人気の商店街。活気があって店の種類が多いこと

 地元住民に愛され続けている商店街。それが今、土日を中心に、他地域からの客やインバウンドなども訪れ、ちょっとした観光名所になっています。活気のある商店街として有名な、品川区にある戸越銀座商店街、北区の十条銀座商店街、江東区の砂町銀座商店街。人気のある商店街の共通項を、ネットの「商店街調査」を基に利用者の声から探ってみました。この調査は、週に1度以上商店街を利用する生活者100人に対して、商店街の「好きなところ」「改善して欲しいところ」などをアンケートしたものです。
 「好きなところ」をまとめると、人気の商店街の条件は、活気があってお店の種類、数が多く、コストパフォーマンスのよいお店や美味しいお店があるということになります。好きな店、常連の店があると答える人も多く、個人経営の店があるということも重要なポイントのようです。一方、「改善して欲しいところ」は、30%の人が“アーケードがない”と答えてトップに。次は選択肢に“あてはまるものはない”が25%程度。“人が多くて混雑している”が続きます。雨除け、日差し除けの目的で、アーケードを求める声は多いようです。因みに、アーケードのある吉祥寺サンロード商店街の利用者に対するアンケートでは、60%の人が好きな理由に“アーケードがある”を挙げています。
 おもしろいのは、「好きなところ」に“個人経営の店がある”という一方で、「改善して欲しいところ」に“チェーンのコーヒー店がない”という意見があったり、“活気がある”のは良しとしながらも“混雑している”のが嫌という意見もあったりするところ。多様な価値観で語られることは、商店街が誰にとっても魅力的である証拠です。

生徒と保護者が不信感を抱く学校給食とは

 神奈川県大磯町の中学校の給食。食べ残しが多いという話題がテレビのワイドショーで取り上げられていました。大磯町で給食が始まったのは、2016年1月。校内に調理室がないため、弁当を配送してもらう形で始まりました。当初から、「冷たい」「味が薄い」「おいしくない」と生徒たちのクレームが多発。残す生徒も多く、残食率は全国平均の6.9%を大きく上回る26%。最も多かったのは“照り焼きハンバーグ”のメニューで残食率は55%でした。
 冷めているのは、細菌の繁殖を防ぐ意味において仕方のないこと。味が薄いのは、大磯町教育委員会から「食育のため薄味に」との要請があるからとのこと。味が薄い冷めた“照り焼きハンバーグ”が生徒たちに不評なことは、容易に想像できます。
 そんな状況の中、多発した異物混入。生徒たちの給食への不信感は一気に増幅しました。その件数、町長の発表では開始時から84件。このうち15件は業者の工場での混入が確認されたものの、残りの件数については、いつ混入したものか分からないといいます。あってはいけないことですが、毛髪や虫、ビニール片などは工場での混入が推測されます。一方、混入物の中には、シャープの芯などもあり、一部報道では生徒を疑うかのような表現がされていました。
 食育は、食べてもらわなくては意味がありません。味が濃い加工食品に慣れた子どもたちに、何の工夫もなく薄味を押し付けても拒絶されるだけです。食事は楽しいことが最も大切です。ここまで深刻化した状態から、給食に対する不信感を払しょくすることはかなり困難でしょう。この問題、弁当製造業者の変更で片付くものではありません。大磯町教育委員会は、給食に対する取り組みを根本から考え直し、そのことを一日も早く、生徒と保護者に伝えるべきだと思います。

サンマの不漁と遅れる日本の認証取得

 今秋も、とっても悲しいことに、サンマが不漁です。実際、近くのスーパーで求めたサンマは、小さくて痩せていて。いつもはワタを粗塩に埋めて塩辛を作るのですが、ワタも小さくて作る気が萎えてしまいました。スルメイカも同じく不漁です。小さくて身は薄々。里芋と煮たらもっと小さくなって。味も見た目も寂しい煮物になってしまいました。
 サンマの漁獲量は、ここ数年で最も豊漁だった2014年の同時期の半分にも及ばないとか。各地で計画されていたサンマを味わうイベントも、主役のサンマ不足で取り止める自治体も出ています。海水温の変化や他国の漁獲量の増加などが原因ですが、先週号の“himeko’s VIEW”で取り上げたように、そもそも水産資源は、地球的規模で枯渇化が進んでいるです。
 そんな実状に対し、欧米では、サスティナビリティ(持続可能性)の機運が盛り上がっています。海に囲まれ、海の恵みをどの国よりも享受してきた日本人は、誰よりも先に取り組まなくてはいけない課題だったはずです。が、日本は、持続可能で適切に管理され、環境に配慮した漁業を認証するMSC認証など、世界的認証を外国に比べるとまだまだ取れていないのが現状。日本での認証は、京都のアカガレイ、北海道のホタテ、宮城のカツオ、ビンナガマグロの4つしかありません。
 取得に必要な事務作業やコストが膨大なこと、日本は欧米に比べて普段食べる魚の種類が多いことが理由になっています。加えて、手間とコストをかけても生活者や流通業者の認知度が低く、高い価格で売れるとは限らないことも積極的取得に水を差します。東京オリンピックに向けて、生活者への啓発を含めた、水産業者から小売りまで一体となった取り組みが必要です。

