夏休み。大変なのは、子どもの昼食

 「夏休みは、大変!」。お母さんたちの声です。学校が休みになり、子どもの昼食問題が始まります。
 オイシックス・ラ・大地が、首都圏在住の幼児または小学生の子どもを持つ女性を対象に実施した調査では、「子どもが夏休みの時期は普段の生活より“大変”“疲れる”“憂鬱”と感じる」人が75.2%いました。理由は「家族に食事を作る回数が増えるから」がトップで、「普段の生活に比較して、特に負担がかかる家事」は「昼食の調理」が最多。「お弁当作り」と合わせると、67.6%が該当すると答えています。
 まさにその通り。私の場合、息子は保育園に通っていました。朝早くから、夜遅くまで預かってくれる保育園に頼り切っていましたから、小学校に上がった瞬間から、まさに育児が一変したような気がしました。1年生は帰宅時間が早く、土曜日はお休み、もちろん夏休み期間は学校がありません。放課後や夏休みは学童保育に行かせ、お弁当を持たせました。学童保育がお休みの日は、昼食をどうしようかと悩んだものです。
 私は、スーパーやコンビニの弁当・惣菜開発の7、8月のテーマに「子どもの昼食」を必ず挙げます。なかなか採用していただけませんが、自分が困っていたので、身につまされるのです。成長期に必要な栄養素がバランスよく整えられた子どもが好きな料理が詰まったお弁当なら、購入する価値があります。そしてそれが、“手作りしていない”“手抜きでは”と考えてしまいがちなお母さんの“後ろめたさ”を払拭する理由になります。楽しい夏休みを家族みんなが楽しめるよう、家庭の食をサポートする商品がもっともっと必要です。

取り組み急務。メインユーザーの高齢化

 加工飲食品のメインユーザーの高齢化が進み、その対策が急がされています。
 キユーピーは、マヨネーズの容器に付いているキャップの穴を1つから3つに変更。穴のサイズを小さくすることで、細い3本線が描けるようになります。なぜ今、キャップを変えるのか。理由は、キッズ戦略。模様が描けるようにして、“マヨネーズをかける”体験をさせることです。“子どもはマヨネーズが大好き。そのまま大人になって、何にでもかけちゃうマヨラーになる!”などというイメージはもはや幻想です。子どものときママがかけてくれたマヨネーズ。長じて一人暮らしをすると、マヨネーズが冷蔵庫にない若者が多いとか。実は、キユーピーのマヨネーズのメインユーザーは60代。50代がそれに続きます。一方、若年層のユーザーはかなり少ないといいます。マヨネーズは、コンビニのツナマヨおにぎりやサンドイッチ、ポテトサラダで口にするだけで、料理にかけていただくという発想は、日常にはないのかもしれません。
 「リプトン」ブランドの紅茶を扱うユニリーバ・ジャパンは昨年夏、期間限定のカフェを東京・表参道にオープン。アイスティーに好みの果物を入れる飲み方「フルーツ・イン・ティー」を提案しました。リプトンの顧客は現在40代が中心。SNSで話題になりやすい写真映えする飲み物として提案することで、20~30代女性の需要を開拓したいという戦略です。狙いは見事に命中。連日、炎天下に、若い女性たちの長蛇の列ができていました。
 サバブーム、ロングライフ食品ニーズの両方を追い風に、生産量ではツナ缶を抜いたサバ缶。こちらも購入者の7割が50代以上です。近年は、若い女性の取り込みを狙って、缶におしゃれなデザインを採用したり、パスタやパンに合うようトマトやカレーで味付けしたりした商品なども発売されています。

