長崎県の五島列島出身の知人から、「五島うどん」をいただきました。「五島うどん」の特徴は、そうめんや稲庭うどんのように麺生地を伸ばして細くしていく手延べ製法で作られることと、手延べの際に粉をふらず、五島産の椿油を使用すること。コシがあり、伸びにくい性質のため、グツグツと煮立った鍋から直接うどんを取って食べる「地獄炊き」という食べ方が一般的です。味付けは生じょうゆ、生じょうゆ+生卵、あごだしのつゆなど。薬味はねぎやカツオ節です。冬は地獄炊きや鍋の〆で、夏はざるうどんでと年中楽しめます。
食べ方を記した説明書きには、「日本三大うどんのひとつ」とあります。日本三大砂丘とか日本三大河川とか、日本三大という表現はよく使われます。砂丘や河川など大きさや長さが測れるものはエビデンスがありますが、日本三大祭りのように地元民の思い入れが強いものは、ウチこそが三大のひとつと主張することが多いですね。
うどんで三大と言えば、香川県の「讃岐」、秋田県の「稲庭」はすぐに思い浮かびますが、あとひとつは本当に「五島」なのか。調べてみると、群馬県の「水沢うどん」、富山県の「氷見うどん」、「五島」のいずれかを入れて三大、すべてまとめて「五大うどん」と呼ばれているようです。愛知県の「きしめん」を候補に入れることもあるようですが、「きしめん」はうどん?うどんの定義、条件は?同じ小麦粉で作る「冷や麦」や「そうめん」との区別は?と思い調べると、「うどんは小麦粉に水を加えて練り合わせ、麺に加工したものです。(中略)「冷や麦」や「そうめん」などの細いものや、「きしめん」のように平たいものも、うどんの1種類に含まれます」(全国製麺協同組合連合会ホームページより)ということでした。
投稿者: himeko company
買いたいのに売ってない! 気になる商品、馴染みの商品
「食市場のトレンド情報」で知る新発売の商品。興味を持っていろいろな店で探すのに、売っていない。そんな“気になったまま商品”があります。
今、気になっているのは、コカ・コーラがキッコーマンの監修を受けて開発した、和だし飲料「GO:GOOD ゴクっ!と旨い和だし」。日本人の心をほっとさせるうま味にこだわったと謳っています。10/12から全国発売しているとリリースにはありますが、近くのスーパーにもコンビニにも、自動販売機にも見掛けず、10月末、「お客様相談室」に尋ねたところ、都内でも一部のスーパーに置いてあるだけとのことでした。
もうひとつ気になっているのが、味の素AGFの「マリーム® カルシウム&ビタミンDイン」です。インスタントコーヒー&コーヒーミルクの組み合わせを楽しんでいるのは、圧倒的に中高齢者。そこで、コーヒーミルクに骨形成に必要なカルシウムとビタミンDを配合した商品です。my昭和ブームで、子どもの頃に飲んだコーヒーの味を懐かしく思っている私にぴったりです。が、これも探せど探せど、見つかりません。
反対に馴染みのある商品なのに棚から消えて手に入らなくなった商品もあります。「イエローマスタード」です。ディジョンのマスタードはあるのに、以前ならどこでも売っていたイエローマスタードがないのです。サンドイッチに塗ったり、卵サラダに混ぜたり、ウインナーに付けたりするのは、やさしい風味のディジョンではなく、ガツンとした辛さのアメリカンなマスタードが好きなのですが、近くのスーパーにはないのです。
買いに来たのに置いてない、欲しいのに手に入らない。買い物のストレスのひとつです。
賢い「Go To Eat」利用法。ランチローテーション
仕事帰り、新橋の「ビアホール銀座LION」でランチをしました。店に入り、店員にまず聞かれたのは、予約の有無。ランチで? LIONで? 席に着き、料理が来るのを待っていると、「1名様ご予約で」の声がひっきりなしに聞こえます。ひとりランチで予約? そう、「Go To Eatキャンペーン」です。場所柄、店内はサラリーマンでいっぱい。そのほとんどが予約客です。
「Go To Eat」。ご存知だとは思いますが、参加している飲食店を利用すると、ランチ時間帯は1人に付き500円相当のポイントが、15時以降は1000円相当のポイントがもらえるキャンペーンです。このポイントは、次回の飲食代に使えます。ただし、「ぐるなび」や「食ベログ」といった飲食店予約サイトを使って予約をしなくてはいけません。皆さん、ネット経由で予約して「LION」に来ているのです。
