季節感と体感を両立させた提案を

 6月、梅雨入り宣言早々。いきなりの真夏日続出。食市場には、計画変更が求められています。先に先に、選択肢を増やして対応力を強靭にすることの重要性を、今夏で再認識されたと思います。もちろん、旬を大切にする生活者に向けて暦を重視することは間違っていません。が、暦のように地球環境は動いてはくれません。だからの、先手必勝です。
 「2025年食市場のトレンド」に「地球沸騰化」と「冷活・辛活」を挙げました。これは、24年に続き、25年の夏も猛暑になると確信し挙げたキーワードです。でも今の食市場を見ると、一部企業を除き「冷活」のスタートが遅いと感じます。もっと早くから展開していれば、生活者の急激なニーズの変化にも即対応できたのではないかと。今回の「himeko’s VIEW」のテーマ「夏を乗り切る“汁なし麺”と冷たい“スープご飯”」で取り上げた商品はいち早く動いた商品。おそらく多々ある開発ストックのひとつでしょう。
 私は、30年近く、その年の食市場のトレンドを分析し、キーワードを付けて講演をしています。それゆえ、かもしれない程度の信憑性ですが、予測できることもあります。そして、過去にはうねりのように起こる生活者ニーズのスピード感も経験しています。食市場に大きな影響を及ぼす要因は、経済的環境、社会情勢などいろいろありますが、近年は環境問題がかなり大きくなっています。
  エアコンが効いた室内で提案者が考えることと、暑さに耐えて食の調達をせざるを得ない生活者の体感には大きな隔たりがあります。春と秋を日本で最も美しい季節と尊び、堪能したい生活者のニーズが強いことは事実です。それに応えながら、四季が二季になりつつある現実を踏まえた、かなりエッジが利いた提案が必要なのではと考えます。