拡がるヘルシー志向の高まりを背景に、世界中でノンアルコール飲料に対するニーズが高まっています。
最近は、ノンアルコールというだけでなく、機能性まで纏った商品が開発されていて、ヘルシー感と味わいがウケて流行っています。内臓脂肪を減らすと謳う、サントリービールが昨年7月に発売した「からだを想うオールフリー」、キリンビールが10月に売り出した「キリン カラダFREE」、食後の血中中性脂肪の上昇を抑える機能があるとアピールするサントリースピリッツのチューハイテイスト「のんある気分 DRY・ジンテイスト」、お腹の調子を整える機能があるアサヒビールが12月に発売したサワーテイストの「ヨーグルトサワーテイスト」など、いずれも予想販売量を超える売れ行きです。
日本初、プロテイン入りノンアルコールビールも登場しています。Muscle Deliが販売する「JOYBRAU」です。「ダイエットしているからビールは控えている」「ビールが好きだけど太るからハイボールにしている」といった生活者の声を受けて、ドイツ発のプロテインビール「JOYBRAU」を広めたいと考えたそうです。1缶(330ml)で21gのタンパク質が摂取できるのが特徴で、筋肉の成長に不可欠な必須アミノ酸BCAA、脂肪燃焼に効果的なLカルニチンとベータアラミンも配合されています。ノンアルコールなのでアルコールによる筋肉分解の恐れもなく、ダイエットやボディメイクをしている人でも安心して飲めます。
サントリーホールディングスの調査によると、ノンアルコールのビール飲料を1年前より飲む量が増えた理由について、「おいしくなったから」、「休肝日をつくろう、または増やそうと思ったから」が多く、一方で「車を運転する機会が増えたから」は少なかったそうで、運転などのやむを得ない事情というよりも、ノンアルコールビールテイスト飲料そのもののおいしさや、健康を気遣うなどの理由から飲用量が増えているようです。
カテゴリー: 食のトレンド
音もおいしさ。癒しを求める生活者にも人気「ASMR」
最近、脳が気持ちよいと感じるASMR(自律感覚絶頂反応)を販促に取り入れる企業が増えています。
カルビーは11/25、冬向けのポテトチップス“冬ポテト”を発売しました。冬においしいじゃが芋に合う食感を追求。まるで雪のような、サクサクとした食感とほろほろとした口溶けに仕上げました。日本音響研究所が調べたところ、同品の食感音は「新雪を踏む音」に似ていることが分かったといいます。
一方、モスバーガーは、9/12、新しい‟日本のハンバーガー”を展開するシリーズ‟MOS JAPAN PRIDE”の第1弾として‟海老天七味マヨ”を発売。天ぷらは‟ざくりざくり”とした食感にこだわって1本1本手作業で揚げています。日本音響研究所に同品をかじった時の音の心地良さの検証を依頼。「音まで、うまい」とアピールしています。
4月、日本ケンタッキー・フライド・チキンは、“パリパリ旨塩チキン”を発売したのに合わせ、同品の咀嚼音を伝えるウェブ動画を公開。食パンや寿司を食べるシーンにパリパリとした咀嚼音をかぶせ、「パリパリは極上の調味料」とナレーションを付けました。森永製菓も4月、チョコアイス“パキシエル”で、音に着目した動画を配信。食べた人にしか聞こえない「骨導音」が、パキシエルを食べた際に快感に繋がることが判明したと話します。
ASMRは、食感だけではありません。ガスバーナーの「ボォォォ…」という音を聞くと癒されるという人もいますし、スポンジを包丁で切る音が心地良いという人もいます。反対に、キーという高い金属音で鳥肌が立つ人もいます。小川のせせらぎや木々の葉が擦れ合う音に癒し効果があることは以前から知られていました。人によって癒される音は多種多様に拡がっているようです。
ローソンの元旦休業実験。コンビニだって休みます!
