アマゾン経由のライフとライフのネットスーパー

 “重い荷物を持って歩くのが辛い”という理由で、ネットスーパーをよく利用します。自宅がある地域は東急経済圏なので、クレジットカードのポイント獲得を目的に東急ネットスーパーをよく利用します。ここの弱点は、海外の料理などちょっと尖がったメニューを作ろうとすると調味料やハーブ、香辛料が揃わないこと、チャービルやディルはあるのに、なぜかイタリアンパセリはいつもないこと、「お肉」のカテゴリーに「内臓肉」があるのに商品が何もないときが多いこと。要は、品揃えがよくないのです。
 アマゾン経由でライフの商品を買ったことがあります。品揃えが豊富で、欲しいものはほとんど買えます。が、サイトが見にくい。スマホを前提にしているからでしょう。商品が横並びで、スクロールしなくてはならず、探しにくいのです。家の近くにライフがありますが、ネットスーパーを利用したことはありません。アマゾン経由のライフとライフのネットスーパー。ちょっと気になって比べてみました。
 配送料はどちらも、購入金額8000円から無料ですが、未満の場合はライフのネットスーパーのほうが安く、商品の価格もライフのネットスーパーのほうがお得。チラシと連動しているので、店頭価格で買えるものもあります。大きな違いは、品切れの対応。東急やライフは電話が入って代替品の確認ができますが、アマゾン経由の場合はSMSに代替品が提示されるだけなので、気付かずに時間オーバーになることがありますし、代用品として使えない商品が届くこともあります。一方、代替品がない場合はキャンセル扱いになります。カレールウがキャンセルされたのに、肉やじゃが芋が配送されるなんてことも起こり得ます。電話なら、それらのキャンセルも可能です。送料+500円で配送時間を1時間単位にできること以外、アマゾン経由を選ぶ理由はないような。

持続可能な水産資源の管理を

 今年もサンマは不漁です。3年ぶりに開催された「目黒のさんま祭り」(東京・目黒)では、サンマの提供を取り止める案が浮上したといいます。例年5000尾用意できていた宮城県気仙沼産のサンマ。今年は1000尾。対象を目黒区民に絞ったのですが、それでも高級魚と化したサンマに9000人の応募があったそうです。
 毎年この時期の「himeko’s COLUMN」の話題は、ほぼサンマです。そして「不漁で高値」と嘆いています。2017年は、欧米で盛り上がりを見せていたサステナブル(持続可能)な漁業への転換について書いています。それから5年。未だ、日本の漁業が置かれている状況は変わらぬばかりか、年々悪化しているように感じます。18年、漁業法が改正されたのですが。
 ノルウェーをはじめとする北大西洋の国々では、漁獲枠を厳格に管理し、幼魚を捕獲しないなど、持続可能な漁業のための取り組みが奏功。漁獲高が安定しているだけでなく、急速に回復している魚種もあります。一方日本では、細くて小さなサバの幼魚も捕獲してしまうため、サバの4割が非食用として養殖のエサなどに利用されています。市場価値が低く、海洋資源の枯渇にも繋がる幼魚の捕獲がなぜ行われているのでしょうか。
 魚が獲れなくなった理由としてよく挙げられるのは、海水温の上昇や海洋変動、外国船による乱獲、海水温と潮の流れの変動による魚種の変化などですが、それだけでないことは、他国の取り組みと成果を見れば明白です。魚が獲れなければ、漁業は危険なだけで儲からない仕事。後継者不足になり、ますます日本の食糧自給率は下がります。
 専門家の皆さんには科学的根拠に基づく水産資源の管理に尽力していただき、一方私たち生活者は、水産資源の持続可能化に関心を持ち、協力していくべきだと考えます。

