平成最後の晦日。3時代に渡り仕事を続けられる幸せ

 平成最後の晦日が終わろうとしています。来年5月には新元号が始まります。
 弊社は、昭和63年11月22日に創立しました。そして1ヶ月半後の翌年、昭和64年1月7日に昭和天皇は崩御されました。それ以前からご容態が芳しくないことは伝えられていましたから、来るであろうその日を国民全体が覚悟しているような気配が漂っていました。スポーツの大会やイベントなどは延期、もしくは中止になり、テレビ広告では“幸せ”や“おめでたい”に通じる内容、言葉はすべて差し替えられました。国を挙げての自粛ムード、弊社の業務にも少なからず影響がありました。民間人のお葬式に当たる大喪の礼は、2月24日。昭和天皇の棺を乗せた車の葬列が、冷たい雨が降る東京の街を走る映像が流され、その画像の暗さは、今でもはっきり覚えています。
 その後平成に入り、時代は一気にバブルへ。弊社にも次々と仕事が舞い込み、お断りするくらいでした。しかも業務に対する報酬が、今思えば信じられないほど高く、それを当然だと思っていました。夜な夜な、フレンチ、イタリアン、和食と食べ歩き、クラブで踊り、バーで飲み、まさにバブルに浮かれ、酔いしれていました。
 そしてバブル崩壊。暫く低迷が続いた経済は徐々に復活し、内閣府は先ごろ、景気回復の長さが高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超えたと発表しました。と言っても、実感はありませんが。
 昭和の終わりに誕生した「ひめこカンパニー」は、まさしく平成と共に30年を歩んできました。今、31年目を迎えています。昭和、平成、そして次の元号と、3つの時代に渡り仕事が続けられることを幸せに思うとともに、お世話になっております皆さまに、衷心より感謝申し上げます。そして、今後とも、よろしくお願い申し上げます。

今は安い鍋野菜。このところの寒さが心配

 今年は初夏に雨の日が多く、日照不足だったため、夏から秋にかけて、ブロッコリーやきゅうり、人参などの価格が高騰しました。加えて、7月下旬以降の猛暑で果実の落花が多く、トマトも高くなりました。
 その後秋に入り気温が高い日が続いたため、白菜やキャベツ、レタス、大根などは成長が早く、例年より大きく、太くなっています。寒い日に食べたい、鍋物やおでんの食材はほとんど安くなっていて、鍋野菜が高騰した昨冬のことを思うとうれしい限りです。
 が、気になるのはこのところの寒さ。暖かかった11月から一転、12月は1月並みの寒さになっています。昨冬も12月中旬から1月にかけて低温状態が続き、1月22日、関東地方は大雪に見舞われました。加えて昨年は、10月の長雨や台風の影響で、12月にはすでに白菜やキャベツ、レタス、ほうれん草、大根などは高値が続いていて、特に白菜と大根は平年の2倍以上に。それが12月の低温の影響で1月に入っても一向に下がる気配を見せず、大根抜きのおでん、白菜やねぎを使わない鍋料理を考えるなど、笑いごとではない状態が続きました。
 今年はそうならないよう願うばかりですが、今、葉物野菜が安いうちに鍋料理を堪能しておいたほうがいいかもしれません。

