フジテレビの秋ドラマ「silent」がいいとテレビでタレントたちがしきりに言っていたので、見逃し配信で学習して3話目から合流しましたが、4話目で挫折しました。そのことを同年代の女性に話すと「ターゲットじゃないから」とばっさり。
話題の「星のや富士」に行きました。“五感を開き 森を遊ぶ 丘陵のグランピング”と謳うここのコンセプトは「非日常感」。フロントは住宅街、バードウォッチング用の双眼鏡、バードコール、エアクッションが入った好みのバッグを選び、ジープで3分。箱型のコテージに着きます。森の中に作られた施設は気持ちいいし、寛げるベランダも、そこから見える大きな富士山と河口湖も非日常なのでしょうが、料理を含め、演出された諸々が、「非日常」に没入できるレベルではないばかりか、倹約家の私が、“それ、日常なんですけど”と言いたくなるほどの中途半端さ。そのことを同人に話すと「ターゲットじゃないから」と再び。確かに子ども連れが多かった。
代官山で人気のイタリアンへ。雰囲気はトラットリア、価格はリーズナブル。料理はリストランテ風で、チマチマしていて喜べない。周りは若いカップルでいっぱい。「ターゲットじゃなかった」と反省。
ほぼ毎日、通勤路にあるローソンに寄ります。野菜や肉、卵を買いに。「弁当50円引き」の券をよくいただきますが、使えません。私は、ローソンのお弁当のターゲットじゃないから。
カテゴリー: 食のトレンド
ペットボトル飲料“白湯”が発売。今度は売れる?
11/1、アサヒ飲料からホット専用ペットボトル入り商品「天然水 白湯」が期間限定で発売されました。白湯は、特に女性たちの間ではずっと以前から、健康と美容によいものと認知されています。今回発売に踏み切った理由として同社は、白湯の飲用経験率が年々増加していること、中でも新型コロナウイルス下で「朝からカフェインを摂り過ぎないように、意識して白湯を飲んでいる」などの理由で男性の飲用経験率が高まっていること、「飲みたい時に買えない」といった声が多数寄せられていることを挙げています。
ホットな天然水は、かつても販売されたことがあります。2007年、伊藤園から「あたたかい天然水」が、アサヒ飲料からも14年「アサヒ 富士山のバナジウム天然水(ホット)」が発売されています。健康や美容を気にする生活者の声に応えての発売でしたが、余り続かなかったようです。白湯を飲むのは朝起き立てが効果的と言われていて、外出先での飲用機会はそれほど多くないこと。また白湯に限らず、ホット飲料は品質管理上、加温状態での販売期間が2週間程度と短いことも苦戦した理由のようです。もちろん、熱い支持も一部にはあったようですが、それ以上の顧客獲得には至らなかったのでしょう。
「天然水 白湯」と過去に販売された2つの商品との大きな違いは、商品名に“白湯”と明記されているか否か。“温かい水”と“白湯”。同じものでも、受け取り方は変わります。その違いは、生活者に響くのか。ウィズコロナの今、男性顧客を期待通り獲得できるのか。朝市場を主戦場にしない展開が図れるのか。マイボトルを持ち歩く生活者が増えている現状で、冷める白湯にニーズはあるのか。今後が楽しみです。
ついに自販機にも導入。ダイナミックプライシング
需要と供給、繁忙時と閑散時に合わせて価格を変動させる「ダイナミックプライシング(以下DP)」。食市場のトレンド相関図に、このキーワードが初めて登場したのは、2020年です。宿泊施設の宿泊料や飛行機のチケット代でお馴染みですが、それが小売業、飲食業にも広がり始めたのです。
家電量販大手は、商品表示をデジタル化した「電子棚札」を導入。売れ筋や在庫状況、競合店やネット通販価格などデータを集めて分析し、本部の遠隔操作で販売価格を瞬時に変えることを可能にしました。一方スーパーは、生鮮食品売り場や惣菜売り場でAIを使ったDPの導入を積極的に展開しました。
飲食業界においては、寿司店が食材の仕入れ価格によってその日のネタの価格を変えるのは当たり前。さらには、顧客の信用度によって料理の価格を変えるという逆DPをシステムに取り入れようと画策した予約サイトもありました。