私も1度、「Go To Eat」を試したことがあります。いつもは店主に直接電話で予約を入れて、細かなお願いをしますが、予約サイトからではそうはいきません。私は、まず店主に連絡をしてどこのサイトを利用しているかを聞き、そこから予約する旨を伝えてポイントをゲットしました。自分でも“なんかセコイなあ”と思いながら。
食事を終えてレジに行くと、長蛇の列。レジ担当者が、「予約をしたか、ポイントを利用するか」を尋ねています。これがなかなか手間のかかる作業のようです。皆さん、ポイント利用でランチ代は500円以下。このローテーションを繰り返せば、お小遣いのやりくりがかなりラクになるのだろうなと思いました。私の「Go To Eat」は、2人分の食事代5万円、ポイントは2人分で2000円。新橋のサラリーマンのほうが賢い使い方をしています。
付き合いが長い年齢が近い料理人
先週、久しぶりに六本木の和食店「菱沼」に行きました。前回訪れたのは、新型コロナウイルス感染防止のための自粛要請が出た前夜でした。
店主の菱沼孝之さんとは30年来のお付き合い。お店が三田にあったときからよく通わせていただきました。料理に合わせてフランスワインを勧めてくれるのですが、それが当時は珍しく。しかも菱沼さんのワインのセレクトが絶妙で、ただでさえおいしい和食がワインによってさらに華開くような印象を受けました。
「菱沼」のメニューは基本、店主におまかせのコース料理。この日は、かぼちゃのムースにトリュフを散らした先付、海老しんじょの蒸し物などの料理に続き、メインの松茸の土瓶蒸しが供されました。土瓶の中に、大きな松茸がいくつも。とても贅沢なひと品です。「香り松茸、味しめじ」。無粋な私は松茸を口にするとき、いつもこの言葉を思い出し、よく言ったものだと感心します。そして「味は、しめじじゃなくて椎茸だなぁ」などと思うのです。松茸様に大変失礼な話です。その後は定番の和風ステーキと松茸ご飯でした。
菱沼さんは私より少しお兄さんです。お互いに30代のときは、いつ終わるのかと思うほど、料理が次々に出されました。作る方もエネルギッシュなら食べる方も熱量高めです。が、近年は、ほどほどにちょうどよい量になりました。「料理人と年齢が近い店に行くといい」。それは本当です。そして長く付き合える店を持つことです。齢を重ねれば、味の好みも食べる量も変わっていきますが、いつもジャストなおもてなしをしてくれます。
青山にオープンした「YOKU MOKU MUSEAM」
10月25日、弊社から歩いて30秒の場所に、「YOKU MOKU MUSEAM」がオープンしました。シガールで御馴染みの洋菓子店「YOKU MOKU」が展開する美術館です。開館記念展は「ピカソ コート・ダジュールの生活」。ピカソが制作した陶器(セラミック)が多数展示されています。ピカソは晩年、南フランスの町ヴァローリスを訪れ、陶芸家ラミエ夫妻と出会ったことをきっかけに、本格的なセラミック制作に取り組むようになったといいます。
なぜヨックモックが? との疑問が浮かびます。現会長の藤縄利康氏が創業者の藤縄則一氏の「菓子は創造するもの」という想いを受け継ぎ、30年以上かけてピカソのセラミック作品を500点以上収集してきたそうです。
ヨックモック美術館は、地下1階、地上2階建てのこじんまりとした造り。地下と2階が展示室、1階には青山本店同様、四季折々のハナミズキが楽しめる中庭のあるカフェ、ライブラリー、ショップがあります。ここでは、“菓子とアートのコラボレーション”や“アートセラピーを応用したアートセッション”などの独自の教育プログラムを展開。都市型の新しいタイプの美術館を目指しています。
私は毎朝、美術館の前を歩いて通勤しています。美術館になる前は「アパルトマン青山」という名のノスタルジックなおしゃれ感溢れる集合住宅でした。それが解体されてから2年くらいはかかっているのではないかと思うくらい、ゆっくりゆっくり形造られていきました。ときにお休みしていることもあり、やめちゃうのかしらと心配になったことも。聞けば、建築家が建物に差し込む太陽の光の動きを確認しながらデザインを進めたとのこと。秋の日差しが溢れる館内、ガラス越しに見える透き通った青空とピカソの陶器がとてもよくマッチしていました。