コンビニ各社の24時間営業見直しが進む中、ローソンは、全国の約100店のFC加盟店で、元日休業の実験を行うと発表しました。ローソンに限らず、1年間に丸1日休める日がないコンビニオーナーが少なくない現状を、最適化によって変えていこうという試みです。
正月という、平日とも日曜とも異なる特別な消費行動が生まれる日に、店を開けている意味がない店もあるでしょう。例えば、ビジネス街のコンビニは閉めてもいいでしょう。それに対し、明治神宮に近い原宿のコンビニは大晦日からずっと手を休める間もないでしょう。立地や使われ方によって、それぞれの適正に合わせて営業時間を決定するということに異論はないと思います。
ただ、深夜の営業を止めた店は、昼の来店客も減少するという実験結果があります。閉まっていることで、コンビニとしての信頼感が薄れるという利用者心理が働いているものと思われます。いつでも煌々と光を放ち、元気にウエルカムしてくれるのがコンビニの当たり前。生活者は、閉店している暗いコンビニなど見たことがないのですから。コンビニオーナーとしては、正月に休んだせいで、正月明けの来店客数が減るのではないかという不安があります。
ローソンの決定を歓迎する生活者の声は大きく、「休ませてあげたい」というやさしい言葉も本部に届いているとか。“コンビニだって休みます!”そんな新たな宣言を大々的にしてはどうでしょうか。
労働力不足が変える働き方と業態の在り方
学生アルバイトや主婦のパートの労働力に頼って拡大、維持してきた業態が、ここに来てその体制を問われる事態が起こっています。
例えば、コンビニ。人手不足は時給をアップさせ、利益を圧縮させます。オーナーは自ら店に出て体力と気力の限界まで働くことが常態化。とうとう、セブンイレブンのオーナーは24時間営業を巡って本部と戦い、厳しいながらも一定の条件を基に時短を選択できるところまで改革しました。コンビニのオーナーも、労働力があれば24時間営業を継続したいと思っているはずです。深夜は、商品の棚卸し、商品棚の整理やチェックなど、さまざまな雑業務ができる大切な時間です。この間を休むことは、レジとは別の人手が必要になることを意味しています。営業時間の短縮が、そのまま丸っと人件費の圧縮に繋がるわけではないのです。
例えば、料理のデリバリー。こちらも、ヒマな時間を使って仕事ができることをウリに、若者を中心とした労働力を集めています。大きな荷物を背負ってレンタル自転車で颯爽と走る若者の姿は、イマドキの働き方を象徴しています。そのひとつがウーバーイーツ。先行する出前館に追い着け追い越せとばかりデリバリーエリアを拡げていて、配達員の確保は焦眉の急です。そんな中、ウーバーイーツと契約している配達員の有志が、労働環境が少しでもよくなるよう活動する労働組合「ウーバーイーツユニオン」を立ち上げました。多くの組合員を募ることで、会社との団体交渉を有利に動かし、労働条件の改善に繋げたいと考えています。一方、ウーバーイーツは、配達員は個人事業主。従業員ではないので、賃金補償や労災保険などは適用されないという見解です。
無人コンビニに自動走行車。人の労働力をAIに代わらせる技術が急速に進む現実は、労働環境において窮地に追い込まれる立場の人を助けるためなのか、はたまた黙らせるためなのか。答えは、すぐそこに来ています。
11/1 「渋谷スクランブルスクエア」がオープンしました
先週11月1日金曜日、「渋谷スクランブルスクエア」がオープンしました。食のフロアは、いわゆるデパ地下系の物販が地下2階~1階、レストランフロアは12、13階です。
前日は、ハロウィン。首都圏放映の情報番組は、渋谷の夜の混乱した映像とペアのように、「渋谷スクランブルスクエア」のオープンを紹介していました。日本初上陸、東京初出店、中食市場初挑戦の店も多く、番組はそれらの店に多くの時間を割いていました。
今回、地下2階の店舗をお手伝いする機会をいただき、オープン日の午後、ご挨拶に伺いました。混乱を防ぐためか、入り口は1ヵ所に限定されていて、入店するには長蛇の列に並ばなくてはなりません。およそ20~30分かけてやっと入店できました。早速店舗に向かいましたが、通路は人でいっぱい。なかなかお目当ての場所にたどり着けません。店舗では、オープン記念の限定品はもちろん、目ぼしい商品はおおかた完売していました。
混むと分かっているオープン日。並んでも混み込みの場所に行きたいと思う人がこんなにも多いことに、私は正直驚きます。仕事でなければ、熱も冷めきった頃に行けばいいと思う方です。新しいものへの興味と何かを買いたいと思う欲。そのエネルギーの強さに感服します。