そしてとうとう、自販機にもDPの導入が始まります。富士電機が23年1月に発売するのは、天候や気温、設置場所、賞味期限、在庫状況、売れ行きといったデータを組み合わせて分析し、本部が価格を自由に変えられる飲料の自販機です。現在でも、観光地にある自販機の飲料の価格は街中のそれに比べて高めに設定されていますが、暑い日には冷たい飲料が、寒い日には温かい飲料が、更に値上げされるかもしれません。また作業員が商品を補充する際、日付を専用アプリに入力し、その情報を基に賞味期限が迫った商品の価格を調整する仕組みもあるので、日持ちしにくいホット飲料などはタイミングが合えばお得に買えるかもしれません。
小売業者や飲食業者にとっては、ムダやチャンスロスをなくし、売り上げ増を狙えるDP。米国では、DPの導入で利益が3~7%伸びるとの研究結果もあります。SDGsを追い風に、食品ロスをなくす手段としても、DPに寄せる期待は大きいと思います。
コロナ下で“通年メニュー”になった鍋料理
今年の秋は一気に気温が下がり、例年よりも早い冬の訪れを予感させます。秋口、よく話題に上るのは、鍋市場を直撃する夏の異常気象による葉野菜の高騰です。2010年、「保守消費」「もったいない消費」がトレンドキーワードに挙がるほど消費が落ち込んだこの年。「キャベツ鍋のつゆ」「レタス鍋のつゆ」など、シンプルな具材でいただく節約型の鍋つゆが発売されたのですが、葉野菜高騰で節約メニューにならなくなってしまったという笑えない話も。一方、根菜やきのこで作るトマト鍋や葉野菜不要のおでんが人気に。また餃子を具材にした鍋“炊き餃子”も話題になりました。水餃子との違いは、つゆ。トンコツや鶏ガラのスープで餃子をグツグツと炊くので、スープのうま味が餃子の皮に浸み込み、餃子あんのうま味もスープに移るという、うま味の無限ループが起こります。
ほとんどすべての食材が高騰している今年の鍋市場。昨年、在宅勤務中の手間なしメニューとして人気になった“1肉1野菜”鍋や、具材入りのつゆにしたり、濃いめの味に仕上げたりすることで、1飯1菜を提案する“おかず”鍋が、今年も節約料理として平日鍋の定番になるでしょう。
すき焼き、しゃぶしゃぶ、寄せ鍋。昭和の鍋料理は、週末のごちそうでした。それが、献立を考えなくていい、冷蔵庫にある野菜でできる、後片付けがラクといった理由から、手抜きをしたいときの“冬メニュー”になり、新型コロナウイルス下で「おうちごはん」の回数が増えた昨今は、冬以外でも鍋料理の需要は高く、簡単に食事の用意をしたい日の“通年メニュー”として人気になっています。
アマゾン経由のライフとライフのネットスーパー
“重い荷物を持って歩くのが辛い”という理由で、ネットスーパーをよく利用します。自宅がある地域は東急経済圏なので、クレジットカードのポイント獲得を目的に東急ネットスーパーをよく利用します。ここの弱点は、海外の料理などちょっと尖がったメニューを作ろうとすると調味料やハーブ、香辛料が揃わないこと、チャービルやディルはあるのに、なぜかイタリアンパセリはいつもないこと、「お肉」のカテゴリーに「内臓肉」があるのに商品が何もないときが多いこと。要は、品揃えがよくないのです。
アマゾン経由でライフの商品を買ったことがあります。品揃えが豊富で、欲しいものはほとんど買えます。が、サイトが見にくい。スマホを前提にしているからでしょう。商品が横並びで、スクロールしなくてはならず、探しにくいのです。家の近くにライフがありますが、ネットスーパーを利用したことはありません。アマゾン経由のライフとライフのネットスーパー。ちょっと気になって比べてみました。
配送料はどちらも、購入金額8000円から無料ですが、未満の場合はライフのネットスーパーのほうが安く、商品の価格もライフのネットスーパーのほうがお得。チラシと連動しているので、店頭価格で買えるものもあります。大きな違いは、品切れの対応。東急やライフは電話が入って代替品の確認ができますが、アマゾン経由の場合はSMSに代替品が提示されるだけなので、気付かずに時間オーバーになることがありますし、代用品として使えない商品が届くこともあります。一方、代替品がない場合はキャンセル扱いになります。カレールウがキャンセルされたのに、肉やじゃが芋が配送されるなんてことも起こり得ます。電話なら、それらのキャンセルも可能です。送料+500円で配送時間を1時間単位にできること以外、アマゾン経由を選ぶ理由はないような。
持続可能な水産資源の管理を
