フランスの冷凍食品専門店 Picard 日本1号店がオープン

 フランスの冷凍食品専門店「Picard(ピカール)」の日本1号店が、11/23に東京・青山の骨董通りにオープン。早速、行ってみました。
 店内は、壁際に縦型、中央に置き型の冷凍ショーケースを配しただけのいたってシンプルな造り。装飾類は一切ありません。パッケージングされた冷凍食品がショーケースに並べられているだけです。ショーケースのガラス越し、しかも曇っているので、魅力的なはずのフランスブランドの商品パッケージがよく見えず、発せられるアピール力は強くありません。
 商品は、アペリティフからメインディッシュになる肉や魚の料理、パスタやラザニア、パン、デザート、冷凍野菜などの素材系まで約200種。ひとりのランチ、家族との夕食、友達を招いてのパーティ。どんなシチュエーションにも対応できるバラエティ豊かな品揃え。しかもすべてが凝った料理で、見た目も美しく、オシャレ感満載です。実際、ランチ時には近隣のOLたちがパスタなどを求めていました。
 私もランチ用に“白トリュフとシャンピニオンのタリアテッレ”と“クロワッサン(10個入り)”を買いました。前者は500Wの電子レンジで7分加熱、後者は180度のオーブンで25分焼きます。価格は、両方とも780円。お気付きの通り、毎朝焼き立てのクロワッサンを食べたければ、30分早く起きてオーブンを温める習慣を身に付けなくてはなりません。ラザニアやグラタンなど、電子レンジでも加熱できますが、やはりオーブンで焼いた方がおいしく仕上がります。
 冷凍食品はレンチンか自然解凍。それが当たり前の日本において、オーブンで焼くという作業を、面倒と思うのか、優雅な過程と思うのか。食の付加価値がまたひとつ試されます。

野菜価格高騰で有り難味が増すカット野菜と冷凍野菜

 秋の台風、長雨、日照不足が原因で、野菜価格が高騰。11月には落ち着くと言われていましたが、なかなか下がりません。
 よく行くスーパーの場合、未だに、大根や人参、ねぎ、ピーマン、じゃが芋などは割高感を感じますし、レタスは1人1個までなど、個数制限が付くこともあります。一時期よりは下がってきましたが、白菜も例年より高く、ねぎの高値も手伝って鍋料理の選択にも知恵を要します。ニラともやし、キャベツで作るモツ鍋とか、野菜は大根のみのおでんとか。葉野菜が高いとき、子どもがいる家庭の強い味方が、カレー鍋やトマト鍋やシチュー鍋。でも、じゃが芋や人参がなかなか安くならず、今のところ、貢献度はあまり期待できません。
 こんなとき有り難いのが、カット野菜や冷凍野菜です。ちょっとした付け合わせや副菜の一品として、またラーメンのトッピングなど、用途は多岐に渡ります。冷凍のほうれん草やブロッコリーは、どうしても水っぽくなり、軟らか過ぎるのですが、それをどう料理すればおいしく食べられるのか。生の野菜を使っているときには考えもしなかった発想が生まれます。
 そうそう、ピーマンが高かったので、味の素のCook Do青椒肉絲用のカット野菜を購入しました。が、中国産筍水煮の量が茨城県産ピーマンを凌駕していて「竹笋(中国語で筍)肉絲」に。カット野菜会社もピーマン価格の高騰に頭を痛めているのでしょうね。