学習塾と業務提携。セブンの顧客囲い込み戦略

 セブン&アイ・ホールディングスが、通信教育「Z会」や学習塾「栄光ゼミナール」などを展開する増進会ホールディングスと業務提携したという知らせに、驚いた方も多いのではないでしょうか。小売業と教育産業。どんな利益関係が生まれるのかと。
 Z会は、添削による通信教育では老舗中の老舗。添削してもらう答案用紙のやり取りは、ずっと以前は郵便で、その後はFAXになり、今はネットでのサービスも行っています。そのFAXによるやり取りに、「セブンイレブン」のマルチコピー機が利用できるようになります。また学習塾に対しては、塾弁が大変な保護者のためにセブンミールが提供できます。これにより、若者や子どもたちとの接点が増えます。さらに、セブン&アイHDは、自社が運営する商業施設に、増進会HDが展開する学習塾や英会話教室の誘致を検討。集客力のアップを狙います。加えて、セブン&アイHD傘下にはベビー用品を扱う「赤ちゃん本舗」があります。Z会は、幼児教育にも力を入れていて、ここにも親和性が生まれています。
 既に、セブン-イレブン・ジャパンとZ会は、高校生を対象に、スマホのサイトで出題される問題に5問連続で正解すると「セブンイレブン」で使えるクーポンが受け取れるイベントを開催。約10万人が参加したといいます。
 近年、店舗数においては飽和状態と言われ、高価格戦略で客単価は上がったものの、集客数は低下する一方のコンビニ業界。起死回生を狙って各社がどんな一手を繰り出すのか、今後が楽しみです。

スタバとマック。プラスチックストロー完全廃止に

 先週、米国スターバックスは2020年までに、米国マクドナルドは2025年までに、プラスティックストローを全面廃止すると発表しました。
 海には、年間1000万トンのプラスチックごみが投棄され、それが海洋生物の生態系を壊しているといいます。テレビのニュースやSNSでは、鼻に入ってしまったストローを抜いてもらう痛々しいカメの様子が映し出され、それは、世界中の人々の心を動かすのに十分な衝撃でした。両社の英断にも、少ながらず影響していると思われます。
 スターバックスはプラスティックストローがなくても飲めるよう、新しいプラスチックのリッド(ふた)を開発しています。結局、プラスチックなのですが、こちらは再生可能といいます。また紙製のストローの導入も考えていますが、プラスチックに比べて10倍のコストがかかるため、使用商品の値上げに繋がるかもしれません。
 海に行くと、流木や小枝と一緒に、多くのプラスティックゴミが流れ着いている光景を目にします。意図して捨てたものなのか、水害で流出してしまったものなのか、それは分かりません。ただ、分解されない物質で作られたものによって享受した便利さのツケが回ってきているのは事実です。近年、多くの魚や魚の缶詰、カキやムール貝から、“マイクロプラスチック”と呼ばれる長さ5ミリメートル未満のプラスチックくずが見つかっています。既に、私たちの口に入っているかもしれません。

周りの視線が気になる乙女心にハマった透明飲料

 オレンジジュース、コーラ、カルピス、乳酸飲料、紅茶からビールまで、透明な飲料がブームです。
 なぜ、透明にできるのか不思議ですね。紅茶に関しては、サントリー食品が昨年11月1日、紅茶の日を記念して透明な紅茶飲料の製法を動画で公開しています。それによると、茶葉の下から蒸気を当てて紅茶の香りが付いた水蒸気を集め、冷やして液体にしたものが透明な紅茶になるとのこと。ミルクティの場合、加える牛乳は、牛乳に含まれている成分の中から、「乳糖」と「乳清ミネラル」という透明な成分のみを抽出して使用することで、透明でありながらコクのあるミルクの味わいが実現できるそうです。
 透明な飲料に関しては、テレビ番組でもいろいろ取り上げています。生活者の声は、賛否両論。クリアな感じがいいという意見もあれば、ケミカルなイメージがあってイヤという意見もあります。さまざまな声の中でおもしろかったのは、よく利用するという女性の「オフィスのデスクの上に置きやすい」という意見。コーラやジュースなど甘い飲料をデスクに置いておくと、「だから太るんだよ」という声無き声が聞こえるのだそう。でも透明なら水に見えるから気にしなくていいと言います。飲料ひとつにも周りの目を気にする乙女心、よく分かります。
 かなり昔、清涼飲料の商品開発をしたとき、コンビニや自販機で手軽に買えて歩きながら飲む飲料は、ストリートファッションのアイテムとして捉えなくてはならないとメーカーに提案しました。その飲料を持っている自分が素敵に映る、ずっと持っていたいと思えるものでないといけないと。先の女性の言葉から、そんな過去の話を思い出しました。