スペインで楽しむシェリーとカバ

 先週に続き、スペイン旅行の話を。
 スペインのお酒と言えば、シェリー。ポルトガルのポート・ワイン、マデラ・ワインと並ぶ、世界三大酒精強化ワインです。酒精強化ワインとは、醸造過程でブランデーなどのアルコールを添加することでアルコール度数を高めたワインで、こうすることで、気温が高い地域でも保存がしやすくなり、かつ長期の輸送にも耐えられ、同時に風味に個性を持たせることができます。日本では、ティオ・ペペ (ぺぺおじさん) が最も有名なブランドです。生産地のヘレス・デ・ラ・フロンターレで、ティオ・ペペの製造場所を訪ねました。大きな樽がいくつも並ぶ中、ジャン・コクトーやアイルトン・セナのサイン入りの樽に混ざって、昭和天皇「裕仁」のサインの樽もありました。私は20歳代、ティオ・ペペのフィノを好きになり、そこから、アモンティリャード、オロロソと、いろいろな種類のシェリー酒を堪能しました。今も、よく冷やしたシェリー酒をいただくのが、夏の楽しみになっています。
 お酒繋がりでもうひとつ。スペインでも、ホテルの朝食はビュッフェです。ハモン・セラーノやハモン・イベリコ、ドライサラミのチョリソなどたくさんの肉加工品、多種のチーズが並びます。そして用意されているのが、ワインクーラーで冷やされたスペインのスパークリングワイン、カバ。もちろん、いくら飲んでもいいです。これには感激。イベリコ・セラーノとフレッシュなチーズをつまみに、朝からカバ。シエスタを待たず、朝寝が始まってしまいます。

1000円でしっかり楽しめるスペインのバル

 先月、スペインに行きました。南部のアンダルシア州の街を転々とする旅行です。イタリア同様、スペインも北と南の経済格差は大きく、独立運動が起こっている、バルセロナを州都に置くカタルーニャ州と比較すると、州民1 人あたり生産所得格差指数は3倍の開きがあります。
 そんな南部は、物価が安いです。スペインと言えば、バルとタパス(小皿料理)ですが、タパスは3ユーロぐらいでいただけます。メニューの一番上にあるのは、どこの店もほぼ「ハモン・イベリコ」。イベリコ豚の生ハムです。これがパン皿程度の大きさの皿に盛られてきます。肉や豆の煮込み、チーズも同様。3-4人でつまみ程度にいただくなら、充分な量です。グラスワインは1.5ユーロ程度。ですから、一人1000円もあれば、しっかり楽しめます。
 スペインではメインの食事は昼食です。今でもシエスタの習慣が残っていて、14時から17時、道路に張り出したパラソル付きテーブルを囲んでゆっくりとランチを食べながらおしゃべりをしてお休みします。だから店はほとんど閉店。買い物には不便で、17時の再開を待たなくてはいけません。“郷に入れば郷に従え”と、私も3時間飲んだり食べたりして過ごすのですが、昼のワインは魔物。眠くなるわ、だるくなるわで、もはやショップ巡りの元気はなし。3時間も休んだ後、また仕事に戻れるスペイン人ってすごいと感心した次第です。

ゆっくり、でも確実に拡大するオーガニック食品市場

 米国では、ホールフーズ、トレーダージョーズ、スプラウツなどオーガニックスーパーは馴染みのある存在です。日本でも、米国ほどではありませんが、ナチュラルハウスが国産オーガニック食品の店として35年以上の歴史を刻んでいますし、他にも東京・国立のマザーズや大阪・靭のビオラルなど有機野菜にこだわるスーパーは多く、個店やネットショップなども含めると、オーガニック食品専門店は、決して珍しい存在ではなくなっています。
 通常の野菜より5割ほど高いオーガニック野菜。日本では、なかなか拡がらないのではと思っていました。が、普及のスピードは速くないものの、安全性や環境への意識の高まりで、オーガニック野菜を支持する生活者は確実に増えていると思います。
 早くから、有機野菜に着目していた野菜宅配大手のオイシックス・ラ・大地の3月末時点の宅配定期購入会員数は、16万9000人。計画を上回る数で、3年間で7割伸長しています。同社と提携して専用の売り場を設けるスーパーは全国に約35店。3年間で2倍以上に増えました。
 2年後の東京五輪に向けてインバウンド対応のひとつとして、外食市場においても、オーガニック食材の重要性は高まるものと考えます。
 農林水産省によると、2009年のオーガニック野菜の国内市場規模は、04年比で3.3倍の約1300億円。09年以降、現在まで右肩上がりが続いています。16年末時点の米国の4.7兆円、欧州の3.7兆円には遠く及びませんが、それだけに市場拡大の余地はまだまだあると言えるでしょう。

