東京は今、再開発ラッシュ。渋谷の商業施設だけでなく、虎ノ門ヒルズ駅周辺などオフィスビルが今後次々に完成します。そこで必ず問題になるのは、ランチ需要への対応です。昼どき、外食店には長蛇の列、コンビニのレジもなかなか進みません。ただでさえ短い昼休みの大半が、休息や食べることより並ぶことに費やされます。
そんなランチ難民を救っているのが、フードトラック(キッチンカー)です。近年、大規模開発を行う場合、“公開空地“を設けることが義務化されたため、ビジネス街には広場や庭、広い通路などが増えたことで、違法駐車をせずに営業ができるようになったことも、フードトラックが増えている理由です。
フードトラックは基本的に個人経営。「TLUNCH」など配車サービスの会社と契約して営業する場所を提供してもらいます。配車サービス会社は、テクノロジーを駆使し、それぞれの提供場所の客層や売れ行きに応じて契約車を‟最適配車”します。これが、フードトラックの最大の魅力です。
ビジネスマンのランチの不満1位は「飽きること」。毎日、違うフードトラックが複数車配車されれば、飽きずに利用できます。価格も600円程度からで、コンビニ弁当よりは高めですが、外食よりは抑えられます。
因みに、弊社の近くにもフードトラックが来ます。月曜日から金曜日まで2台ずつ。その顔触れは、ほとんど変わりません。毎日2択のローテーションに、はっきり言って飽きています。
投稿者: himeko company
日本人にも拡がるビーガン・ベジタリアン
2020年が幕を開けました。今年のメインイベントは何と言っても「東京オリンピック・パラリンピック」。海外からの注目が集まり、インバウンドも飛躍的に増加。しかも今まで渡日経験の少ない国からのお客様もたくさん訪日することでしょう。その期待が、食市場にさまざまな変化を起こしています。
そのひとつが、ビーガン・ベジタリアン対応です。海外から来るビーガン・ベジタリアンに向けてメニュー開発を進める外食店、それに対応すべく、食品会社は動物性食品を含まない業務用商品の種類を着実に増やしています。加えて、ビーガン・ベジタリアンメニューを提供する飲食店を探せるアプリや、商品棚を撮影するとそれぞれの商品を瞬時に認識してデータベースと照合し、ベジタリアンやムスリムの人が食べられるか否かを判定してくれるアプリも開発されていて、海外からのお客様も迷うことなく日本の食を楽しめると思います。
ビーガン・ベジタリアンの信奉者、実践者は、欧米やインド、台湾では以前から多く、それらの国では、彼らをターゲットにしたメニューや食品は珍しくありません。が、日本においてはストイックなイメージが先行したためか、拡がる可能性は低いと見られていました。ところがここに来て、若者を中心に、ビーガン・ベジタリアンに興味を持つ生活者が増加。週末のみ菜食を実行する「ゆるベジ」、肉をなるべく食べないように心掛ける「フレキシタリアン」などを含めると、ビーガン・ベジタリアン傾向の食生活を実践する人は、5~10%に達するのではないかと推測されています。インバウンドのみの需要ではなくなっていることが、ビーガン・ベジタリアン対応を急ぐ飲食店や食品会社の背中を押しているのです。
渋谷の複合施設。食のトレンド発信地になれる?
