安倍政権が目指すデフレ脱却。遅遅として進まないばかりか、小売各社は一部商品で値下げを断行。他方、高価格帯商品の開発にも注力。生活者のメリハリ消費への対応を急いでいます。
イオンは2016年11月から順次、PB「トップバリュ」で、売り上げ規模が大きい主力30品目を5〜30%程度値下げしました。一方、素材・環境配慮型のPB「トップバリュグリーンアイ」を刷新。国際的なオーガニック認証を取得した商品「オーガニック」、抗生物質や成長ホルモンを使用せずに育てた家畜の肉や平飼い鶏の卵などの生鮮食品「ナチュラル」、合成着色料や合成保存料、合成甘味料などを使用しない加工食品「フリーフロム」の3つを新設しました。
またセブン-イレブン・ジャパンは、4月、洗剤や歯磨き粉などNBの日用品61品目の値下げに踏み切りました。値下げは、8年ぶり。値下げ幅は平均5%、最大で20%です。生活者の節約志向が一段と強まる中、販売価格をスーパーやドラッグストアなどの実勢価格に近づけて対応したい考えです。一方、PB「セブンプレミアム」は、生鮮食品を加えるなど全面的に刷新。PBは品質にこだわることで利益を確保、NBは値下げに踏み切って値頃感をアピールします。
モノの値段が下がることは、経済全体を考えたとき、決して喜ばしいことではありません。両社の高価格帯PBが生活者の心を動かす商品であり、市場を活性化させてくれることを期待します。
投稿者: himeko company
低脂肪、高タンパクの肉人気。オージーがアツい!
低脂肪、高タンパクの肉が人気の昨今。オーストラリア産の動物の肉が、密かに人気のようです。
その筆頭は、カンガルーの肉、ルーミート。低脂肪、高タンパク、低コレステロールに加え、体脂肪燃焼と筋肉増強の効果が期待できる共役リノール酸が豊富に含まれています。加えてルーミートは飼育肉ではなく、オーストラリアの大自然で育った野生カンガルーを捕獲し、近代的な専門工場で精肉されているため、完全なフリーフロム。科学的な負荷がありません。濃厚な風味があり、食感は軟らかなのだそうです。
お次は、アリゲーター、ワニの肉。低脂肪、高タンパク。さらに、上質なコラーゲンが含まれています。こちらは養殖が主体で、ワニたちは、自由に動き回れる環境の中、薬品などを使用せず育てられているとか。肉質は、ジューシーで軟らかく、若鶏のような味わいといいます。
その他、砂漠で放牧されているラクダや、ダチョウ、エミュー、ワラビーなども、ヘルシーミートとしてオーストラリアでは食用肉として利用されています。
これらの肉のいくつかは、日本でもネット通販で購入可能ですし、横浜・桜木町には、「珍獣屋」という、変わった肉をウリにしている外食店もあります。ワニの手羽肉は、手と爪まで付いていて、なかなかグロテスクです。
私たちが普段食している肉、牛、豚、鶏も、十分にヘルシーミートです。そこに、牛肉にはうま味を増すためにサシを入れ、豚肉にはおいしい脂身を付加させることに注力してきた過去があります。何の手も下さない自然界の肉が、ヒトにとって最も健康な肉であり、それが注目されている現実は、食に求められる“享楽”と“健康”というふたつの面を見せています。
無料のトッピングを大量にかける“かけすぎ部”
飲食店で、調味料やチーズ、紅しょうがやねぎなどの無料のトッピングを大量にかけて食べる人たちが増えているといいます。彼らが所属するのが、“あればあるだけかけちゃう、かけすぎ部”。現在部員は1万人。創設者は歌手のスガシカオ氏です。今年1月に放送されたバラエティ番組「アウト×デラックス」にゲスト出演したスガ氏が、その“かけすぎる”食のこだわりについて語ったため広く知られるようになり、ネット上で話題になりました。
スガ氏は粉チーズが大好きで、パスタが見えなくなるほどかけるとか。あるお店で会計時に「トッピング代30円いただきます」と言われ、スガ氏は「書いてねえだろ!」と拒否したそうです。部員の活動報告も驚きです。「丸亀製麺」では、うどんに大量のねぎをトッピングしているにも関わらず、小皿にもねぎを取り、なくなったら‟追いねぎ”をする。「スパゲッティーのパンチョ」では、大量の粉チーズをかけながらナポリタンを食べる。「吉野家」では、牛丼に山盛りの紅しょうがを載せるなどなど。もはや、どっちがメインか分かりません。
