猛暑と規格外野菜

 猛暑日が続くと思えば、一転して豪雨。被災した方々への思いは尽きることがありません。異常気象は、被災地のみの話ではなく、必ずや野菜の品質低下や生育不良による価格の高騰を招きます。
 天候不順による農作物の被害とその対策。“食のトレンド情報”では、2015年[訳アリ・規格外食品]というキーワードで挙がっています。猛暑や大雨の影響で野菜や果物が不足し価格が上昇するケースが増え、割安な規格外品へのニーズが高まりました。有機農産物を宅配する「大地を守る会」(当時)は“規格外野菜・果物”のシリーズを新たに売り出し、「オイシックス」(当時)は形状が規格外の“ふぞろい野菜”を通常商品より3割安く販売。スーパーや生協でも[訳アリ・規格外食品]の取り扱いが定着し、生活者のニーズを掴みました。天候に関わらず当時、生産量の2、3割程度が規格外野菜・果物になるとされ、農家は自ら消費するほか、食品や飲料など加工用の原料に回したり、廃棄したりすることが多かったのです。が、ちょうどこの頃から、地域の直売所や「道の駅」などでそれらの野菜を割安に販売する事例が増え、さらには中高年層のネット通販利用が大きく伸びる中、世帯年収が少ない層に売れたのが、大きく曲がったきゅうりや傷が付いたりんご、割れた煎餅、チーズケーキの切れ端といった“訳アリ商品”。流通に乗せてすらもらえなかった野菜や果物、加工食品が一気に注目されました。
 24年には、オイシックス・ラ・大地(当時)が高温の影響で4倍の重さに育った規格外パプリカを“横綱パプリカ”、着色にばらつきが出てしまったパプリカを“カメレオンパプリカ”と銘打ち、“猛暑順応ベジ”として発売。種苗メーカーは、暑さに強い野菜、短期間で生育する性質で猛暑や台風の時期を避けて栽培することができる野菜などを次々に開発しました。一方米は、高温耐性品種の作付割合がこの10年で10%増えています。
 機を逸したかのように思える地球規模での温暖化。他方、猛暑にいち早く対応しようとする提供者の知恵と生活者の柔軟さ。まさに真夏の雑草のごときしなやかな力強さを目の当たりにしている近年の夏です。