渋谷はまだまだ開発が進みます。今回開業したのは東館。2027年に、西館と中央棟が開業します。かつての「東急百貨店東横店」は、そこに入るのかもしれません。私は何より、「東横のれん街」が利用しやすい場所に戻って来ることを期待しています。
“タピオカにはココナツツミルク” が、私の鉄板です
今年、日本は空前のタピオカブームでした。原宿にはタピオカティスタンドが乱立し、その流れは表参道まで。代官山、恵比寿もしかり。駅から離れた住宅街にも。こんなところにいつできたの? 客は来るの? と心配してしまうような立地にも、タピオカティスタンドがオープンしています。とはいえ、そろそろ女性たちの興味も失せたのか。有名店でも行列は見られなくなりました。
終息に向かうタピオカブームですが、我が家では夫も息子も、タピオカを一度も口にしたことがないそう。ならばと、およそ30年ぶりにタピオカココナッツミルクを作ることにしました。
まずはタピオカを入手しなくてはなりません。当時は、輸入食品専門のスーパーにしか売られていませんでしたが、今はネットで簡単に買えます。さすがに過去最高の輸入量を記録するほどのブーム。タピオカバブルの価格です。また当時は、白い小さな粒のタピオカしかありませんでしたが、今は大きなブラックタピオカが主流です。これを好みの堅さにゆでます。そのままでもいいのですが、好みで砂糖水に浸して甘みを付けます。ココナッツミルクは、牛乳、砂糖と合わせて温め、冷やします。冷やしたココナッツミルクにタピオカ。初めて食べたのは、タイ料理店だったと思います。辛いタイ料理の〆に、なんとぴったりなデザートなのだろうと感激したことを覚えています。
さて実食。夫も息子もおいしいと言ってくれました。が、「これタピオカミルクティなの?」との息子の一言にはたと。そう、世のブームは「タピオカミルクティ」であって「タピオカココナッツミルク」ではありません。それにまったく気が付かなかったことがおかしくて。やはり私の中では、タピオカと言えばココナッツミルクが鉄板なのです。
ライフ渋谷東店が改装! 中食売り場大拡充
家の近くにたった一軒しかないスーパーマーケット「ライフ渋谷東店」が、週末、リニューアルオープン。開店記念の安売りを目当てに、初日に買い物に行きました。どんな風に改装されたのかをとっても楽しみにして。
リニューアルの目玉は、なんと言っても中食の拡充です。インストアベーカリーがあった場所にレジを移し、空いたスペースをすべて「弁当・惣菜コーナー」にしています。今まで提供していなかった、ナポリ風のピザ、スープやカレーのホット売りも始めていて、品揃えのバラエティ感はかなり増したと思います。通い続けている私のあくまでも推測ですが、顧客層は、昼間は老人、夜は帰宅途中の勤め人、しかも単身者の利用率が高いと思われます。郊外立地のスーパーに比べて圧倒的に子ども連れの客は少なく、狭い店なので子どもを乗せられるカートもありません。場所柄、平均所得も高いでしょう。中食の比重が高くなるのも当然です。
グロッサリー売り場では、ライフが大阪で展開しているオーガニック野菜などを扱うナチュラルスーパー「ビオラル」の商品が小さなコーナーで展開されていますが、環境は以前のままなので、“やってみた感”があることは否めません。介護商品や肌着、パジャマのコーナーが縮小されていないのは、やはり高齢者の利用が多いからでしょう。
デザイン的には、白木風の素材を利用して明るさと清潔感を演出していますが、印象としては以前のまま。どこにでもあるスーパーの内装です。
我が家のメインスーパーなだけに、おかしな方向に変わらなくてよかったと思う反面、つまらなさを感じているのも事実です。ただ、レジ前に、ここまで大々的にでき合いの料理を並べられると、そこに行き付く前にカゴに入れた生鮮食品の諸々を見ながら、これから料理に掛かるであろう時間と労力をばかばかしく思うようになるのではないかと、それだけを危惧しています。
台風被害の農産物にもフードロス対策を
この週末、東日本は数十年に1度と言われる台風の脅威に見舞われました。1ヵ月前、猛威を振るった台風15号の傷跡も癒えぬまま、さらに大きな打撃が加わり、甚大な被害が発生しています。
特に千葉県は、第一次産業が盛んな地域。先の台風によって広い範囲でビニールハウスが倒壊、損傷。生育中のトマトが全滅、あるいはキズが付いて売り物にならなくなった地域もあります。大量の雨水によって土中の人参が土と一緒に流されたり、強風で稲が倒れたり。雨と風が多くの農産物に多大な被害をもたらしました。
千曲川が氾濫した長野県でも被害は予想外に大きく、出荷を待つりんごに泥が付き、洗い切れないとか。ジュース用にするのも難しく、廃棄処分するしかないといいます。