今年後半は、渋谷が大きく変化した1年でした。渋谷スクランブルスクエアが11月1日に、渋谷パルコが11月22日に、東急プラザが入る複合ビル渋谷フクラスが12月5日に、オープンしました。
かつては、東京に新しい複合施設が誕生すると、必ず、グルメ情報がテレビや雑誌などのメディアを大きく賑わしたものです。2003年六本木ヒルズが、07年東京ミッドタウンがオープンしたとき、“ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション”や“ル・ショコラ・ドゥ・アッシュ”など、話題の店が次々に登場。新ビルは、「日本初上陸」「東京初出店」「新業態」などのコピーが付いたグルメな話題に事欠かない食のトレンドの発信地となりました。
が、それに比べると近年は、新しい複合施設がオープンしても、話題になるのはその前後数日のみ。かつてほど大きな話題にはなりません。
渋谷スクランブルスクエアの場合も、パリの二ツ星レストランの総料理長であるティエリー・マルクス氏監修のベーカリー「ティエリー マルクス ラ ブーランジェリー」や、台湾の創作レストラン「参和院(サンワイン)」、ハワイで人気のカフェ「ピース カフェ ハワイ」など日本初上陸の店や、デリカテッセン「パリヤ」や天ぷらと天むすの「金子半之助」などデパ地下初出店の店が数回ワイドショーで紹介されただけで、今は、すっかり落ち着いています。渋谷パルコは、「近代的なカオティック(混とんとしている)」をテーマにデザインされた地下1階のフードコートが、パルコらしいちょっと尖ったショップが並んでいることで注目されましたが、やはりオープン時のみの話題で終わっています。
「日本初上陸」も「初出店」も、令和の今、それほど魅力のあるコピーではないのか、グルメ情報に浮かれるほど景気がよくないのか。常に人で溢れている渋谷の喧騒に、華やかさが感じられないのは、私だけでしょうか。
“忘年会スルー”したい若手社員。ドタキャンは外食店に迷惑です
忘年会、クリスマス、納会と、これからが書き入れ時の外食市場。ところが近年は、恋人とクリスマスディナーを楽しむ若者は減少。忘年会に関しても、職場の忘年会に参加しない“忘年会スルー”という言葉が生まれるほど、参加拒否をする人が増えています。
忘年会に関しては、賛否両論がメディアを賑わしています。忘年会スルー組の言い分は、「自腹で参加しているのに、ビールをついだり、料理を取り分けたり、気を使わなくてはならない」「上司の自慢話を聞かされる」「一次会から三次会まで上司から同じ話を聞かされるのにいつも初めて聞いた反応をしなくてはならない」「上司と年齢の差があり過ぎて話が合わない」など。中には無料でも参加したくないという意見もあり、ある調査によると、忘年会スルーをしたい若手社員は8割に上るそうです。
片や上司は、「忘年会はコミュニケーションの場として必要」「仕事の一環、参加は当たり前」といった意見が。
一方、外食店にとっては、ドタキャンが恐ろしいとか。若手社員、端から不参加を表明するのは憚られ、当日、体調か、もしくはどうしようもない家庭の事情を理由に、参加を免除してもらおうと画策するようで、参加人数の変更がその場で伝えられることも多いとか。宴会料理の場合、予約人数分の食材を用意していますから、その分は泣き寝入りするしかありません。
忘年会スルー組は、それなりの理由で自分を正当化しているのでしょうが、当日キャンセルは、上司ではなく、外食店に迷惑をかけていることに考えを及ばせていただきたいものです。
“併せ買い”販促陳列も意味なし? 西友・三軒茶屋店
先日、待ち合わせの時間より大分早く現地に着いてしまったので、時間潰しに近くのスーパーに入りました。西友・三軒茶屋店です。
スーパーは、ブランドによって、同じブランドでも店によって、雰囲気が異なるのがおもしろいところです。もちろん、立地、客層、店舗の大きさも影響しますが、何より、店長やバイヤーの意気込みによっても大きく変わると思います。
さて、三軒茶屋の西友はというと。
まず目に入ったのは、陳列されているシャンメリーの数。弊社の「食市場のトレンド情報vol.742」で紹介しましたが、シャンメリーとは1メーカーの商品名ではなく、全国シャンメリー協同組合の登録商標。組合傘下の企業なら、一定の決まりの下、自由に使える名称です。ですから、クリスマスシーズンになると、さまざまなメーカーのシャンメリーが売り場を賑やかに演出します。最近では、ノンアルコール飲料人気を追い風に、世代を超えてみんなで楽しめる飲料としても、その価値が見直されていて、西友・三軒茶屋店、トレンドをしっかり抑えています。
次に気になったのは、キリンビールが江崎グリコの「つぶつぶいちごポッキー」とコラボした商品、「キリン 氷結 meets Pocky(期間限定)」の陳列。この商品、「つぶつぶいちごポッキー」のイチゴフレーバーを「氷結」流にアレンジしたもので、「つぶつぶいちごポッキー」を一緒に食べると、「氷結」のイチゴ果汁と「つぶつぶいちごポッキー」の‟イチゴ果肉のハーモニー”が楽しめるといいます。併せ買い販促としては、同時展示が必須です。確かに、「キリン 氷結 meets Pocky」の横にはポッキーが。が、これがチョコレートのポッキー。これでは、“イチゴ果肉のハーモニー”は楽しめません。せっかくの併せ買い販促も意味なし。惜しい!