「社会的弱者」になって気付くこと

 「社会的弱者」という言葉。メディア等でよく耳にはしていましたが、自分もそうなのだと感じる機会が、歳を重ねるごとに増えていきます。
 今は目。近視ではありますが、細かい文字に困ることはありませんでした。かつて商品開発の場において、デザイン優先、表現優先で、法令で定められている記載すべき事項については、文字を小さくすればいいと本気で思っていました。「これを読もうなんて人はいないし、読みたければ老眼鏡をかければいいでしょ」と。
 が、老眼になった今、当時の自分が、商品開発に関わる者としてどれだけ横暴で破廉恥極まりなかったのか、身をもって感じています。
 確かに、原材料表示は余り見ませんが、栄養成分表示や食べ方、レシピなど、読みたい情報が案外あるのです。パッケージA面の情報は、分かりやすい大きな文字なので一度見れば十分。B面の情報をもっとしっかり読みたいと思うのは、見えないからなのか、そんなお年頃になったからなのか。では老眼鏡に助けを求めるのかと言えば、抵抗勢力がまだまだ血気盛んで何とか裸眼で読もうと抗うのです。そんな気持ちも、若いときには分かりませんでした。
 最近、大腸炎を患いました。絶食をした後、消化がよいものから食べ始めます。会社でのランチ。軟飯にインスタントのみそ汁を合わせようとしましたが、「選べる6メニュー」のすべてに、食物繊維が多いわかめが入っていて食べられません。私には「選べない6メニュー」です。
 アレルギーがある、慢性の疾患がある、咀嚼嚥下に障害がある、宗教上の制限がある、ベジタリアン・ビーガンであるなどなど、広い意味での食市場における“弱者”は、年々増えているのだと思います。

日本で通用する外国の料理名

 第4次韓流ブームが続く中、韓流スイーツ「クァベギ」が人気上昇中のようです。「クァベギ」とは、ねじった生地を揚げたドーナツ。韓国の定番おやつです。日本では、クリームを絞ったり、チョコレートをかけたり、フルーツを飾ったりした進化系が人気のようです。
 ねじったドーナツはずっと前から日本にもあります。「ねじりドーナツ」では微風も吹かないのに、「クァベギ」と韓国名で呼ばれると、“何それ”と興味が沸くのでしょうね。
 「キムチ」「ビビンバ」「ナムル」「トッポギ」「サムギョプサル」「タッカルビ」「プルコギ」「チゲ」などなど、日本でもすんなりと通用してしまう韓国料理の名前は、他国のそれに比べて圧倒的に多いと思います。
 例えば、フランス料理。スイーツならば、「エクレア」「クレームブリュレ」「クレープ」などありますが、料理名では「ポトフ」か「テリーヌ」程度でしょう。スペイン料理となると、「パエリア」「アヒージョ」くらいでしょうか。一方、かつて一大ブームを巻き起こしたイタリア料理の場合は、「ティラミス」「パンナコッタ」「ジェラート」、最近では「マリトッツォ」。料理名では「ピッツァ」「ペペロンチーノ」「バーニャ・カウダ」「カルパッチョ」「ミネストローネ」などなど。イタリア料理店が多い日本では当然です。
 韓国は、音楽や映画などの文化を武器に外交と経済の活動を進めています。料理もまた然り。日本での韓国料理ブームには、ドラマや映画が一役買っています。では、外国で通じる日本の料理関連の名前は。「sukiyaki」「tempura」「shabu-shabu」「sushi」「teriyaki」「ramen」「surimi」「bento」「sake」「matcha」「umami」など。前半は米国で、後半は欧州で広がりました。近年は、「wasabi」「dashi」「yuzu」なども、少しずつ市民権を得ているようです。

選べるおせちと盛り替えしやすいおせち

 今年も、おせち商戦が始まりました。百貨店やスーパー、コンビニ、テレビにネット。おせちの紹介をよく見るようになりました。
 近年の傾向を挙げるなら、“選べるおせち”が増えたこと。和風洋風中華風イタリアンとおせちの料理もバラエティ豊かになり、今では、1段目は和風、2段目は中華風でなどという選び方も可能に。今年高島屋が提案しているのは、30品目の中から好みの料理を12品選んでオリジナルが作れる「よりどり彩りおせち」です。
 元来おせちは、お重に詰めるもの。ひとつひとつ丁寧に仕上げた料理を、慣習に則って各段に納めます。仕切りのないお重に、彩りよく、味移りなく、見栄えよく料理を盛り合わせるのは、なかなか技術のいる仕事です。が、工場製造、輸送が前提のおせちは、仕切りがあるのが当たり前。前出の「よりどり彩りおせち」は、料理1品1ケース。注文に合わせて、ケースごと詰め合わせるタイプのおせちです。
 また手作りする料理と購入する料理を合わせるのも近年の傾向。そんな生活者に、選べるおせちは最適です。加えてお重の用意がない家庭も多く、お皿に盛り替える作業が前提ならば、1仕切り1料理は好都合です。
 Oisixの冷凍おせち「宝華」は、1段目には黒豆、伊達巻といった定番の料理が、2段目にはオードブルになる料理が、自分の好みの食べ方、盛り付けが演出できるよう、取り出しやすい小皿に入っています。
 お正月の縁起物としてのおせちは、同時に、お正月のご馳走でもあります。それを今風にアレンジすると、このようなカタチになるのでしょう。