産業という側面だけでは測れない食の世界

  玩具販売大手の米国トイザラスが経営破綻しました(日本トイザらスは100%子会社ですが、今回の案件の対象には含まれていません)。ショッピングモールでよく見かける大型店には、子どものおもちゃからベビー用品、ランドセルや自転車、クリスマスの電飾まで、何から何まで揃っています。昭和の時代、街角には個人経営のおもちゃ屋さんがたくさんありました。それがトイザラスの上陸で、あっという間になくなってしまいました。そのトイザラスが今、ネットショップに押されているのです。
 ファストファッションのブランドとしていち早く日本に上陸したGAPも、経営不振に喘いでいます。ユニクロやしまむらといった和製ファストファッションからの圧力に加え、デザインが平凡過ぎるという批判もあります。誰でも着られる無難さがウケた時代もあったのですが。確かに、ZARA 、forever 21、 H&Mなど後発のブランドは、デザイン性を重視しています。ファストファッションの隆盛によって、街の洋品店は姿を消し、百貨店は集客に苦しんでいます。そして今、服にお金をかけたくない若者たちは、メルカリなどのフリマアプリで服を売ったり買ったりする時代。ファストファッションにも終焉説が流れています。
 食はどうでしょう。日本に初めてファミリーレストランとファストフードが登場したのが1970年。ブランドアピールとチェーン展開を武器に、外食市場という大きなマーケットを生み出しました。では今、おもちゃ屋や洋品店のように個人経営の店は消えたのかと言われれば、そうではありません。個人経営の喫茶店は減少しましたが、今また、店主のこだわりに惹かれて通うお客様が増えています。
 成長と拡大が常に求められ、効率化を図って生産性を上げなくてはならない産業としての外食。そこにはないもの、それと相反するものも同時に求められるのが、食の世界です。

店舗から玄関先へ。宅配に乗り出す小売各社

 商圏人口が細る中、小売各社は、生き残りのカギを握るのは“お客様の玄関先まで商品を届ける物流”だといいます。特に過疎化が進む地方では、自前で物流を手掛けてドライバーが接客にあたったり、物流業者を活用したりする取り組みが始まっています。
 北海道の「コープさっぽろ」は、宅配の小型拠点を道内各地に増やしています。商品の鮮度を守るだけでなく、配送時間を短縮する分、利用者とのコミュニケーションをより密にするためです。過疎化が進み独居老人が急増する中、生協の宅配は重要な社会インフラになっていて、配達員との会話を楽しみにしている高齢の利用者も多いといいます。
 一方ダイエーは、お客様の代わりに店内で買い物をし、それをお宅へ配送することを専門に担当する‟コンシェルジュ”を配置する新サービス「お買物らくらく便」の試験運用を始めています。利用対象者を60歳以上に限定。カタログによる受注は、ネットではなく、電話かFAXだけで。受注から梱包、配送までを同じ担当者が行うことで、利用者との個人的な関係を構築し、顧客の囲い込みに繋げるのが狙いです。
 買い物代行サービスとしては、シンガポールのベンチャー企業「オネストビー」が日本での展開を本格的に始めました。スマホを使ってスーパーや専門店の商品を注文すると、買い物コンシェルジュが商品を厳選し、それを配達員が最短で1時間以内に届けてくれます。アマゾンフレッシュなど、ネット展開の食品販売とは異なり、地域の店舗で購入する商品を届けるシステムなので、小売店と競合することはなく、むしろ販売量を上げてくれる存在と言えます。