ヘルシー志向と味わいで支持されるノンアルコール飲料
拡がるヘルシー志向の高まりを背景に、世界中でノンアルコール飲料に対するニーズが高まっています。
最近は、ノンアルコールというだけでなく、機能性まで纏った商品が開発されていて、ヘルシー感と味わいがウケて流行っています。内臓脂肪を減らすと謳う、サントリービールが昨年7月に発売した「からだを想うオールフリー」、キリンビールが10月に売り出した「キリン カラダFREE」、食後の血中中性脂肪の上昇を抑える機能があるとアピールするサントリースピリッツのチューハイテイスト「のんある気分 DRY・ジンテイスト」、お腹の調子を整える機能があるアサヒビールが12月に発売したサワーテイストの「ヨーグルトサワーテイスト」など、いずれも予想販売量を超える売れ行きです。
日本初、プロテイン入りノンアルコールビールも登場しています。Muscle Deliが販売する「JOYBRAU」です。「ダイエットしているからビールは控えている」「ビールが好きだけど太るからハイボールにしている」といった生活者の声を受けて、ドイツ発のプロテインビール「JOYBRAU」を広めたいと考えたそうです。1缶(330ml)で21gのタンパク質が摂取できるのが特徴で、筋肉の成長に不可欠な必須アミノ酸BCAA、脂肪燃焼に効果的なLカルニチンとベータアラミンも配合されています。ノンアルコールなのでアルコールによる筋肉分解の恐れもなく、ダイエットやボディメイクをしている人でも安心して飲めます。
サントリーホールディングスの調査によると、ノンアルコールのビール飲料を1年前より飲む量が増えた理由について、「おいしくなったから」、「休肝日をつくろう、または増やそうと思ったから」が多く、一方で「車を運転する機会が増えたから」は少なかったそうで、運転などのやむを得ない事情というよりも、ノンアルコールビールテイスト飲料そのもののおいしさや、健康を気遣うなどの理由から飲用量が増えているようです。
音もおいしさ。癒しを求める生活者にも人気「ASMR」
最近、脳が気持ちよいと感じるASMR(自律感覚絶頂反応)を販促に取り入れる企業が増えています。
カルビーは11/25、冬向けのポテトチップス“冬ポテト”を発売しました。冬においしいじゃが芋に合う食感を追求。まるで雪のような、サクサクとした食感とほろほろとした口溶けに仕上げました。日本音響研究所が調べたところ、同品の食感音は「新雪を踏む音」に似ていることが分かったといいます。
一方、モスバーガーは、9/12、新しい‟日本のハンバーガー”を展開するシリーズ‟MOS JAPAN PRIDE”の第1弾として‟海老天七味マヨ”を発売。天ぷらは‟ざくりざくり”とした食感にこだわって1本1本手作業で揚げています。日本音響研究所に同品をかじった時の音の心地良さの検証を依頼。「音まで、うまい」とアピールしています。
4月、日本ケンタッキー・フライド・チキンは、“パリパリ旨塩チキン”を発売したのに合わせ、同品の咀嚼音を伝えるウェブ動画を公開。食パンや寿司を食べるシーンにパリパリとした咀嚼音をかぶせ、「パリパリは極上の調味料」とナレーションを付けました。森永製菓も4月、チョコアイス“パキシエル”で、音に着目した動画を配信。食べた人にしか聞こえない「骨導音」が、パキシエルを食べた際に快感に繋がることが判明したと話します。
ASMRは、食感だけではありません。ガスバーナーの「ボォォォ…」という音を聞くと癒されるという人もいますし、スポンジを包丁で切る音が心地良いという人もいます。反対に、キーという高い金属音で鳥肌が立つ人もいます。小川のせせらぎや木々の葉が擦れ合う音に癒し効果があることは以前から知られていました。人によって癒される音は多種多様に拡がっているようです。
ローソンの元旦休業実験。コンビニだって休みます!