即食フロアを1階に配したダイエー江坂駅前店

 今年5月リニューアルオープンしたダイエー江坂駅前店(大阪)。気になったのは、通常、生鮮と加工食品など調理食材を配する1階を、即食フロアにしたことです。
 そこで販売されているのは、寿司やおにぎり、サンドイッチ、サラダ、煮魚、唐揚げといったパック惣菜と、その場で盛り付けられるカレーやみそ汁、店内で焼き上げた100円パン、冷凍食品やカップ麺などの加工食品です。23席のイートインスペースがあり、電子レンジ10台、湯沸かしポット2台が置かれています。店内で購入した惣菜やカップ麺をその場で食べることができます。冷凍食品が食べたければ、使い捨ての皿やフォーク、割り箸を無料提供してくれます。
 惣菜は、東京に比べると一様に安く、ボリュームもたっぷり。大阪の人をうらやましく思う瞬間です。100円パンはそれなり。女子にとってパンは嗜好品です。“100円だから”を感じさせてしまう商品ってどうなの?と思います。ちょうど昼食時だったので、イートインスペースは8割ほどの混み具合。おにぎりと惣菜、カップ麺とおにぎりなど、組み合わせはコンビニと変わらないようで、即食に力を入れているスーパーとしては、少し物足りなさを感じます。
 “健康のために毎日手軽に野菜を食べる“というコンセプトで、当初は1階に設置されていたスープベジコーナーが2階に移され、規模も商品アイテムもぐっと縮小されていました。せっかくトレンド性のある展開に挑戦したのに、商品力がなかったのか、展開方法を間違えたのか、あきらめの早さにちょっとがっかりです。そうそう、お酒売り場が2階にありました。今流なら、これは即食フロアでしょう。

サイゼリヤが展開する隣同士ワンコインのパスタ店

 サイゼリヤは10/17、茅場町駅近くにスープパスタのファストフード店「ズッパ・ディ・パスタ」をオープンさせました。メニューは、紙カップ入りのスープパスタとパンのセットで500円(税込み)のみです。スープパスタは、トマト系とクリーム系ときまぐれの3種から1種を、パンは、グリッシーニやフォッカチャ、大麦ブレッドなど4種を、小さな袋に自由に詰められます。席は、小さなカウンターと小さなテーブルのみで4人分しかありません。テイクアウトが基本です。サイゼリヤは、スープパスタと称していますが、どう考えても、パスタスープです。パスタ料理としてのボリューム感はなく、量も少なめ。4種のパンもすべてチープな味わいです。
 隣のビルには、やはりサイゼイヤが運営する「スパゲッティ マリアーノ」があります。こちらは7/7にオープンした、スパゲティのファストフード店です。以前は、「ズッパ・ディ・パスタ」の場所にありました。10種類ほどのスパゲッティ料理を470円から楽しめます。オーダーとともに、レジ横のオープンキッチンで調理開始。ソースをフライパンで加熱しながらスパゲッティと絡め、透明のカップに盛り付け。提供までの時間は、1-2分です。ランチは、これにポテトサラダとおかわり自由のドリンクバーサービスが付いて500円(税込み)。味も量も十分なレベルです。
 「ズッパ・ディ・パスタ」と「スパゲッティ マリアーノ」。隣同士、同じワンコインで満足感は雲泥の差。この実験におけるサイゼリヤの狙いは、何なのでしょうか。

火を囲んで和めるレストランが人気です

 今、キャンプのように薪火や炭火で焼き上げる料理を提供する外食店がブームです。7月には、東京・自由が丘に「Campfired Grill & Café THE BANFF」が、永田町に「Anchor Point」がオープンしました。
 私が注目していたのは、5月に代官山にオープンした「ファロ」。アクアパッツァ出身の樫村仁尊シェフが腕を振います。やっと先週末、行ってきました。店の造りはいたってシンプル。カウンターがぐるりと囲むオープンキッチンの中央に炉があり、ねじり鉢巻きにエプロン姿の樫村シェフが肉や魚介、きのこなどを炭火で焼き上げていきます。おすすめは、もちろん炭火焼き。ロースやタンを塊のまま焼き、切り分けて提供します。塊で焼いたポルケッタも外せません。備長炭の輻射熱を利用したローストは、とってもジューシーで、やさしく火を通した肉のうま味を存分に味わえます。
 樫村シェフは、直火でローストするというシンプルな料理がしたくてこの店をオープンさせたと言います。開店直後、前出のような類似の大型店が次々にオープン。正直焦ったそうですが、逆にトレンドに乗ったカタチになってしまったとか。
 先行き不安な今は、まさに癒しの時代。火を囲んで集える外食店に、お客様は温かな和みのひとときを求めているのかもしれません。加えて、分子ガストロノミーなど難しい料理が流行りました。素材の味を生かした焼きっぱなしのシンプルな料理へ、揺れ戻しが起こったのだと思います。