ウェザーマーチャンダイジングは体感温度で

 先週後半、東京は10月並みの気温になりました。朝の空気はしっかり冷えていて布団を引っ張り出したぐらいです。
 気温を商品戦略に生かす手法が、ウェザーマーチャンダイジングです。冬から夏に向けて温度が高くなるにつれて売れるものを「昇温商品」、反対に夏から冬に向けて気温が下がるにつれて売れるものを「降温商品」といいます。例えば「昇温商品」には、カレー、炊き込みご飯、梅のおにぎり、和風きのこスパゲティ、冷やし中華、豆腐サラダ、酢の物、トマトのサンドイッチ、ビール、アイスなどが、「降温商品」には、天丼、のり弁当、ツナのおにぎり、ミートソース、カルボナーラ、煮物、おでん、カレーパン、肉まん、日本酒などがあります。暑くなると、冷たいもの、辛いもの、フレッシュ感があるもの、さっぱりとした味のものを求め、反対に寒くなると、温かいもの、コクがあるもの、食べごたえのあるものが欲しくなるようです。冬に備えて脂肪を蓄えようとしているかのようで、ヒトも自然の摂理の中に居ることを感じます。
 18度を切るとおでんが売れ始めるのは有名な話です。でも大事なことは、気温そのものではなく、体感温度です。35度近くの気温を度々体験している私の体は、30度を涼しいと感じ、20度は肌寒いと認識します。気温差があればあるほど体感は強くなります。この夏、豪雨の日が何日かありました。豪雨の前には、必ず急激に気温が下がります。天候不順な日が増える一方の日本。気温の変化を、季節や月で区切るのではなく、日々、そして1日の中で把握することが求められています。

地元産食材人気と健康志向で売れるブランド鶏

 スーパーの精肉売り場。かつて鶏肉と言えば1種類。ももやむねなど部位の違いだけでしたが、最近は、若鶏、○○地鶏、△△鶏といった、さまざまな名前の鶏肉が並びます。
 因みに、「若鶏」は別名ブロイラー。孵化後3カ月未満のもので、大量生産を目的に品種改良されているため、少ない飼料で短期間に大きくなります。「地鶏」は、日本農林規格が定める条件をすべてクリアしたものだけに付けられる名称で、在来種由来の血統が50%以上であることなどの他に、平飼いで、しかも1平方メートル当たり10羽以下の環境で飼育していることなど育て方も決められています。「銘柄鶏」は、地鶏のような厳密な規定はありません。若鶏より飼育期間を長くしたり、良質なエサを与えたりすることで、味が良くなるよう工夫されています。
 スーパー各社、銘柄鶏でオリジナリティを演出しています。イトーヨーカドーは「奥州こくみ鶏」、イオンは「純輝鶏」、ヤオコーは「香味鶏」、西友は「みちのく鶏」、ライフは「純和赤鶏」と「桜姫」を販売。価格は、「若鶏」の1.6~1.8倍で決して安くはないのですが、健康志向の高まりを背景に、人気上昇中の鶏肉だけあって、よく売れています。国内出荷比率を見ても、若鶏の53%に迫る46%。残り1%は地鶏です。
 ブランド鶏が人気なのは、小売りだけではありません。地元産の食材が人気の中、地場産の鶏が欲しいという外食店からの声を受けて、各地に地元開発のブランド鶏が続々登場しています。
 米国抜きのTPP、米国との二国間協議等の結果次第では、輸入食品の規制が緩和され、食に対する不安が高まるでしょう。安全安心を求める生活者のニーズは、地元産の食材、ブランド鶏の販売拡大に追い風になることは間違いありません。

券売機の混雑をガチャガチャで解消したサービスエリア

 お盆休み中、家族連れで混み合った高速道路のサービスエリア。中でも話題だったのが、舞鶴若狭自動車道西紀サービスエリアです。理由は、31日までの期間限定で展開されている“ガチォ飯”。
 お客様は、券売機の代わりに、お金を入れてガチャガチャを回します。出てくるカプセルには、おもちゃならぬ、メニュー名が書かれた紙が入っています。料金は500円。メニューは、天ぷらうどんや唐揚げカレーなど常時売られているもの20種類。平均価格は750円相当、最低価格のメニューでも600円ですから、お客様は、必ず得をします。大当たりもあって、メニューは、牛丼と牛肉そばまたはうどんが食べられる2100円相当の「但馬牛づくしセット」。当たる確率は3%です。
 このサービスを始めたきっかけは、会議における社員の「飯は何でもいいねんけど」という一言。お客様は、食べる料理を決めて券売機に並んでいるわけではない。だから自分の番になると迷ってしまい、列が長くなるのだと。実際、ガチャガチャを導入してから、券売機に並ぶ人はほとんどいなくなったと言います。
 お得感とワクワク感がウケて、11~13日の3連休には1日最高2千人が利用。メニューを安く提供しているにもかかわらず、フードコートの売上は前年比2割増し、集客力がアップしたことで、サービスエリア全体の売上も増加しました。
 お客様が集中する時間、券売機に行列ができて入り口付近が混雑するなど、悩んでいる施設は少なくありません。券売機も、メニューの画像を提示できるタッチパネル式など、選びやすさを考えた開発は進んでいるのですが、やはり問題は、お客様の迷いにあります。迷わせない工夫がガチャガチャとは・・・。ユニークな発想とそれを実行した遊び心に脱帽です。