元気な高齢者に“前向きになれる食”の提供を

 9月第3月曜日は敬老の日。国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人を高齢者としていて、日本の全人口に占める高齢者の割合は、およそ3割です。
 先日「徹子の部屋」に、「80歳の壁」の著者で高齢者専門の精神科医、和田秀樹氏が出演。人生100年時代を元気で幸せに過ごすための提案をされていました。番組の最後で和田氏は、「こんなことを言うと愚痴になるのですが」と前置きをなさった後、「本は売れている、みんな高齢者向けの本。いろいろな出版社がまた書いてくださいと言ってくれるが、残念なのは、高齢者向けの新しいエンターテインメントをやりたいから、新しい製品を作りたいから、和田さんちょっとアイデア貸してくださいとか、一緒にプロジェクトに参加してくださいとか言ってきた会社がひとつもないんですよ(※)」とおっしゃっていました。「今、人口の30%もいる高齢者の人に買ってほしいものを探すだとか、楽しんでもらうものを探すだとか、そういうことを、もっといろんな業界がしてほしいとは思いますよ(※)」。
 確かにその通りだと思います。高齢者向けの食と言えば、咀嚼嚥下がしやすいよう軟らかく仕上げたもの、タンパク質やカルシウムなどの栄養素を強化したもの、記憶力をサポートする成分が添加されたものなど、加齢に伴う身体的能力の低下を補う目的の加工食品がほとんどです。一方、和田氏は提案の中で、「生活に変化をつける」「残存能力を生かす」ことが大切だとおっしゃっています。食べたことがないものにトライしてみたくなる、咀嚼力や嚥下力を維持するためのトレーニングにもなるなど、元気な高齢者でいるために最も重要だとされる“前向きに生きる姿勢”を応援する食の提供はできないものか。Z世代がそうであるように、高齢者にも「マインド消費」の流れが来ていると思います。

※一部、簡略化しています。

91歳、キュートな料理ユーチューバー

 “鉄人”道場六三郎氏の料理動画が好きで、よく見ます。齢91歳のユーチューバーは、おだやかで凛としていて、可愛くて。思わずほっこりしてしまいます。
 紹介する料理は、家庭でよく作られるもの。それを“道場流”の思いつきと勘で仕上げていきます。ハンバーグのタネに残りご飯を入れたり、ガスパチョにエビ白玉を忍ばせたり、発想はユニーク。ただし、なすの皮にミョウバンをすり込んだり、きゅうりに板ずりをしたり、エビを酒煎りしたりなど、下ごしらえは和食の基本を外しません。そのギャップがおもしろいのかもしれません。
 撮影は厨房で行われています。「柑橘あったか」「ちょっと片栗入れてみよう」「蒸し器に入れて1時間置いておく」などなど、食材が何でも揃っていて、弟子たちがさっと手を出してくれて、スチーマーには常に湯気が立っている環境で進んでいく調理は、家庭で手間なく簡単にできますとは言い難く、突っ込みどころだらけなのですが、でも試してみたくなるのは、道場氏の魅力ゆえなのでしょう。
 最後は、自ら実食をして自画自賛で終わります。撮影スタッフから、「(このようなアイデアを)いつ思いついたのですか」と訊ねられると「90歳のとき」とお答えになるのが常で、ユーチューバーデビューを決めたときから、店で提供する料理とは異なる発想でアイデアをストックされていらっしゃったのかもしれません。
 小さな容器にラップをかける過程で、弟子が差し出したのは大きなサイズ。すかさず、「小さいのはないのか、もったいないだろ、ムダだろう、小さい仕事をするんだからそれが大事なことなんだよ」と強めの口調で弟子を諭す場面は私のお気に入り。「おっしゃる通り!」で胸キュンです。