もちろん、メニューの価格にはトッピングの食材費も入っています。でも、常識の範囲の量の価格です。客側にしてみれば“卓上に置かれた無料のもの”であっても、店側にすれば原価がかかっている立派な商品なのです。
北海道新幹線が開業した2016年3月から函館市で実施されていた傘の無料貸し出しサービスが、今年3月末で廃止されました。用意した2300本のビニール傘のうち200本しか返却されなかったためです。サービスは享受する側にマナーがなければ続きません。「紅しょうが有料ですけど付けますか?」と言われるようになりたいのでしょうか。
こだわりのレモン酎ハイが人気です
ここ1年ほど、酎ハイが人気です。居酒屋やバルでは、女性を中心にレモン酎ハイが売れています。
女性がレモン酎ハイを選ぶ理由の第一は、料理に合うこと。甘過ぎず、酒の香りも弱く、爽やかな炭酸飲料のように飲めます。唐揚げなど、油が気になる料理の後口をすっきりとさせてくれるのもうれしいところです。第二の理由は、美容と体調管理に良さそうだから。レモンに多く含まれるビタミンCは、美白の栄養素として周知のとおり。風邪予防にも効果があり、かつ疲労回復にも役立ち、なんと肝臓の働きをサポートしてくれます。居酒屋で絞ったレモンの皮を積み上げた画像を投稿することが、SNS上で流行っています。
ブームを生んだもうひとつの背景は、店側の盛り上がりです。‟檸檬酎盃研究所”を謳う「おじんじょ」(東京・恵比寿)は、広島の瀬戸田産レモンにこだわり、‟いつもの生レモン酎”、レモンリキュールを加える‟レモンチェッロで酎”などのほか、期間限定レモン酎も用意しています。東京・新宿ゴールデン街にオープンしたレモンサワー専門店の「オープンブック」は、黒糖焼酎をレモンピールで香り付けした後、“ランドル”と呼ばれる特殊なフィルターを使ってレモンの風味を重ね付けした、まるでレモンを丸齧りしているようなレモンサワーを提供しています。また「素揚げや 小岩店」(東京・小岩)は、氷の代わりに凍らせたレモンを入れた“最強レモンサワー”がおいしいと評判です。
一方男性に売れているのは、缶酎ハイ。1缶100円台とビールより安く、しかもアルコール度数はビールより高い7~9度。安く酔えるのが、人気の理由です。
ヘルシースナッキング市場が拡大する中、湖池屋の提案は“中間食スナック”
1日3食より多くの回数に分けて食べる方が、総摂取カロリー量が減り、太りにくくなる―。そんな発想から生まれた“ヘルシースナッキング”。手軽で、しかも間食OKのダイエット法への関心は、一気に高まっています。
すでに森永製菓は、ヘルシースナッキングをテーマに、チョコレートやクッキーなどのお菓子を開発していますし、キユーピーも、“正しい間食は、罪じゃない”と謳うバータイプのスナック「野菜ぎっしりバー」を発売しています。コンビニ各社も、売り場にヘルシースナッキングのコーナーを展開するなど、販売に力を入れています。
そんな中、湖池屋が立ち上げたのが、‟おつまみ以上お食事未満”をコンセプトに‟中間食スナック”を謳う「ひとくちDELI」シリーズです。スナック菓子ですが、位置付けは、‟新・惣菜の候補”。前出の商品が小腹を満たすための間食(おやつ)という立ち位置なら、こちらは、あくまでも食事(料理)の視点から開発されていて、パッケージも惣菜を意識したデザインが施されています。と言っても、商品は、ピザ味のトルティアチップス。今までなかったかと言えば、そんなことはありません。ただ切り口を変えているのです。
どんなものでも小腹解消商品になります。シリアルバーも、チョコレートも、おにぎりも、サラダも、カップ麺も。それは食べる側の意図によって位置付けられます。さらに、それが食事なのか間食なのかもです。
ヘルシースナッキングという言葉が拡散している今、敢えて‟中間食スナック”を謳ったのは、ヘルシー感が欠如しているからでしょう。でも発想は間違っていません。1日3食の食生活が崩れている今、食事とおやつの区別はないのですから。
ヘルシー志向と食事のマナー
薄着の季節に向けて、ダイエットを始める人が増える時期。中でも、ご飯やパン、麺などの糖質を控える低糖質ダイエットや、食物繊維をたっぷり含む野菜から食べることを勧めるベジタブルファーストといったダイエット法は、日々の食生活に比較的簡単に取り入れることができる点がウケて、実践している人が多いと思います。