増えるスーパーのアウトパック化

 外食市場では、カスタマイズできることが、最上のサービスであり、強力な武器になっています。サラダショップしかり、サンドイッチショップしかり、鍋専門店しかり、パンケーキ屋ですら、生地からトッピング、ソースまで選び放題の店も登場しています。
 一方、最近自由が利かないのが、スーパーです。精肉や惣菜をアウトパック化している店舗が増え、不自由極まりないのです。先日、夫の実家に親戚が集まるので焼き豚を作ろうとスーパーへ。500gの豚肩ロース肉が欲しかったのですが、ありません。聞くと、明日なら準備できるとのこと。翌日に受け取りに行くと、薄い塊。厚みのある塊が欲しかったのですが。バックヤードに行ってみると、以前は合ったスライサーなどの加工機器は、きれいに片づけられていました。これでは、店頭でのお客様の注文には応えられません。
 惣菜も同様です。食品メーカーやスーパーのパックセンターがパッケージ化してお店に納品するアウトパック商品が増えています。そのため、好きな料理を必要な量だけ取れるバイキングスタイルの惣菜売り場は少なくなっていますし、メニューは定番料理が増えて店ならではの個性的な商品は見られなくなりました。
 人手や衛生の問題を解決してくれるアウトパックですが、商品は画一化されます。お客様の要望には応えられず、店のオリジナリティは希薄になります。スーパー各社は、PB商品の展開に注力していますが、これも同様。客側にとっては、選ぶ楽しさやお気に入りの味を失うことにも繋がります。
 外食市場は今、面倒だと避けてきたことに積極的に取り組むことが求められています。それに対してスーパーは、時代の流れに逆行しているように思えてなりません。

枯渇する海洋資源。持続可能な利用推進を

 年々、日本の漁獲高が低下し、価格が上がるサンマ。先月13日から札幌市において、サンマなどの資源保護について話し合う国際会議が始まり、日本政府は初めて、国と地域別の漁獲制限を提案しました。加盟国は、日本や中国、台湾など8つの国と地域。サンマをめぐっては、北海道や東北などでの水揚げ量は減少している反面、中国の年間漁獲量は2012年からの4年間で約30倍に激増、台湾の年間漁獲量も4年連続で日本を上回っています。日本の水域に到達する前のサンマを太平洋沖で乱獲しているのではないかと懸念されているのです。日本の提案に対して、中国も台湾も反発。合意には至りませんでした。
 一方米国・NY。5/31、サスティナブルと地産地消をテーマに掲げる寿司店「マヤノキ」がオープンしました。この店は、カリフォルニア州・モントレーベイ水族館が開発した、持続可能な魚介類を見分けるアプリ「シーフードウォッチ」を使用。ネタに表示しています。魚介の種類を入力すると、絶滅危惧種なら赤、現状で問題ない種は黄、まったく問題ない種には緑のマークが出現。同じ種類でも、産地によってマークの色は異なるといいます。これに則り、「マヤノキ」では、赤マークの魚介類は決して使わず、代わりに、NY近郊や東海岸産の新鮮なネタを提供しています。
 日本においても、漁船の網にかかっても無名のため捨てられてしまう未利用魚を寿司ネタに利用。珍しさや希少性が話題になって繁盛している寿司店があります。店側にとっては食材費が抑えられ、客側にとっては新しい出会いがあり、両得です。
 きっと世界中のどの国よりも海の恵みを享受し、それを食文化にまで昇華させた日本。今こそ、枯渇の一途を辿る海洋資源の持続可能な利用を推進する模範国となるべきではないかと思います。