今年の〆市場はいかに

 今年もいよいよ忘年会の季節。今年の〆市場はどうでしょうか。
 昨年実施されたぐるなびの調査では、“夜の外食の〆のメニューとして思い浮かぶもの”として、デザート・スイーツ類が首位になりました。話題になったのは“〆パフェ”です。10月には東京・渋谷に、北海道発の“〆パフェ”専門店「パフェテリアベル」がオープン。〆に合うようにフルーツとアイスの甘さや酸味を調整した、さっぱりとした味わいのパフェが人気でした。同様に、“さっぱり〆たい”酔客にウケたのが、かき氷。東京・六本木の「yelo」は、朝5時まで営業する店。アルコールを揃えてバーとして運営しているものの、〆のかき氷目当てのお客さんがほとんどだと言います。
 居酒屋チェーン各社も、〆による客単価アップを狙って知恵を絞りました。「養老乃瀧」では、かつてランチ用に販売していた「養老牛丼」を〆メシとして十数年ぶりに復活。一方、「旬鮮酒場天狗」では、深煎りのイタリアンエスプレッソコーヒーを使用したゼリーを、「鳥貴族」は定番のアイスのほか、スペインの揚げ菓子チュロを揃えました。
 飲酒をすると、排尿などで体内の塩分量が低下します。また、アルコールは肝臓で分解され、二日酔いの原因になる猛毒のアセドアルデヒドが発生します。このアセドアルデヒドの分解をスムーズにするために、アラニンやオルニチンといったアミノ酸が必要になります。かつて〆の王道と言われたラーメンには、塩分もこれらのアミノ酸もしっかり入っています。酒を余り飲まない今の若者たちには、そんな体の欲求は起こらないでしょう。〆のバリエーションがスイーツに流れるのも理解できます。

人手不足を追い風に進むキャッシュレス化

 小売りや外食の市場でキャッシュレス化が進んでいます。
 いち早く取り組んだのがコンビニエンスストア。ローソンは春、深夜のレジを無人にする実験をしました。東京都内の数店舗にスマホアプリで決済ができるレジを設置。午前1時から4時までレジを無人にしました。これにより、最大3時間分のレジ作業の労働力を減らせると分析しています。ファミリーマートも経済産業省の指導で、商品に価格情報などを搭載したICタグを貼り付け、客が自分で会計する無人レジの実証実験を同省内の店舗で実施しました。
 外食市場では、ロイヤルホールディングスが10/2、訪日外国人の来店を意識した、現金払い不可の実験店舗「大江戸てんや」を東京・浅草に開きました。この店舗、来店客の約9割が訪日外国人。メニュー数を4種に絞り、決済手段はクレジットカードや「アリペイ」「ウィーチャットペイ」などで、順次増やしていく予定です。プロントコーポレーションも商業施設「二重橋スクエア」に11/8、「プロント」のキャッシュレス1号店をオープン。上層階がオフィスのため交通系カードなど電子マネーを持っている人が多く、受け入れられやすいと判断したそうです。2020年までに30店出店する計画です。
 日本人のキャッシュレス決済比率は2割程度とか。日本では偽札の心配がないこと、貨幣の質がよいのに加え、日本人はお金に対して神聖なものという感覚があり、丁寧に扱うため汚れていません。それが、米国や中国と比べてキャッシュレス化が進まない理由です。ただここに来て、キャッシュレス化がかなりのスピードで進んでいることを感じます。その理由はいう間でもなく、深刻な人手不足です。

