こだわりのレモン酎ハイが人気です

 ここ1年ほど、酎ハイが人気です。居酒屋やバルでは、女性を中心にレモン酎ハイが売れています。
 女性がレモン酎ハイを選ぶ理由の第一は、料理に合うこと。甘過ぎず、酒の香りも弱く、爽やかな炭酸飲料のように飲めます。唐揚げなど、油が気になる料理の後口をすっきりとさせてくれるのもうれしいところです。第二の理由は、美容と体調管理に良さそうだから。レモンに多く含まれるビタミンCは、美白の栄養素として周知のとおり。風邪予防にも効果があり、かつ疲労回復にも役立ち、なんと肝臓の働きをサポートしてくれます。居酒屋で絞ったレモンの皮を積み上げた画像を投稿することが、SNS上で流行っています。
 ブームを生んだもうひとつの背景は、店側の盛り上がりです。‟檸檬酎盃研究所”を謳う「おじんじょ」(東京・恵比寿)は、広島の瀬戸田産レモンにこだわり、‟いつもの生レモン酎”、レモンリキュールを加える‟レモンチェッロで酎”などのほか、期間限定レモン酎も用意しています。東京・新宿ゴールデン街にオープンしたレモンサワー専門店の「オープンブック」は、黒糖焼酎をレモンピールで香り付けした後、“ランドル”と呼ばれる特殊なフィルターを使ってレモンの風味を重ね付けした、まるでレモンを丸齧りしているようなレモンサワーを提供しています。また「素揚げや 小岩店」(東京・小岩)は、氷の代わりに凍らせたレモンを入れた“最強レモンサワー”がおいしいと評判です。
 一方男性に売れているのは、缶酎ハイ。1缶100円台とビールより安く、しかもアルコール度数はビールより高い7~9度。安く酔えるのが、人気の理由です。

ヘルシースナッキング市場が拡大する中、湖池屋の提案は“中間食スナック”

 1日3食より多くの回数に分けて食べる方が、総摂取カロリー量が減り、太りにくくなる―。そんな発想から生まれた“ヘルシースナッキング”。手軽で、しかも間食OKのダイエット法への関心は、一気に高まっています。
 すでに森永製菓は、ヘルシースナッキングをテーマに、チョコレートやクッキーなどのお菓子を開発していますし、キユーピーも、“正しい間食は、罪じゃない”と謳うバータイプのスナック「野菜ぎっしりバー」を発売しています。コンビニ各社も、売り場にヘルシースナッキングのコーナーを展開するなど、販売に力を入れています。
 そんな中、湖池屋が立ち上げたのが、‟おつまみ以上お食事未満”をコンセプトに‟中間食スナック”を謳う「ひとくちDELI」シリーズです。スナック菓子ですが、位置付けは、‟新・惣菜の候補”。前出の商品が小腹を満たすための間食(おやつ)という立ち位置なら、こちらは、あくまでも食事(料理)の視点から開発されていて、パッケージも惣菜を意識したデザインが施されています。と言っても、商品は、ピザ味のトルティアチップス。今までなかったかと言えば、そんなことはありません。ただ切り口を変えているのです。
 どんなものでも小腹解消商品になります。シリアルバーも、チョコレートも、おにぎりも、サラダも、カップ麺も。それは食べる側の意図によって位置付けられます。さらに、それが食事なのか間食なのかもです。
 ヘルシースナッキングという言葉が拡散している今、敢えて‟中間食スナック”を謳ったのは、ヘルシー感が欠如しているからでしょう。でも発想は間違っていません。1日3食の食生活が崩れている今、食事とおやつの区別はないのですから。

ヘルシー志向と食事のマナー

 薄着の季節に向けて、ダイエットを始める人が増える時期。中でも、ご飯やパン、麺などの糖質を控える低糖質ダイエットや、食物繊維をたっぷり含む野菜から食べることを勧めるベジタブルファーストといったダイエット法は、日々の食生活に比較的簡単に取り入れることができる点がウケて、実践している人が多いと思います。
 中年男性に人気なのが、低糖質ダイエット。ランチのご飯を残す男性が増え、ビジネス街の定食屋さんが嘆いています。注文時に「ご飯半分に」とか、提供されたご飯を「減らしてください」とか。忙しく動き回る店員さんを見ると、注文を複雑にしては、手間をかけさせてはという気持ちが働くのも分からないではありません。
 最近、洋食のプレートで、付け合わせの野菜だけを先に食べてしまう女性をちょくちょく見かけます。ベジタブルファーストです。メインの料理だけが残ったお皿。違和感を覚えます。
 盛り付けられた料理は残してはいけない、食べられないのなら減らしてもらう、料理はバランスよく食べる、好きな物だけ先に食べたり、一点食べをしたりしてはいけない。私たちは、そう教えられてきたと思います。
 どう食べようが個人の自由でしょうし、ましてや健康のためだと言われれば、何も言えません。が、ダイエットや健康は、食料をムダにしないという倫理や食事のマナーより優先されるのでしょうか。それとも、そのような考え方自体、既に存在しえないものなのでしょうか。電車の中でのお化粧も然り。そもそも是非を問うことすら、おかしいと思う生活者も増えています。生き辛さは増すばかりです。

