く世代だけでなく、小中学生から更年期を迎える中高齢者まで。幅広くフォローするサービスも誕生しています。
 「フェムテック」を初めてキーワードに挙げたのは、22年。それから4年で認知度が高まり、市場は急速に拡大しました。女性の活躍推進や働き方改革に伴い、生理・妊娠・更年期など女性特有の健康課題による経済損失が可視化された結果です。
 女性の性にまつわることが秘するべきことではなくなっている傾向は喜ばしいことですが、女性同士といえども、思いやりの態度や言葉はときとしてハラスメントにもなりかねないのが世情です。市場の理解が“生きやすさ”にスムーズに繋がることの難しさと、それが自然に当たり前になるまでにかかる時間は、市場拡大ほど容易ではなく、速くはないのかもしれません。