女子栄養大学。香川綾氏から引き継がれるバイタリティ

 先日、女子栄養大学、短期大学等を運営する香川栄養学園の新理事長就任パーティがあり、学校関係者や協力会社など、約350人が参加しました。
 我が母校である、女子栄養大学。創立者の香川綾氏が「すべての人が健康で、そして幸せであるように」という思いから、昭和8年、自宅を改造して作った教室で、約20人の生徒を集めてスタートさせた「家庭食養研究会」が始まりです。綾氏は、ビタミンB1を含む胚芽を残して精米することで、当時流行っていた脚気を予防できることを発見。食事だけで健康を取り戻せるという新事実は、綾氏にふるえるほどの感激を与えたと言います。綾氏は、「いつかは栄養学の大学を」という大きな目標を持ち続け、昭和10年には「栄養と料理」を刊行。戦禍を被りながらも学びを続け、25年には、念願の栄養学に特化した初めての大学「女子栄養短期大学」の設立に至りました。プロの料理を再現できる料理カード、計量カップ、計量スプーン、四群点数法など、綾氏が残した財産は、今も私たちの食と健康を支えています。
 パーティでは、多くの先輩たちが顔を揃えました。皆さん、女子栄養大学が世に送り出した、食と健康の世界における財産です。食事管理がしっかりしているからでしょう。皆さん、とにかく元気。年齢を意識させないのは、張り切った毎日をお過ごしの証拠です。会話に出てくるのは、会社を設立した、新しい本を出版した、子どもの食教育の場を作った、京都に勉強に行くなどなど、チャレンジと研鑽の話しばかり。少しだけ若い私は、そのバイタリティにただただ驚き、自身の怠慢さを恥じるばかりでした。

ベンチャーが農業を儲かるビジネスにする

農業ベンチャーが、新しい農業のカタチをつくろうとしています。
農業総合研究所(和歌山)が展開しているのは、生産者が、栽培した農産物を都市部のスーパーで自由に販売できるプラットフォーム。約700店の都市部のスーパーに「農家の直売所」を開設。登録した5,000以上の全国の生産者が、全国約60ヵ所の集荷場に持ち込んだ農産物を販売しています。生産者は、どのスーパーにいくらで売るのかを自分で決めることができるうえ、農協や市場を通さないため、手取り収入がこれまでの30%程度から65%ほどにアップしたといいます。
プラネット・テーブル(東京・渋谷)は、農協のルートには乗りにくい規格外の野菜を業務用に流通させ、主に都内の飲食店に卸しています。煮込んでスープにしたり、細かく刻んだりする野菜は、形が悪くても、キズがあっても使えます。やり取りはスマホ。1個から即日配送するため、開始から1年で全国3,000の生産者、900の飲食店が利用しています。
UPFARM (東京・港)が始めたのは、「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」の点数で米の価格を決める“米風土(まいふうど)ブランドプロジェクト”。コンクールで審査対象となる“食味値” が価格設定の基準になります。100点満点で80点以上を獲得した米だけをUPFARMが点数に応じた価格で農家から買い取り、「米風土」の通販サイトや百貨店などで販売。小売価格は、80点台で1.8kg2000円前後と、高級米の代表銘柄、新潟コシヒカリの2倍以上です。
政府は今、農協改革に積極的に取り組んでいます。民間の動きは、それとは一線を画すもの。保護から自由化へ、画一性から多様性へと、農業が魅力的なビジネスになるための挑戦が、いろいろなところで始まっています。

