“サーフ&ターフ”。直訳するとサーフ=海、ターフ=牧草地です。これが料理のカテゴリーとなると、サーフ=魚介、ターフ=肉となります。ステーキとロブスターを盛り合わせた一品など、米国などではお馴染みの昔ながらのメインディッシュ“サーフ&ターフ”。魚介と肉のおいしさを同時に味わえる欲張りなメニューは、最近、よりクリエイティブで多様な料理に進化し、世界のガストロミックなレストランに登場しています。
パリの「パピヨン」では、豚の血入りのソーセージ”ブータン”に、肉厚なノルマンディー産のカキを合わせます。またコペンハーゲンの「レストラン レレ」では、低温調理したマスにカリカリに焼いた鶏肉の皮を重ね、それをパリパリに焼いた長ねぎで覆った一皿が人気です。
東京では、奥渋谷の人気レストラン「PATH (パス)」が、軽く火を通したカキに馬肉のタルタルを載せた一皿を提供。カキのクリーミーさとミネラル感が、馬肉の淡泊な風味を生かしつつ、味わいとボリュームをアップさせています。「L’Octave Hayato Kobayashi(ロクターヴ・ハヤト・コバヤシ)」(東京・渋谷)では、穴子のグリルに、とろりとしたフォアグラをソース代わりにからませます。「KABCO(カブコ)」(東京・六本木)では、海の幸と熟成肉のマリアージュのコースを展開。その中のひとつ、カキと熟成肉を合わせた”牡蠣肉”は、カキの天然アミノソースが熟成肉のアミノ酸と絡み合う絶品だといいます。
一方、和食店でも“サーフ&ターフ”は大人気。行列が絶えない高級立ち飲み割烹「かねます」(東京・勝どき)の“生うに牛巻き”は、高級海鮮のウニを贅沢な和牛で巻く、同店の”顔”と言われるメニュー。毎朝、築地で仕入れる鮮魚を使用した料理がメニューに並ぶものの、ほとんどの人が “生うに牛巻き”を目当てに足を運ぶというほどです。