セブンプレミアムフレッシュ始動

 セブン&アイ・ホールディングスが、発売10周年を機に「セブンプレミアム」を刷新。ロゴを変更するなどかなり力の入った刷新ですが、なんといってもその目玉は、生鮮品のPB「セブンプレミアムフレッシュ」の誕生です。
 生産地を絞り、製法を管理したバナナや豚肉、サーモンなど第1弾の約30品目を3/9から順次、売り出しています。セブンプレミアムが目立つのはセブンイレブンの店頭ですが、フレッシュに関しては、イトーヨーカ堂やヨークベニマルなどスーパーが主な販路です。コンビニにはあまり行かない高齢者に、セブンプレミアムの存在と価値を知っていただくためのようです。
 例えばセブンプレミアムフレッシュの豚肉は、「カナダポーク」という小麦を多めに配合した独自の飼料を使った豚の肉。価格は100g159円です。私がよく行くスーパーの場合、100g159円は、1アメリカ産 2国産 3国産ブランドの、1と2の間の格。国産にこだわるか、セブンイレブンのPB開発力を信じるか。迷うところです。一度試したお客様が品質と価格を比較した結果、「いままで買っていた国産豚肉より安いのにおいしいから」または「アメリカ産よりちょっと高いけれどおいしいから」とスイッチしてくれれば万々歳。そこまでのアピール力があるとしたら、さすがセブンプレミアムと賞賛されるでしょう。
 コンビニは選択肢を求める場ではありません。今欲しいものがあるかないかだけです。一方、スーパーは選択が前提です。販路をスーパーにこだわらず、一日も早くセブンイレブン全店に広げていただけますように・・・一生活者としての私の要望です。    

ネット市場から実店舗へ。信頼維持が成否を分けます

 ネットショップから実店舗へ進出する元気な企業が続々登場しています。
 例えば、食材宅配のオイシックスは吉祥寺と恵比寿に直営店を出し、都内のスーパーを中心に販売コーナーを展開。コスメ・美容の総合サイトのアットコスメストアは、北海道から福岡まで16店舗を出店しています。また野菜宅配のらでぃっしゅぼーやは、食品スーパー大手のライフコーポレーションと組んで、有機・低農薬野菜の店頭販売を始めましたし、同じく野菜宅配の大地を守る会も、スーパー「Odakyu OX」の一部に売り場を構えています。
 楽天市場で有数の成功ショップと評価されているコーヒー製造会社澤井珈琲(鳥取・境港)は、昨年10月東京・銀座に路面店を出店しました。店舗は1階がコーヒーと紅茶のショップで地下がカフェという造り。カフェでコーヒーを味わい、1階の店舗で購入し、ネットショップも試すといった、さまざまな環流が期待されています。
 ネット市場で成功をおさめた企業が実店舗を展開する理由は、認知度を上げるとともに、信頼性と安心感を実店舗で補完し、さらなるブランド化を図るためです。でもそれは諸刃の剣。澤井珈琲の楽天市場でのユーザー評価は、丁寧な対応や品揃え、スピーディな配送などが評価され、5点満点で実に4.77点を獲得しています。野菜は目で見て手に取って確かめて買いたいという声が大きいにも関わらず、宅配システムが成功しているのは、企業と商品に絶大なる信頼があるからです。実店舗にも、ネットショップと同じレベルの対応と信頼が求められます。悪評は、SNSに載って千里どころかあっという間に地球を駆け巡る時代。実店舗の展開が狙い通りの結果を導くのか。これからが注目です。