昭和の洋菓子。今と異なる「見た目」の印象
食べ物の思い出は、味もさることながら「見た目」の印象がとても強く残っているものだと思います。
昭和の高度経済成長の波に乗って育った私は、豊かさとともに大衆化した新しい食べ物に次々に触れて育ちました。特にスイーツ、中でも洋菓子は、“ゆとり”の象徴のような存在で、憧れの食べ物でした。
料理好きの母は、洋菓子をよく作ってくれました。例えば、プリン。オーブンで蒸し焼きにしたプリンはどっしりとしていて、表面にいくつもの小さな窪みがあり、ゼラチンで冷やし固めたり、プリンの素で作るプリンのような軽やかさはなく、ツルンとした滑らかな見た目ではありません。バースデーケーキは、生クリームが手に入りづらかったため、バタークリームを塗ったホールケーキです。色粉でピンクやグリーンに色付けし、バラや葉っぱの形に絞り出したもので飾られています。真っ白なショートケーキとは異なり、黄色っぽいのが特徴。高級バター人気を受けて、今密かにブームになっているようです。お菓子を作り始めた頃よく作ったのが、マドレーヌ。型と敷き紙を使うと、売り物と同じ見た目になるのが自慢でした。クッキーもよく焼きました。ドーナツ型で抜いてドレンチェリーやアンゼリカをのせ、「泉屋」の“リングターツ”を真似ます。秋は、モンブラン。家庭ではもちろん、ケーキ屋でもさつま芋で作っていましたから、クリームは黄色っぽく、麺状に絞り出した見た目がお約束。昨今のように栗をふんだんに使った茶色のモンブランは、私にとっては“贅沢”の象徴のような存在です。しかも角錐や円錐に整形されたものも多く、昭和のそれとは大分印象が異なります。
北海道発スープカレー店「Suage」
東京オリンピックは来年に延期されましたが、東京にたくさんの人が集まることを期待して、既に地方のさまざまな飲食店が東京初出店をしています。その中のひとつが北海道の人気スープカレー店、「Suage」。2019年5月に東京1号店を渋谷に、同年10月に丸の内に2号店をオープンしています。北海道でスープカレーが親しまれているのは、寒い冬、辛くて温かい身体がホカホカする汁物が好まれるからでしょうか。
「Suage」が東京に進出して以来、一度食べてみたいと思っていました。というのも、カレー風味のスープやスープカレーをいただいて、私は今まで一度もおいしいと思ったことがなく。北海道で人気の店のスープカレーなら、きっと私の印象を変えてくれると思っていたからです。先週、チャンス到来。仕事の帰りに丸の内店に行きました。
まず具材の違うカレーの中からひとつを選びます。次に、スープを決めます。鶏ガラとトマトをベースに何種類ものスパイスを加えた定番の「Suageスープ」、エビエキスでコクとうま味をプラスした「エビ赤」、イカ墨を加えた「イカ黒」、マイルドな「ココナッツ白」からひとつをチョイス。その後、辛さの度合いを選択し、加えたいトッピングがあれば追加します。店名の「Suage」の意味がトッピングで分かります。かぼちゃやブロッコリー、オクラなどの野菜はすべて素揚げされているのです。いずれも大ぶりで、食べた感は十分です。丸の内店の価格は1500円近辺。カレーとしてはいい値段です。
で、私の印象は。今まで食べたカレー風味のスープやスープカレーと比べると、うま味が強く、スパイスがしっかり利いていて。さらにトッピングが魅力でリピートに繋がるのだろうこと、よく理解できます。きっと食べ慣れると、無性に食べたくなるのかもしれません。が、私はもちろん、まだその域には達していません。
どうしても気になってしまう飲食店の接客
新型コロナウイルス発生以降、会食を避けていましたが、先週久しぶりに友人と外食をしました。オープンエアが安心なのでテラス席を予約し、女性3人。それこそ、姦しいひととき(?) でした。