加工食品を試食して

 休日を利用して加工食品を試食することがよくあります。シリーズものはすべてを一度に作り、比較することが常です。決まり事は、パッケージにあるレシピ記載の材料を揃え、レシピ通りに作ること。アレンジは一切加えません。
 例えば、エスニック料理。タイカレーやガパオソースなど簡便性を高めた商品、本国で売られている輸入品などを買い揃え、次々に作って行きます。おもしろいのは、スパイスと調味ソースがキットになっている日本向け商品のほうが、輸入品のペーストなどより、タイ人シェフが腕を振るう東京のタイ料理店の味に近いこと。輸入品のペーストは、本国では超お手軽商品の位置付けなのだろうか。いや、本国ではこちらの味のほうが一般的なのでは。いやいや、本国にはいろいろな味があるのかも。などと想像。タイを旅するときの宿題ができました。
 ある会社の調味加工品。先発の中華料理用に続き、洋風料理用を発売しました。コロナ禍で気軽に行けなくなった外食の味を家庭で楽しんでほしいと開発された商品です。シリーズの中から入手できたものをすべて作りました。中華料理用がかなり安定した味なので、こちらも楽しみにしていたのですが、やや期待外れでした。ソースにコクや深みがなく、そのせいでおいしさの落とし所が定まっていないのです。レシピにある副材料が、マイナスに働いているようにも感じました。タイ料理や中華料理は、メイン素材の肉や魚介に調味料やスパイスを合わせればそれなりに仕上がる味が多いのですが、洋風料理、中でもフレンチの煮込み系は、低価格でソースを作り込み、レトルト加工で理想の味わいに仕上げるのに、かなり苦心するのだと思います。
 試食後、余った料理は冷凍されて私のランチに。同じような料理のローテーションが始まります。

AIが解析!? 肥満因子と減量因子

 太る痩せるのメカニズムは、摂取カロリーと消費カロリーのバランスというのが定説。食べ過ぎれば太るし、運動すれば痩せる。だから食事の量を減らしたり、甘いものを我慢したりして摂取カロリーを抑えることがダイエットの常套手段でした。が、近年は、摂取カロリーを気にしないダイエット法が増えています。
 例えば、基礎代謝を上げて太りにくい身体にするためにタンパク質中心の食事をするプロテインダイエット、糖質を極限まで減らし、足りないエネルギーは脂質で補うケトジェニックダイエット、血糖値を上げる食品を避ける、血糖値を上げない食べ方をする低インスリンダイエット、農耕が始まる前の狩猟採集型の食生活を推奨するパレオダイエットなどなど。
 信州大学発のベンチャー、ウェルナスは、AI技術による動的データ解析によって個々人が必要な栄養素を特定するサービスを始めます。ユーザーが設定した目標(健康・美容・運動機能・学力など)に関連する体重・血圧・筋肉量などの生体データと、日々摂取する食事に含まれる栄養素データを解析して両者の関係性を明らかにし、生体データを改善するために個別最適化された“栄養最適食”のメニューを提案するという内容です。
 この情報の中で私が驚いたのは、人によって生体データに影響する栄養素(関与因子)が異なるということ。例えば、血圧に関与すると言われている“Na(ナトリウム)=塩分”が、血圧上昇因子ではなく、むしろ血圧安定因子として働く人もいるというのです。
 肥満因子として働く栄養素と減量因子として働く栄養素。自分にとってのそれが分かれば、最も信じられるダイエット法になるでしょう。

「涼しい街」勝浦と朝市

 100年以上、一度も35℃を超える猛暑日になったことがない「涼しい街」として、今夏、突如注目を集めることとなった千葉県勝浦市。“クーラーをつけたことがない”“寝る前には靴下をはく”“寝床には毛布を用意しておく”などなど、連日、体感的には40℃超えを耐えている東京人には羨ましい限りです。“本当かいな?”とばかりお盆休みに行ってみました。
 勝浦市と言えば、朝市が有名。ならばと早起きして出かけたのですが、途中、事故渋滞に巻き込まれ、到着したのは10時。朝市は11時までです。朝市通りには、店がポツンポツンとあるだけ。時すでに遅し。
 ならば、せめて海の幸でもいただこうと飲食店に目ぼしを付けますが、どの店も開店前から列ができています。仕方なく、近くのアンテナショップ「かつうら商店」でひと休みしがてら、看板娘たちとおしゃべり。彼女たちも、勝浦市が「涼しい街」として話題になっていることに驚き、移住の問い合わせが急増していることを喜んでいました。が反面、朝市が寂しくなってしまっていることをとても嘆いていました。“三大朝市のひとつと言われると、お客様に申し訳なくて”“以前は100店ぐらい出てたけど、後継者がいなくてずいぶん減ったね”と。活気がない朝市の風景に、早く来なかった自分を責めるのは、どうやら的外れだったようです。
 「涼しい街」を売り出そうと、即PRに動き出した勝浦市観光協会。観光ポスターを刷新したり、空撮動画を制作したり。そのスピード感を生かして、活気溢れる朝市を取り戻すことに、さらに尽力していただきたいと願います。因みに、勝浦市。日陰に入ると確かに風がひんやりとしていました。