わずか2年。ドーナツ戦争が残したものは

 ダスキンは2020年までに、「ミスタードーナツ」の約4割に相当する500店でドーナツの店内調理をやめ、近隣の店舗から届けると公表しました。
 原因はやはり、コンビニのドーナツ市場参入による売上の低下です。セブンイレブンがドーナツの販売を本格化した2015年。6億個販売、600億円の売上を計画していました。これは、ドーナツ市場の半分を飲み込む計算です。が、全国展開が完了した8月頃には早くも失速。翌年1月には全面リニューアルを開始しています。
 一方、ドーナツ市場の9割近くを独占していたミスド。セブンイレブンの脅威に対し、店内でドーナツを揚げていることを武器に差別化が図れるとし、レシピや油の温度などの製造工程を見直しました。また1回に揚げるドーナツの個数を、約70個から、20~30個に減らして商品の鮮度をアップ。「ひと味違う、揚げ立てのドーナツ」をアピールしました。
 しかしわずか2年で方向転換。ここに来て“揚げ立て”を放棄する理由は、利益の確保です。揚げないことで人件費を抑えられるほか、設備の保守など経費も削減できます。現行より2~3割売上高が減っても採算が合うよう、利益構造を組み直すのだそうです。さらに、ドリンクバーを導入したり、食事メニューを増やしたりして客単価を引き上げるとしています。
 ミスドは、ドーナツで勝負することをあきらめてしまったのでしょうか。因みにセブンイレブンは、ドーナツの個包装化を進めていて、一部店舗ではパンコーナーに並べています。もともと100円コーヒーとの併せ買いを狙って投入したレジ横ドーナツ。今はドーナツより、おにぎりやロールパンの方が、コーヒーとの同時購入の比率が高くなっていると言います。
 2年前、火蓋を切った“ドーナツ戦争”。揚げ立てドーナツが簡単に食べられなくなったという結果だけが残りました。セブンのせい? ミスドのせい?

魚介と肉を同時に。欲張りメニュー “サーフ&ターフ”

 “サーフ&ターフ”。直訳するとサーフ=海、ターフ=牧草地です。これが料理のカテゴリーとなると、サーフ=魚介、ターフ=肉となります。ステーキとロブスターを盛り合わせた一品など、米国などではお馴染みの昔ながらのメインディッシュ“サーフ&ターフ”。魚介と肉のおいしさを同時に味わえる欲張りなメニューは、最近、よりクリエイティブで多様な料理に進化し、世界のガストロミックなレストランに登場しています。
 パリの「パピヨン」では、豚の血入りのソーセージ”ブータン”に、肉厚なノルマンディー産のカキを合わせます。またコペンハーゲンの「レストラン レレ」では、低温調理したマスにカリカリに焼いた鶏肉の皮を重ね、それをパリパリに焼いた長ねぎで覆った一皿が人気です。
 東京では、奥渋谷の人気レストラン「PATH (パス)」が、軽く火を通したカキに馬肉のタルタルを載せた一皿を提供。カキのクリーミーさとミネラル感が、馬肉の淡泊な風味を生かしつつ、味わいとボリュームをアップさせています。「L’Octave Hayato Kobayashi(ロクターヴ・ハヤト・コバヤシ)」(東京・渋谷)では、穴子のグリルに、とろりとしたフォアグラをソース代わりにからませます。「KABCO(カブコ)」(東京・六本木)では、海の幸と熟成肉のマリアージュのコースを展開。その中のひとつ、カキと熟成肉を合わせた”牡蠣肉”は、カキの天然アミノソースが熟成肉のアミノ酸と絡み合う絶品だといいます。
 一方、和食店でも“サーフ&ターフ”は大人気。行列が絶えない高級立ち飲み割烹「かねます」(東京・勝どき)の“生うに牛巻き”は、高級海鮮のウニを贅沢な和牛で巻く、同店の”顔”と言われるメニュー。毎朝、築地で仕入れる鮮魚を使用した料理がメニューに並ぶものの、ほとんどの人が “生うに牛巻き”を目当てに足を運ぶというほどです。

いよいよ始まります “プレミアムフライデー”

 今週24日、初めての「プレミアムフライデー」が実施されます。参加を表明しているのは、2000社超。いずれも百貨店や外食店、テーマパークなどサービスを提供する側の企業です。
 例えば、「ザ・プリンス さくらタワー東京」は2/24限定で、広々とした部屋での宿泊と、SNSに投稿したくなるような料理を揃えた‟ストロベリーアフタヌーンティー”のセット商品を、女子会向けプランとして提供します。また京都ホテルオークラも2/24限定で、スイートルームに安く泊まれるプランを用意。シャンパンやグラスワインが飲み放題になるビュッフェ形式のディナーレストランの利用券1万円分も付けました。その他、新横浜プリンスホテル、ホテルニューオータニ幕張、第一ホテル東京などでも2/24限定プランを用意しています。ホテルが用意しているプランはいずれも働く女性をターゲットにした女子限定プランです。
 一方、百貨店は。伊勢丹新宿本店では、レストラン各店で趣向を凝らしたおつまみとドリンクのセットを1001円で提供する特別メニューを用意。三越伊勢丹HDでは落語イベントを開催します。東急百貨店は飲食店「宇田川カフェ」と連携。東急フードショーのスタンディング式イートスペース「シブヤSTAND」で、できたて惣菜をつまみながら「シブヤビール」が楽しめるイベントを開催します。
 外食市場では、モスフードサービスが紅茶専門店「マザーリーフ」の本店で、午後4時から紅茶セミナーを開催。焼鳥チェーン「大吉」は、一部の店舗で通常より2時間早い午後3時に開店。サッポロライオンは午後3時以降、「エビス生ビール」を半額にします。その他、ほとんどの飲食店は、ハッピーアワーで対応するものと予想します。
 旗振り役の経済産業省と経団連などの経済団体は、消費喚起を期待していますが、果たして結果は?