そこでのひとコマ。テーブル担当は若い可愛らしいお嬢さんでした。友人の一人はピーマンアレルギーです。フムスをオーダーするとき、「ピーマンがだめなの。入ってない?」と聞きました。その後、追加のオーダーで「お勧めは何?」と聞くと「ラザニアです」との応え。ではと、ラザニアをオーダー。ピーマンが入っていました。おしゃべりに夢中で注意を怠った私たちもいけないのですが、彼女もピーマンアレルギーのことはすでに聞いているのですから、ピーマンが入っている料理は勧めるべきではないし、私たちが選んだら「ピーマンが入っていますよ」と一言添えてはと思い、彼女にそれをやさしく伝えました。が、そもそも彼女は、自分が勧めた料理のことは名前と視覚による情報しか持ち合わせてはいないのではと後になって考えました。マネージャーから動きや段取りは教えられていても、接客の本当の意味については何も教えられていないのではと。
今回だけではありません。飲食店でそれを強く感じるのは、空いた皿を下げに来られた時です。食べ終わりそうなタイミングを注視しているかのような素早さで、皿を下げに来ます。しかも同伴者がまだ食べているのに。皿は空いていても、そのテーブルはまだ食事中です。客を急かすような不快な行動ですが、空いた皿をすぐに下げることが、気が付く良いサービスと勘違いしているのではないかと思います。
飲食店の従業員にはアルバイトの大学生も多く、慣れていない、教える時間がない、短期だからなどの理由で仕方ないとも思うのですが、やはり気になり、“やさしく笑顔で”を心がけて諭してしまうのです。
近隣にあるとうれしい魚屋さん
自粛要請で飲食店が休業し、行き場をなくした鮮魚。それを有効利用する動きがありました。いつもなら魚を仕入れて料理にして提供する居酒屋が、仕入れたばかりの魚を店頭で売り始めたのです。休業中、魚を売れば少しは売り上げになりますが、料理をしてなんぼの商売。そのまま売っても売り上げが戻るわけではありません。魚卸のためです。売り先がなくなった卸のために、少しでも魚を捌こうという気持ちです。そんな気持ちに呼応してか、近隣の主婦には大好評。スーパーより新鮮な魚が手に入る。しかもその場でおろしてくれる。商店街から魚屋が消えて久しく、人気になるのも分かります。
通常営業に戻った現在も、魚を売っている居酒屋があります。鮮魚居酒屋「魚まみれ眞吉 原宿店」です。“近くに魚屋がないから助かる”と喜ばれ、連日ほぼ完売なのだそう。無料で三枚におろすほか、500円の手間賃で焼き魚や煮魚、刺身などにもしてくれます。魚の販売が呼び水になり、テイクアウトや本業の居酒屋も好調といいます。
先週、代官山にユニークな魚屋「魚屋かどはち」がオープンしました。鮮魚、刺身、寿司、和洋中にアレンジされた魚料理と魚弁当。ウリは、マグロ、ブリ、タイなどから好みの切り身を選んで刺身の盛り合わせを作ることができる「刺身ブュッフェ」と、地下の仕込み室でオーダーごとに作る「でき立て弁当」です。目の前に代官山駅と高層マンション。近隣の皆さん、さぞやお喜びのことと思います。
10月1日は「しょうゆの日」
10月1日は「しょうゆの日」です。和食に欠かせない調味料であり、みそや納豆と並ぶ日本を代表する大豆発酵食品です。
中国をルーツに、弥生時代からその歴史が始まっていると言われるだけあって、地域に根差した文化があるのも、おもしろいところです。とは言え、現在では出荷量の8割以上が一般に「しょうゆ」と呼ばれる「濃口しょうゆ」。色よく仕上げたい料理に欠かせない薄口しょうゆが1割強です。「薄口」とは色が薄いという意味で、味が薄い、塩気が少ないわけではありません。反対に、色を薄くするために塩を多く添加しています。
夫の実家がある愛知県では、「たまりじょうゆ」も一般的です。「さしみじょうゆ」とも呼ばれ、とろりとしていて濃厚なうま味と強めの香りがあります。岐阜県、三重県を含めた東海3県が「たまりじょうゆ」の産地です。その起源は諸説あるのでしょうが、私が聞いたのは、徳川家康の家来がみそを作る過程でみその上に溜まった液をなめたところおいしく、それを「たまりじょうゆ」として広げたというもの。戦に忙しい時代、製造過程で攪拌しなくてはならないしょうゆよりも手間がかからず、重宝したのでしょう。愛知県碧南市は、薄口しょうゆよりもさらに色が薄い「白しょうゆ」の産地でもあります。
九州のしょうゆが甘いことは皆さんご存知だと思います。私も、初めて口にしたときはびっくりしました。マグロやカツオに代表される赤身文化とフグやカレイに代表される白身文化。それぞれに合うしょうゆが広がったと聞いています。