健康が心配。草食男子

 草食男子という言葉がマスメディアに初めて登場したのは、2006年。女性に対して淡泊。異性とも肩を並べて草を食べることができる優しい草食動物というイメージから生まれた言葉です。
 最近私が気になるのが、この草食男子です。コンビニエンスストアの調査で、いろいろな場所にある店舗を周りました。その中のひとつが、ビジネス街の店舗。大きなオフィスビルの地下1階、広いイートインスペースが併設されています。昼時、多くのビジネスパーソンがどっと来店します。レジ近くで皆さんが買っているものを拝見すると・・・。
 驚いたことに、男性でボリュームたっぷりの弁当を買っている人はわずか。一番人気は、なんとサラダです。サラダにプラスおにぎりやサンドイッチや具だくさんのスープなどの併せ買い。サンドイッチの中でも、たっぷりの野菜をトルティーヤで巻いたラップサンドが人気でした。
 野菜が足りていない、野菜を食べなくては。男性客のほとんどが、そんな強迫観念にかられているのではないかと思えるような光景でした。まさに草食男子の群れです。デスクワークが中心としても、1日2000kcal程度は必要なのに、足りているのでしょうか。加えて、タンパク質も不足していると思います。もちろん食べ過ぎはいけませんが、20-40代でこのような低栄養の食生活をすると体がそれに慣れてしまい、ますます低燃費になり、太りやすくなるのです。加えて、筋肉量は減り、頭髪にもよくありません。
 朝食と夕食でバランスを取っているのであればいいのですが、行き過ぎたヘルシー志向が返って不健康を誘発しているような気がして、とっても心配になりました。

年代や生活状況に合わせた“大人の食育”を

 メタボ(メタボリックシンドローム)という言葉がすっかり定着。男性もお腹回りを気にするようになり、ご飯の量を減らしたり、コンビニでサラダを求めたり、ジョギングをしてみたり。ここ10年で年代性別問わず、ヘルシー志向が一気に高まったと思います。
 そんな中、「大人の食育」が注目されています。ひとり暮らしを始める若者、外食が多い中年男性、ダイエットに熱中しやすい女性、ひとり暮らしで栄養不足になりがちな高齢者など、それぞれの年代や生活状況に即した食事の摂り方を会得することは、とても大切だと思います。加齢に伴い、基礎代謝も消化機能も低下します。また女性は更年期を境に血圧が上がったり、骨がもろくなったり、気を付けなくてはならないことが多くなります。
 企業活動としては、カゴメが“出張食育講座”を開催。今秋から事業化しました。またキユーピーは介護施設で食育イベントを行い、野菜に雑穀などを組み合わせた“ベジボウル”を提案しています。
 米国NYには、大人向けの食育教室を開催しているレストランがあります。オーナーシェフの“健康な食習慣を伝えたい”という思いから始まったもので、シェフがカウンターで食材の効能や調理法をレクチャーしながら3コースの料理を作り、目の前の客に提供します。テーマは、‟発酵食品”や‟だし”、‟きのこ料理”など。例えばきのこ料理なら、しめじを使って菌類の効果やうま味について説明。みそやしょうゆ、いぶりがっこといった日本の食材も多く登場するといいます。こちらは、“大人の”というより、“大人っぽい食育”ですね。

日本とはちょっとだけ違う東南アジアのおにぎり

 行楽、遠足、運動会と、おにぎりを食べる機会が多い秋。新米で作る塩むすびは、まさに秋のごちそうです。そんなおにぎりは今、海外でも人気者です。ニューヨークやパリ、ロンドンやベルリンなど、おにぎり屋さんは世界中に拡がっています。近年は、コンビニの進出で東南アジアでもポピュラーな存在になっています。もともと米食文化を持つ国々ですから、馴染みやすいのだと思いますが、逆に米食文化があるからこそ、日本のままのおにぎりでは・・・という側面もあるようです。
 例えば、東南アジアの国々では、チキンライスやガパオライスのように具とご飯を混ぜ合わせながら食べる習慣があるため、一口目からご飯と具が一緒に口に入るよう、おにぎりの上に中具がトッピングされています。加えて海苔で真っ黒な見た目もウケないようで、彩りを添えるという意味でもトッピングは不可欠のようです。
 また東南アジアの人が好きなのは、サラサラとした長粒米ですが、日本のジャポニカ米のように粘りがないので、にぎるのが難しいのです。そのため、ジャポニカ米を固めに炊くなどの工夫もしています。
因みにベトナムには、ご飯をぎゅっと押し寿司のように固めてカットした「COM NAM(コムナム)」で具材をはさんで食べる料理があります。ライスサンドのようなものです。ところがベトナム人にとってコムナムは戦時中の貧しいイメージがあるようで、当初、おにぎりに良くないイメージを持っていた人も多かったようです。