今年もサンマは不漁です。3年ぶりに開催された「目黒のさんま祭り」(東京・目黒)では、サンマの提供を取り止める案が浮上したといいます。例年5000尾用意できていた宮城県気仙沼産のサンマ。今年は1000尾。対象を目黒区民に絞ったのですが、それでも高級魚と化したサンマに9000人の応募があったそうです。
毎年この時期の「himeko’s COLUMN」の話題は、ほぼサンマです。そして「不漁で高値」と嘆いています。2017年は、欧米で盛り上がりを見せていたサステナブル(持続可能)な漁業への転換について書いています。それから5年。未だ、日本の漁業が置かれている状況は変わらぬばかりか、年々悪化しているように感じます。18年、漁業法が改正されたのですが。
ノルウェーをはじめとする北大西洋の国々では、漁獲枠を厳格に管理し、幼魚を捕獲しないなど、持続可能な漁業のための取り組みが奏功。漁獲高が安定しているだけでなく、急速に回復している魚種もあります。一方日本では、細くて小さなサバの幼魚も捕獲してしまうため、サバの4割が非食用として養殖のエサなどに利用されています。市場価値が低く、海洋資源の枯渇にも繋がる幼魚の捕獲がなぜ行われているのでしょうか。
魚が獲れなくなった理由としてよく挙げられるのは、海水温の上昇や海洋変動、外国船による乱獲、海水温と潮の流れの変動による魚種の変化などですが、それだけでないことは、他国の取り組みと成果を見れば明白です。魚が獲れなければ、漁業は危険なだけで儲からない仕事。後継者不足になり、ますます日本の食糧自給率は下がります。
専門家の皆さんには科学的根拠に基づく水産資源の管理に尽力していただき、一方私たち生活者は、水産資源の持続可能化に関心を持ち、協力していくべきだと考えます。
「社会的弱者」になって気付くこと
「社会的弱者」という言葉。メディア等でよく耳にはしていましたが、自分もそうなのだと感じる機会が、歳を重ねるごとに増えていきます。
今は目。近視ではありますが、細かい文字に困ることはありませんでした。かつて商品開発の場において、デザイン優先、表現優先で、法令で定められている記載すべき事項については、文字を小さくすればいいと本気で思っていました。「これを読もうなんて人はいないし、読みたければ老眼鏡をかければいいでしょ」と。
が、老眼になった今、当時の自分が、商品開発に関わる者としてどれだけ横暴で破廉恥極まりなかったのか、身をもって感じています。
確かに、原材料表示は余り見ませんが、栄養成分表示や食べ方、レシピなど、読みたい情報が案外あるのです。パッケージA面の情報は、分かりやすい大きな文字なので一度見れば十分。B面の情報をもっとしっかり読みたいと思うのは、見えないからなのか、そんなお年頃になったからなのか。では老眼鏡に助けを求めるのかと言えば、抵抗勢力がまだまだ血気盛んで何とか裸眼で読もうと抗うのです。そんな気持ちも、若いときには分かりませんでした。
最近、大腸炎を患いました。絶食をした後、消化がよいものから食べ始めます。会社でのランチ。軟飯にインスタントのみそ汁を合わせようとしましたが、「選べる6メニュー」のすべてに、食物繊維が多いわかめが入っていて食べられません。私には「選べない6メニュー」です。
アレルギーがある、慢性の疾患がある、咀嚼嚥下に障害がある、宗教上の制限がある、ベジタリアン・ビーガンであるなどなど、広い意味での食市場における“弱者”は、年々増えているのだと思います。
日本で通用する外国の料理名
第4次韓流ブームが続く中、韓流スイーツ「クァベギ」が人気上昇中のようです。「クァベギ」とは、ねじった生地を揚げたドーナツ。韓国の定番おやつです。日本では、クリームを絞ったり、チョコレートをかけたり、フルーツを飾ったりした進化系が人気のようです。
ねじったドーナツはずっと前から日本にもあります。「ねじりドーナツ」では微風も吹かないのに、「クァベギ」と韓国名で呼ばれると、“何それ”と興味が沸くのでしょうね。
「キムチ」「ビビンバ」「ナムル」「トッポギ」「サムギョプサル」「タッカルビ」「プルコギ」「チゲ」などなど、日本でもすんなりと通用してしまう韓国料理の名前は、他国のそれに比べて圧倒的に多いと思います。
例えば、フランス料理。スイーツならば、「エクレア」「クレームブリュレ」「クレープ」などありますが、料理名では「ポトフ」か「テリーヌ」程度でしょう。スペイン料理となると、「パエリア」「アヒージョ」くらいでしょうか。一方、かつて一大ブームを巻き起こしたイタリア料理の場合は、「ティラミス」「パンナコッタ」「ジェラート」、最近では「マリトッツォ」。料理名では「ピッツァ」「ペペロンチーノ」「バーニャ・カウダ」「カルパッチョ」「ミネストローネ」などなど。イタリア料理店が多い日本では当然です。