中年男性に人気なのが、低糖質ダイエット。ランチのご飯を残す男性が増え、ビジネス街の定食屋さんが嘆いています。注文時に「ご飯半分に」とか、提供されたご飯を「減らしてください」とか。忙しく動き回る店員さんを見ると、注文を複雑にしては、手間をかけさせてはという気持ちが働くのも分からないではありません。
最近、洋食のプレートで、付け合わせの野菜だけを先に食べてしまう女性をちょくちょく見かけます。ベジタブルファーストです。メインの料理だけが残ったお皿。違和感を覚えます。
盛り付けられた料理は残してはいけない、食べられないのなら減らしてもらう、料理はバランスよく食べる、好きな物だけ先に食べたり、一点食べをしたりしてはいけない。私たちは、そう教えられてきたと思います。
どう食べようが個人の自由でしょうし、ましてや健康のためだと言われれば、何も言えません。が、ダイエットや健康は、食料をムダにしないという倫理や食事のマナーより優先されるのでしょうか。それとも、そのような考え方自体、既に存在しえないものなのでしょうか。電車の中でのお化粧も然り。そもそも是非を問うことすら、おかしいと思う生活者も増えています。生き辛さは増すばかりです。
セブンプレミアムフレッシュ始動
セブン&アイ・ホールディングスが、発売10周年を機に「セブンプレミアム」を刷新。ロゴを変更するなどかなり力の入った刷新ですが、なんといってもその目玉は、生鮮品のPB「セブンプレミアムフレッシュ」の誕生です。
生産地を絞り、製法を管理したバナナや豚肉、サーモンなど第1弾の約30品目を3/9から順次、売り出しています。セブンプレミアムが目立つのはセブンイレブンの店頭ですが、フレッシュに関しては、イトーヨーカ堂やヨークベニマルなどスーパーが主な販路です。コンビニにはあまり行かない高齢者に、セブンプレミアムの存在と価値を知っていただくためのようです。
例えばセブンプレミアムフレッシュの豚肉は、「カナダポーク」という小麦を多めに配合した独自の飼料を使った豚の肉。価格は100g159円です。私がよく行くスーパーの場合、100g159円は、1アメリカ産 2国産 3国産ブランドの、1と2の間の格。国産にこだわるか、セブンイレブンのPB開発力を信じるか。迷うところです。一度試したお客様が品質と価格を比較した結果、「いままで買っていた国産豚肉より安いのにおいしいから」または「アメリカ産よりちょっと高いけれどおいしいから」とスイッチしてくれれば万々歳。そこまでのアピール力があるとしたら、さすがセブンプレミアムと賞賛されるでしょう。
コンビニは選択肢を求める場ではありません。今欲しいものがあるかないかだけです。一方、スーパーは選択が前提です。販路をスーパーにこだわらず、一日も早くセブンイレブン全店に広げていただけますように・・・一生活者としての私の要望です。
ネット市場から実店舗へ。信頼維持が成否を分けます
ネットショップから実店舗へ進出する元気な企業が続々登場しています。
例えば、食材宅配のオイシックスは吉祥寺と恵比寿に直営店を出し、都内のスーパーを中心に販売コーナーを展開。コスメ・美容の総合サイトのアットコスメストアは、北海道から福岡まで16店舗を出店しています。また野菜宅配のらでぃっしゅぼーやは、食品スーパー大手のライフコーポレーションと組んで、有機・低農薬野菜の店頭販売を始めましたし、同じく野菜宅配の大地を守る会も、スーパー「Odakyu OX」の一部に売り場を構えています。
楽天市場で有数の成功ショップと評価されているコーヒー製造会社澤井珈琲(鳥取・境港)は、昨年10月東京・銀座に路面店を出店しました。店舗は1階がコーヒーと紅茶のショップで地下がカフェという造り。カフェでコーヒーを味わい、1階の店舗で購入し、ネットショップも試すといった、さまざまな環流が期待されています。