人手不足の小売・外食業界に起こる機械化の波

 好景気でもないのに、小売・外食業界では、相変わらず人手不足が深刻な問題になっています。この問題を解決すべく、機械化が進んでいます。
 今、急拡大しているトンカツ・カツ丼市場。松屋フーズが展開する「松乃屋」の伸長を支えているのは、オートフライヤーです。衣を付けた豚肉を油の中に入れると、ベルトコンベヤー式または水車のような回転式で豚肉が自動的に揚げ上がる機械で、注文から5分で提供できます。イオンはショッピングセンターに、自動走行機能付きの業務用ロボット掃除機を400台導入します。夜間の床清掃を無人化することで人手不足を解消。同時に、年間1億5000万円の経費削減が可能と試算します。
 オーダーをタッチパネル式に転換するのは、「鳥貴族」。導入コストは1店当たり200万円程度かかりますが、その分、1~2人店員を減らすことができ、加えて混雑時にもオーダーがしやすくなることで、客単価が上がると見ています。一方、すき家が導入するのは、金庫一体型のレジです。売上金のデータが本部に送られるのはもちろん、売上金は自動で金庫に保管され、保管された売上金は警備会社が集金してくれます。これまで手作業で行っていた売上金のチェックや金融機関への入金作業などが不要になり、人件費の削減に繋がるといいます。
 スーパーやコンビニなどの小売店、ファストフードや居酒屋などの外食店は、経験のない主婦や学生でも入りやすい労働の場として重宝がられ、家庭経済の一端を支えてきました。一億総活躍社会の呼び声とは裏腹に、熟練者しか活躍できない労働市場が着実に広がっています。

ウーバーイーツを試してみました

 米国の配車アプリ大手「ウーバーテクノロジーズ」が港区と渋谷区で始めた、料理宅配の仲介サービス「ウーバーイーツ」。早速、試してみました。
 まずスマホにアプリをダウンロード。名前や住所、クレジットカード番号など基本情報を入力します。いよいよ食べたい料理を検索。インド料理、イギリス料理、カレー、刺身、チョコレート、朝食、ヘルシーとカテゴリー分けもユニーク(?)。ひとつの店舗がいろいろなカテゴリーに属しています。繁忙時やランチとディナーの間の時間など、デリバリーの料理を作れないときは「休業」も可のようで、「次回のご注文開始は午後5時からです」というメッセージが掲載されています。
 私は、イタリアンの中からまったく知らない店舗をチョイスしました。オーダー確認の画面の後、「準備しています」→「配達しています」とメッセージがあり、配達員が今どこにいるのか、地図で確認することができます。オーダーから到着まで約40分。料理はそこそこおいしく、冷めてもいません。キャンペーン中ですから配達料金もなし。プロの味を家で味わえる点はいいと思いますが、包材に盛り付けられた料理の貧弱さは、やはり否めません。店で食べるときと同じ金額に見合うかと言えば、疑問です。配達員は江東区から来ていて、ずっと港区と渋谷区を回っているのだとか。もはや本業です。
 料理宅配で知った店に実際に行ったことのある人は、2-3割と言います。基本的に短時間で配達できる近隣の店しかオーダーできませんから、店の存在を気付かせ、来店に繋げる効果は大きいのかもしれません

米国の料理宅配サービス上陸

 アメリカの配車アプリ大手「ウーバーテクノロジーズ」が、料理宅配の仲介サービス「ウーバーイーツ」を日本で始めました。同社は6月、日本で初めて一般の人が運転手となり、客を有料で同乗させる、いわゆる白タク事業を、京都府京丹後市で始めたばかり。タクシー業界の強い抵抗に遭い、苦しいスタートを強いられています。
 料理宅配エリアは、渋谷区と港区が中心で順次拡大していく予定です。配達員は、こちらも一般の人。審査を受けた個人がドライバーとなり、好きな時間に自転車か125cc以下の原付きバイクで配達をします。すでに、「大戸屋」や「焼肉トラジ」など150以上の飲食店が加盟。1000人以上がドライバーとして登録しているといいます。料理の金額は、来店時とほぼ同じ。配達料は当面無料で、「ウーバーイーツ」が負担。認知と拡散を図ります。
 同様のサービスをすでに展開しているのは、宅配寿司「銀のさら」や宅配御膳「釜寅」を運営しているライドオン・エクスプレス。「ファインダイン」という名称で、最低配達金額を2000円程度に設定、配達手数料として合計金額の15%を申し受けます。こちらの場合、宅配システムをフル活用できる意味では資産の有効利用と言えます。
 2014年、LINEが「LINE WOW」という同様の出前サービスを始めましたが、わずか1年足らずで撤退しています。「ウーバーイーツ」はいかに。現在加盟している外食店の6割が宅配は初めてとか。同じ料理でも、皿に盛り付けるのと使い捨て容器に盛り込むのとでは、商品価値はぐんと変わります。また一般人の配達員に、料理を運んでいるという自覚を徹底させることはできるのでしょうか。とにかく一度、利用してみましょう。