イタリアでは最近、調理済みの惣菜と作り立ての料理を提供する“惣菜&トラットリア”が飲食店の新業態として注目され、増えているそう。惣菜を温めて提供する店はあったものの、それにプラスして注文を受けてから調理するメニューも揃えるのが、人気のスタイルなのだとか。
この情報を聞いてピンと来たのは“小料理屋”。料理上手の女将が切り盛りしているイメージの。カウンターに座った目線の高さに大皿に盛られた惣菜が並べられていて、まずはその中から何品かを注文するのがお作法。料理によってはそのまま小皿に盛り直して、内いくつかは温め直して、またいくつかは最後の仕上げ調理をして。提供の仕方も、料理に合わせて細やかです。惣菜は、家庭の常備菜あり、ちょっと手の込んだ料理あり、はたまた女将の故郷の味あり。「全部食べたい」と思わせる大皿が並んだカウンターは、これから始まる幸せ時間を約束しています。
情報で紹介されているのは、イタリアのナポリ料理店「CreDa Gastronomia Popolare(クレダガストロノミアポポラーレ、みんなの惣菜店)」。人気メニューのひとつが、2人の星付きシェフ、それぞれの祖母の想い出の料理から生まれたトマトソースの“ノンナマリア(マリアおばあさん)のミートボール”とか。やっぱりおふくろの味は、洋の東西を問わず人気のようです。
イタリアの“惣菜&トラットリア”も日本の“小料理屋”も、並べられた料理を見て選ぶワクワク感、メニューの文字情報から料理を想像し、でき立てを待つワクワク感、ふたつを同時に味わえます。
今、訪日外国人客に人気なのは、ファミレスのようにメニューブックに料理の画像がある飲食店だとか。どんな料理なのかがひと目で分かるプレゼンテーションは、日本ならではのよう。ならば、目の前に日本料理が並ぶリーズナブルな小料理屋は、絶対に人気になるはず。“スナック人気の次は小料理屋!”と言いたいところですが、「小料理」の提灯、すっかり見られなくなりましたね。