先週、“オクシブ”でジビエをいただきました。あくまでも私の実体験ですが、30年前、ジビエといえば、フレンチレストランで出される山鳩や雉、野うさぎが中心でした。またイタリアンレストランではエゾジカなどもローストなどシンプルな料理で提供されていたと思います。それが最近、東京においては、トレンド要素が強いレストランでジビエをウリにする飲食店が増えていると思います。
国産のジビエは、ほとんどがイノシシやシカです。それを注文するときに「これは害獣ですか?」と伺うと、ほとんどの飲食店において、害獣であり、その肉を食することは命を大切にする意味で良いことだという返事が返ります。私はいつも、「害獣って、悪いことしたのを見て打つの 中には、山でドングリだけを食べて里には下りて来なかったイノシシもいるよね」などと、意地悪を言ってみたりもします。
害獣としてのイノシシやシカを有効利用することは、環境問題だけでなく、食糧問題を解決するひとつの手段としても有効です。農林水産省の2017年度の調査によると、全国の害獣処理施設の販売量は食肉向けが1146トン、ペットフード向けを加えると1519トンで、前年度に比べ30%増えています。とは言え、捕獲された鳥獣の多くがそのまま埋めるなど処分されていて、イノシシとシカのジビエとしての活用率は全国で約7%に留まっているとか。農林水産省は、適切な衛生管理に取り組む食肉処理施設を認証する「国産ジビエ認証」制度を導入するなど、安全安心のニーズに応えられる市場の育成を図っています。
業界の動きに先立って、マックスバリュ九州とイオン九州は1月、佐賀県内の5店で、イノシシ肉の販売を始めました。佐賀県内で捕獲された天然イノシシを食用として活用。地域の特産品、観光資源とすることで、地域活性化や農林業被害の軽減に繋げる狙いです。家庭で安全でおいしいジビエが味わえるのも、そう遠い話ではなさそうです。