東京都受動喫煙防止条例が成立で心配なこと

 東京都が独自に定める受動喫煙防止条例案が先月27日、賛成多数で可決、成立しました。これにより、従業員を雇っている飲食店は原則禁煙。喫煙ルームを設置すれば喫煙可能ですが、中で飲食はできません。これに対し国の法案は、客席面積が100㎡以下で個人などが営む既存の飲食店を喫煙可能としていて、明らかに都の方が厳しい内容になっています。
 都の受動喫煙防止条例は、子どもと従業員を受動喫煙の害から守ることが主目的です。ですから、従業員が喫煙ルームに入らなくても済むよう、中での飲食は禁止になっているのです。都によると、都内の飲食店の84%が規制対象になるそうです。この条例は、2020年東京オリンピック・パラリンピック直前の平成32年4月に全面施行されます。
 飲食店が基本禁煙になるのなら、私は、喫煙スペース以外の路上喫煙も、全面的に禁止すべきと考えます。飲食店を一歩出ればたばこが吸えるとなれば、路上喫煙は増えるのではないでしょうか。大きな駐車場を持つファミリーレストランなどは、駐車場の隅に喫煙スペースを設置することは可能でしょうが、都心部の飲食店では、そうはいきません。
 夜な夜な、インバウンドを含めた大勢の大人たちで賑わう恵比寿横丁。20の小さな飲食店が軒を連ね、狭い路地にまでテーブルが並びます。喫煙できる店もあるのですが、やはり隣の人が気になるのか、横丁を出て喫煙する人が多く、出入り口に面する道路は吸い殻だらけです。横丁は復活しましたが、街は以前より汚れています。

懐かしくて新しい! アップデートフード

 近頃、卵サンドやソフトクリーム、プリンやコロッケなど、ちょっとノスタルジックなフードが話題になっています。癒しのニーズが高まると、必ず回顧主義が強くなり、分かりやすいもの、よく馴染んでいるものが注目されるようになります。しかも最近は、昔ながらの味だけでなく、魅力を活かしながら時代に合わせてアップデートした、懐かしくて新しい‟新レトロフード”が人気です。
 “アップデートフード“として根強い人気があるのが、ソフトクリームとプリンです。アップデートなソフトクリームは、一時流行った、ジェラートやソルベといった果汁はじけるジューシー系ではなく、牛乳の味が全面に出たミルキーなソフトクリームです。またプリンは、とろけるタイプやフレーバーが豊富に揃うタイプが一時ブームでしたが、今は、ビターなカラメルがアクセントの、昔懐かしい皿の上でも立つほどの固めタイプが主流。苦くて固いプリンは、男性をも虜にしています。
 昔から変わらず親しまれてきたコロッケにも、より自由で個性的なアップデート系が登場しています。世界中からお客様が訪れる人気レストラン、東京・赤坂の「TAKAZAWA」のシェフが監修するコロッケ専門店、銀座の「TAKAZAWA 180(イチハチマル)」では、油で揚げない‟ベイクンコロッケ”を提供。ヘルシーなだけでなく、素材の持ち味や食感を生かした仕上がりが人気です。定番の‟フライコロッケ”も、ティラミスやトムヤムクンなど、個性的な味をラインナップしています。他にも、さまざまに工夫されたコロッケを販売する専門店が増えていて、おしゃれに仕上げられたそれは、まるでスイーツのようです。

昭和より多くの食品を口にしている平成人

 縄文時代、日本人は、1500種のモノを食べていました。それが、農耕が始まると500種に減り、そして今は、数十種しか食べていないといいます。食の供給が安定されたことで、野草やねずみ、水亀など、採取して食べるものは、労力と確率の面から敬遠されたのでしょう。
 そんなに昔ではなく、昭和と今を比べてみましょう。食卓に上る料理の品数は明らかに減っています。一汁三菜の献立はとても無理、という家庭は多いのではないでしょうか。でも食品を作るための原材料まで数えると、今のほうが圧倒的に多いと思います。
 例えば昭和の食卓の場合、ご飯は米と水、みそ汁は野菜や豆腐(大豆とにがり)とみそ(大豆と塩と麹)とかつお節と昆布、焼き魚なら魚と塩、煮物なら野菜としょうゆ(大豆と小麦と塩と麹)と砂糖。こんな程度です。
 が、今は―。家庭の料理においては、簡便調理品や合わせ調味料を使うことが多くなりました。そして、それらには多くの原材料が使われています。発色や食感をよくするため、保存性を高めるため、形状を安定化させるため等々。先出の豆腐にしても、スーパーで買うことが当たり前になった今、原材料は大豆とにがりの他に、硫酸カルシウム、グルコノデルタラクトン、塩化カルシウムなどの凝固剤、油脂系消泡剤、グリセリン脂肪酸エステル、シリコーン樹脂などの消泡材が使われています。コンビニやスーパーの弁当・惣菜の原材料表示は、文字数が多いため文字はどんどん小さくなり、読めません。外食においても、業務用食品を利用している店がほとんどですから、家庭の料理同様、いえそれ以上に口に入る食材の量は多いでしょう。
 ひょっとしたら、平成人は縄文人より多くのモノを食べているのかもしれませんね。