ネット市場で成功をおさめた企業が実店舗を展開する理由は、認知度を上げるとともに、信頼性と安心感を実店舗で補完し、さらなるブランド化を図るためです。でもそれは諸刃の剣。澤井珈琲の楽天市場でのユーザー評価は、丁寧な対応や品揃え、スピーディな配送などが評価され、5点満点で実に4.77点を獲得しています。野菜は目で見て手に取って確かめて買いたいという声が大きいにも関わらず、宅配システムが成功しているのは、企業と商品に絶大なる信頼があるからです。実店舗にも、ネットショップと同じレベルの対応と信頼が求められます。悪評は、SNSに載って千里どころかあっという間に地球を駆け巡る時代。実店舗の展開が狙い通りの結果を導くのか。これからが注目です。
わずか2年。ドーナツ戦争が残したものは
ダスキンは2020年までに、「ミスタードーナツ」の約4割に相当する500店でドーナツの店内調理をやめ、近隣の店舗から届けると公表しました。
原因はやはり、コンビニのドーナツ市場参入による売上の低下です。セブンイレブンがドーナツの販売を本格化した2015年。6億個販売、600億円の売上を計画していました。これは、ドーナツ市場の半分を飲み込む計算です。が、全国展開が完了した8月頃には早くも失速。翌年1月には全面リニューアルを開始しています。
一方、ドーナツ市場の9割近くを独占していたミスド。セブンイレブンの脅威に対し、店内でドーナツを揚げていることを武器に差別化が図れるとし、レシピや油の温度などの製造工程を見直しました。また1回に揚げるドーナツの個数を、約70個から、20~30個に減らして商品の鮮度をアップ。「ひと味違う、揚げ立てのドーナツ」をアピールしました。
しかしわずか2年で方向転換。ここに来て“揚げ立て”を放棄する理由は、利益の確保です。揚げないことで人件費を抑えられるほか、設備の保守など経費も削減できます。現行より2~3割売上高が減っても採算が合うよう、利益構造を組み直すのだそうです。さらに、ドリンクバーを導入したり、食事メニューを増やしたりして客単価を引き上げるとしています。
ミスドは、ドーナツで勝負することをあきらめてしまったのでしょうか。因みにセブンイレブンは、ドーナツの個包装化を進めていて、一部店舗ではパンコーナーに並べています。もともと100円コーヒーとの併せ買いを狙って投入したレジ横ドーナツ。今はドーナツより、おにぎりやロールパンの方が、コーヒーとの同時購入の比率が高くなっていると言います。
2年前、火蓋を切った“ドーナツ戦争”。揚げ立てドーナツが簡単に食べられなくなったという結果だけが残りました。セブンのせい? ミスドのせい?
魚介と肉を同時に。欲張りメニュー “サーフ&ターフ”
“サーフ&ターフ”。直訳するとサーフ=海、ターフ=牧草地です。これが料理のカテゴリーとなると、サーフ=魚介、ターフ=肉となります。ステーキとロブスターを盛り合わせた一品など、米国などではお馴染みの昔ながらのメインディッシュ“サーフ&ターフ”。魚介と肉のおいしさを同時に味わえる欲張りなメニューは、最近、よりクリエイティブで多様な料理に進化し、世界のガストロミックなレストランに登場しています。
パリの「パピヨン」では、豚の血入りのソーセージ”ブータン”に、肉厚なノルマンディー産のカキを合わせます。またコペンハーゲンの「レストラン レレ」では、低温調理したマスにカリカリに焼いた鶏肉の皮を重ね、それをパリパリに焼いた長ねぎで覆った一皿が人気です。
東京では、奥渋谷の人気レストラン「PATH (パス)」が、軽く火を通したカキに馬肉のタルタルを載せた一皿を提供。カキのクリーミーさとミネラル感が、馬肉の淡泊な風味を生かしつつ、味わいとボリュームをアップさせています。「L’Octave Hayato Kobayashi(ロクターヴ・ハヤト・コバヤシ)」(東京・渋谷)では、穴子のグリルに、とろりとしたフォアグラをソース代わりにからませます。「KABCO(カブコ)」(東京・六本木)では、海の幸と熟成肉のマリアージュのコースを展開。その中のひとつ、カキと熟成肉を合わせた”牡蠣肉”は、カキの天然アミノソースが熟成肉のアミノ酸と絡み合う絶品だといいます。
一方、和食店でも“サーフ&ターフ”は大人気。行列が絶えない高級立ち飲み割烹「かねます」(東京・勝どき)の“生うに牛巻き”は、高級海鮮のウニを贅沢な和牛で巻く、同店の”顔”と言われるメニュー。毎朝、築地で仕入れる鮮魚を使用した料理がメニューに並ぶものの、ほとんどの人が “生うに牛巻き”を目当てに足を運ぶというほどです。