韓国は、音楽や映画などの文化を武器に外交と経済の活動を進めています。料理もまた然り。日本での韓国料理ブームには、ドラマや映画が一役買っています。では、外国で通じる日本の料理関連の名前は。「sukiyaki」「tempura」「shabu-shabu」「sushi」「teriyaki」「ramen」「surimi」「bento」「sake」「matcha」「umami」など。前半は米国で、後半は欧州で広がりました。近年は、「wasabi」「dashi」「yuzu」なども、少しずつ市民権を得ているようです。
選べるおせちと盛り替えしやすいおせち
今年も、おせち商戦が始まりました。百貨店やスーパー、コンビニ、テレビにネット。おせちの紹介をよく見るようになりました。
近年の傾向を挙げるなら、“選べるおせち”が増えたこと。和風洋風中華風イタリアンとおせちの料理もバラエティ豊かになり、今では、1段目は和風、2段目は中華風でなどという選び方も可能に。今年高島屋が提案しているのは、30品目の中から好みの料理を12品選んでオリジナルが作れる「よりどり彩りおせち」です。
元来おせちは、お重に詰めるもの。ひとつひとつ丁寧に仕上げた料理を、慣習に則って各段に納めます。仕切りのないお重に、彩りよく、味移りなく、見栄えよく料理を盛り合わせるのは、なかなか技術のいる仕事です。が、工場製造、輸送が前提のおせちは、仕切りがあるのが当たり前。前出の「よりどり彩りおせち」は、料理1品1ケース。注文に合わせて、ケースごと詰め合わせるタイプのおせちです。
また手作りする料理と購入する料理を合わせるのも近年の傾向。そんな生活者に、選べるおせちは最適です。加えてお重の用意がない家庭も多く、お皿に盛り替える作業が前提ならば、1仕切り1料理は好都合です。
Oisixの冷凍おせち「宝華」は、1段目には黒豆、伊達巻といった定番の料理が、2段目にはオードブルになる料理が、自分の好みの食べ方、盛り付けが演出できるよう、取り出しやすい小皿に入っています。
お正月の縁起物としてのおせちは、同時に、お正月のご馳走でもあります。それを今風にアレンジすると、このようなカタチになるのでしょう。
元気な高齢者に“前向きになれる食”の提供を
9月第3月曜日は敬老の日。国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人を高齢者としていて、日本の全人口に占める高齢者の割合は、およそ3割です。
先日「徹子の部屋」に、「80歳の壁」の著者で高齢者専門の精神科医、和田秀樹氏が出演。人生100年時代を元気で幸せに過ごすための提案をされていました。番組の最後で和田氏は、「こんなことを言うと愚痴になるのですが」と前置きをなさった後、「本は売れている、みんな高齢者向けの本。いろいろな出版社がまた書いてくださいと言ってくれるが、残念なのは、高齢者向けの新しいエンターテインメントをやりたいから、新しい製品を作りたいから、和田さんちょっとアイデア貸してくださいとか、一緒にプロジェクトに参加してくださいとか言ってきた会社がひとつもないんですよ(※)」とおっしゃっていました。「今、人口の30%もいる高齢者の人に買ってほしいものを探すだとか、楽しんでもらうものを探すだとか、そういうことを、もっといろんな業界がしてほしいとは思いますよ(※)」。
確かにその通りだと思います。高齢者向けの食と言えば、咀嚼嚥下がしやすいよう軟らかく仕上げたもの、タンパク質やカルシウムなどの栄養素を強化したもの、記憶力をサポートする成分が添加されたものなど、加齢に伴う身体的能力の低下を補う目的の加工食品がほとんどです。一方、和田氏は提案の中で、「生活に変化をつける」「残存能力を生かす」ことが大切だとおっしゃっています。食べたことがないものにトライしてみたくなる、咀嚼力や嚥下力を維持するためのトレーニングにもなるなど、元気な高齢者でいるために最も重要だとされる“前向きに生きる姿勢”を応援する食の提供はできないものか。Z世代がそうであるように、高齢者にも「マインド消費」の流れが来ていると思います。
※一部、簡略化しています。