76.4%の有職女性。「家事は仕事よりツラい」

 家事は仕事よりツラい―。オイシックスドット大地が、20〜50代の有職女性を対象に行った調査結果で、そう思う瞬間がある女性が76.4%に上りました。はっきり言って、家事は仕事より大変です。これに子育てが加わると、仕事なんて息抜きです。あくまで私感です。家事がツラい理由は、「同じことが毎日繰り返されるから」「終わりがないから」「休みがないから」など。家事の中で「ツラい」と思うものと「ちゃんとしたい」と思うものは、どちらも「掃除」と「料理」。「料理作り」がツラいと感じる理由は、「作るのが大変だから」「時間がないから」「献立が決まらないから」などです。
 また求人サイト「はたらこねっと」運営のディップがサイト利用者を対象に行ったアンケートによると、夫、妻ともに週5日勤務、1日7時間以上勤務する人は、夫が71%、妻が65%。勤務日数と勤務時間に夫と妻でそれほど差はないのに、夫婦間の家事分担の割合は、妻が67%、夫が9%とその差は大きく、10%は、家事を一緒にすると答えています。男性も家事をやるようになったとは言え、現状はまだまだこんなものです。
 厚生労働省によると、2017年の共働き世帯は、専業主婦世帯の1.85倍にまで増えているといいます。ミール・ソリューション、HMR(ホーム・ミール・リプレイスメント)という言葉が米国から入ってきたのが1990年。そこから30年近く経っても、未だ、家庭の料理は解決されず、妻の負担は軽くはなっていないようです。まずは、夫も家事の主役であることを自認すること。そのうえで、できないことは無理をせずに外部化すること。割り切ることも、生活を楽しむためには必要です。そして、食の提供を生業としている私たちには、多様な解決策を用意することが求められています。

日本人は睡眠難民 !

 日本人の約6割が睡眠に満足できず、85.2%が「睡眠改善に関心がある」と答えています。
 実際、日本人の平均睡眠時間は主要28ヵ国で最短。男性の平均睡眠時間は6時間半、女性は6時間40分で、世界の平均睡眠時間と比べると30分以上短いという調査結果があります。加えて、睡眠中の体の動きや心拍数から分析する睡眠の質に関しては、5段階で世界平均が3.2だったのに対し、日本人平均は3.0。ほぼ真ん中の数値ですが、28ヵ国中25位です。
 理由のひとつが、スマホ。スマホを寝床に持ち込むことがあると答えた人は、30代で男性78.4%、女性82%、40代で男性55.1%、女性57.4%、50代で男性34%、女性43.6%です。入眠前のスマホ利用が睡眠障害に繋がるというのは知られた話。それでも手放せない生活者のなんと多いことか。加えて、NHK放送文化研究所の「国民生活時間調査」によると、最近は早起きの習慣が広がっているとのこと。働き方改革で企業が残業を禁止する中、仕事を終わらせるために出社時間を早める、‟朝型”シフトの生活者が増えているようです。仕事のために早起きし、スマホを見ながら夜更かしをする―。自ずと睡眠時間は短くなります。
 キリンビバレッジは、機能性表示食品飲料「キリンサプリ」シリーズから快眠をサポートする「ヨーグルトテイスト」を発売しました。味の素の睡眠サポートサプリ「グリナ」や、エスエス製薬の睡眠改善薬「ドリエル」も、販売は好調です。生活者の景況感が改善傾向にある昨今。仕事に遊びに疲れている生活者の“睡眠の量と質”へのニーズは、ますます高まっています。