思い起こせば平成3年、後に「りんご台風」と呼ばれた台風19号が青森県を直撃。収穫前のりんごのほとんどが木から落ちました。さらにりんごの木が倒れたり、枝が折れたり。りんご畑の回復にかなりの時間がかかったことを覚えています。落下したりんごは市場に出せず、ジュースやジャムなどの加工用に回されました。りんご風呂にして観光の目玉にしようという動きも。ただこの時、木から落ちなかったりんごは、“落ちないりんご”として販売され、受験生に飛ぶように売れたとか。
フードロス対策がやっと目に見えるまでに動き始めた日本において、天災によって発生するフードロスに対する施策を考えることは、重要な課題だと思います。“台風トマト”や“土付きりんご”を被災地支援の一環として売り出すことはできないものでしょうか。現地の皆さんの手が回らないのなら、いち早く動くボランティア組織がないものかと思います。
待つのも楽しい? ウーバーイーツ
この週末、久しぶりにウーバーイーツを利用しました。ウーバーイーツと言えば、10月1日、事故に遭った配達員に「見舞金」を支払う「傷害補償制度」をスタートさせたばかり。一方、3日には、ウーバーイーツの配達員たちが「労働組合」を結成。働き方の改善を求めていくと公表しました。
配達員は個人事業主。勤務中事故に遭っても労災保険が適用されません。それに対してウーバーイーツが補償制度を立ち上げた背景には、配達員の確保があることは確実です。組合側は、ウーバーイーツとの不透明な契約について今後は改善を求めていきたいとしています。例えば、配達員への報酬は距離によって変わりますが、配達依頼時には店の位置は分っても、何処に届けるのかは分からないのだそうです。遠くへ届けたい配達員に請けてもらえないのは困るという判断なのかもしれません。
これについては、利用者も不都合を感じているのではないでしょうか。近くの店から料理をデリバリーしたくても、ウーバーイーツが指定した住所以外は受け付けてもらえないのです。例えば渋谷区の場合、ウーバーイーツから六本木にある希望の店を探しても見つかりません。店に問い合わせると、ウーバーイーツが配達範囲を決めているとのこと。六本木に隣接している渋谷区もあれば、遠い渋谷区もあります。配達員への報酬を一定以上増やしたくないという意図が働いてのことかもしれませんが、一律に区で決められているとしたら、GPS全盛の時代に残念な話です。
そうそう、GPSによって配達員の移動をスマホで見られるのも、ウーバーイーツの面白いところ。料理を待つ時間も、長く感じなくなります。ピックアップする料理店になかなかたどり着かなかったり、配達先を迷ったり。その迷走ぶりが配達員への労いに繋がって、配達が遅れたことにいら立つより、“ありがたい”という感謝の気持ちが強くなるから不思議です。
拡大か個性化か。生き残りを賭けるドラッグストア
急成長するドラッグストア市場。弁当・惣菜の販売でコンビニを、生鮮食品の販売でスーパーを脅かす存在になり、市場規模は2018年度に7兆円を突破しコンビニに迫る勢いです。がここに来て、そのドラッグストア市場にも陰りが見え始めています。特に都市圏の出店余地は狭まり、価格競争に突入。利益率は低下し、自ずと地方での出店強化に注力せざるを得ず、生き残りをかけた熾烈なパイの奪い合いが激化しています。
夫の実家がある愛知県の町には、スギ薬局とサンドラッグの2つの大きなドラッグストアがあったのですが、今年になり、GENKY、ウエルシアなどの大手チェーンが次々に開店。弁当・惣菜、生鮮食品に力を入れ、コンビニはもちろん、スーパーにも負けない価格で販売しています。GENKYのチラシなど、もはやスーパーのそれと見紛うばかりです。
安く販売できる理由はもちろん、利益率の高い薬品や化粧品を販売しているから。安い弁当や野菜を買いに来ていただき、ついでに儲けに繋がる薬品類を買っていただく。加えて、薬品はせいぜい1週間に1度程度の購入頻度でしょうが、食品は毎日購入する人もいます。とにかく来ていただくための食品販売強化です。ただ問題もあります。常温の商品しか扱ったことがないドラッグストアの店員にとって、精肉や鮮魚などの温度管理は、非常にハードルが高い作業になるということ。もちろん、学習と歳月が解決してくれる問題ではありますが。
オリジナル商品がほとんどないドラッグストアにとって、安く売れる力があることが勝敗を分けます。バイイングパワーを規模で強化するための吸収、合併が、今後も繰り返されることは必定です。一方で、食品強化型、処方箋安心型、健康・美容提案型など、個性を際立たせることで生き残りを図るドラッグストアの存在も顕著になることと思います。