カスタマイズサラダのチェーン店「サラダストップ」

 「まいどおおきに食堂」を展開するフジオフードシステムがFC展開を図る、シンガポールのサラダ専門店「サラダストップ」。当初6月に東京都内に1号店を開くとリリースを出していましたが、結局、表参道に1号店をオープンさせたのは11月1日。今年1月30日には六本木に2号店ができました。
 メニューは、サラダ、ラップ、グレインの3種。お客様はまず、ロメインレタスやキャベツ、ケールなどからベースの葉野菜を選び、続いて約50種類の食材からトッピングを6種類、18種類の中からドレッシングを1種類選びます。カスタマイズが基本ですが、カスタマイズが面倒な人にはシグネチャーサラダもあります。
 お客様が選んだ葉野菜と具材はいったんまな板の上にあけられ、食べやすい大きさにカットされます。その後、ドレッシングを混ぜ合わせて再びボウルに盛り付けられるか、或いはラップであれば薄い生地で包まれます。こんなにも大量の野菜を包めるのかと思うのですが、青手袋をはめた手で抑え込みながら見事にラップしてしまいます。この青手袋、ちょっと違和感がありますが、食材にない色のため、混入した場合すぐに目に付くという利点があります。
 トッピングは、チキンやアボカドなどは有料で、それを入れると1350円ぐらいになり、競合する「クリスプ・サラダワークス」と比較するとやや高く感じられるでしょう。お客様は迷い、野菜のカットに時間がかかり、列はなかなか進みません。スタッフは多いものの、手が回っていないのがよく分かります。
 本部は、2019年までに主要都市に計20店の出店を目指しています。サラダショップがあちこちに登場している昨今。すぐに新たな付加価値が求められるでしょう。果たして何店舗まで伸ばせるのか。今後も見ていたい業態です。

欠勤のペナルティと恵方巻のノルマ。明確化したコンビニの問題

 先週、コンビニに従事するアルバイトに関して、ふたつの問題が話題になりました。ひとつは、アルバイトを休んだ女子高校生に対し、代わりの人材を補充できなかったという理由で休んだ時間分の報酬と同額が、ペナルティとして支払われるべきアルバイト代から差し引かれたこと。そしてもうひとつが、恵方巻の販売ノルマです。アルバイトの学生は自分、家族、友だち、先生にまでお願いして何とかノルマをこなすとか。それが叶わない場合は、自ら購入。食べ切れないものは捨てていたと言います。
 労働基準法に照らすと、ペナルティの額が法定金額を超えている、罰金は報酬と相殺してはならないなど、明らかに店側は違反をしています。何より、アルバイトの学生に人員の補充をする義務はありません。しかも、もし運よく代わりの人が見つけられたとして、オーナーは、面接や労使の契約など何の手続きもなく、その人を即日働かせるのでしょうか。現金のやり取りがあり、食品を販売している店で。余りに安易ではないでしょうか。もちろんそこには、常態化する人手不足に悩むコンビニオーナーの現状があり、同情もしますが。
 さらに今回、コトが大きくなった理由に、コンビニ本部の対応のお粗末さがあります。「フランチャイズ店がやったことだから本部は関係ない」といった態度は、当事者はもちろん利用しているお客様に対しても、いい印象を与えないことは明らかです。多くのお客様はブランドを信用しているのであって、フランチャイズ契約をしている会社または個人を知りません。
 恵方巻の問題も、さもあらんと容易に想像できてしまうことが、却って悲しく思います。クリスマスケーキ、おせち、恵方巻と、コンビニのイベント商品は、即ノルマ商品になります。この問題が明確化した今年、私の中で恵方巻は、縁起のいいものではなくなってしまったように思いました。