コンビニ各社の24時間営業見直しが進む中、ローソンは、全国の約100店のFC加盟店で、元日休業の実験を行うと発表しました。ローソンに限らず、1年間に丸1日休める日がないコンビニオーナーが少なくない現状を、最適化によって変えていこうという試みです。
正月という、平日とも日曜とも異なる特別な消費行動が生まれる日に、店を開けている意味がない店もあるでしょう。例えば、ビジネス街のコンビニは閉めてもいいでしょう。それに対し、明治神宮に近い原宿のコンビニは大晦日からずっと手を休める間もないでしょう。立地や使われ方によって、それぞれの適正に合わせて営業時間を決定するということに異論はないと思います。
ただ、深夜の営業を止めた店は、昼の来店客も減少するという実験結果があります。閉まっていることで、コンビニとしての信頼感が薄れるという利用者心理が働いているものと思われます。いつでも煌々と光を放ち、元気にウエルカムしてくれるのがコンビニの当たり前。生活者は、閉店している暗いコンビニなど見たことがないのですから。コンビニオーナーとしては、正月に休んだせいで、正月明けの来店客数が減るのではないかという不安があります。
ローソンの決定を歓迎する生活者の声は大きく、「休ませてあげたい」というやさしい言葉も本部に届いているとか。“コンビニだって休みます!”そんな新たな宣言を大々的にしてはどうでしょうか。
労働力不足が変える働き方と業態の在り方
学生アルバイトや主婦のパートの労働力に頼って拡大、維持してきた業態が、ここに来てその体制を問われる事態が起こっています。
例えば、コンビニ。人手不足は時給をアップさせ、利益を圧縮させます。オーナーは自ら店に出て体力と気力の限界まで働くことが常態化。とうとう、セブンイレブンのオーナーは24時間営業を巡って本部と戦い、厳しいながらも一定の条件を基に時短を選択できるところまで改革しました。コンビニのオーナーも、労働力があれば24時間営業を継続したいと思っているはずです。深夜は、商品の棚卸し、商品棚の整理やチェックなど、さまざまな雑業務ができる大切な時間です。この間を休むことは、レジとは別の人手が必要になることを意味しています。営業時間の短縮が、そのまま丸っと人件費の圧縮に繋がるわけではないのです。
例えば、料理のデリバリー。こちらも、ヒマな時間を使って仕事ができることをウリに、若者を中心とした労働力を集めています。大きな荷物を背負ってレンタル自転車で颯爽と走る若者の姿は、イマドキの働き方を象徴しています。そのひとつがウーバーイーツ。先行する出前館に追い着け追い越せとばかりデリバリーエリアを拡げていて、配達員の確保は焦眉の急です。そんな中、ウーバーイーツと契約している配達員の有志が、労働環境が少しでもよくなるよう活動する労働組合「ウーバーイーツユニオン」を立ち上げました。多くの組合員を募ることで、会社との団体交渉を有利に動かし、労働条件の改善に繋げたいと考えています。一方、ウーバーイーツは、配達員は個人事業主。従業員ではないので、賃金補償や労災保険などは適用されないという見解です。
無人コンビニに自動走行車。人の労働力をAIに代わらせる技術が急速に進む現実は、労働環境において窮地に追い込まれる立場の人を助けるためなのか、はたまた黙らせるためなのか。答えは、すぐそこに来ています。
11/1 「渋谷スクランブルスクエア」がオープンしました
先週11月1日金曜日、「渋谷スクランブルスクエア」がオープンしました。食のフロアは、いわゆるデパ地下系の物販が地下2階~1階、レストランフロアは12、13階です。
前日は、ハロウィン。首都圏放映の情報番組は、渋谷の夜の混乱した映像とペアのように、「渋谷スクランブルスクエア」のオープンを紹介していました。日本初上陸、東京初出店、中食市場初挑戦の店も多く、番組はそれらの店に多くの時間を割いていました。
今回、地下2階の店舗をお手伝いする機会をいただき、オープン日の午後、ご挨拶に伺いました。混乱を防ぐためか、入り口は1ヵ所に限定されていて、入店するには長蛇の列に並ばなくてはなりません。およそ20~30分かけてやっと入店できました。早速店舗に向かいましたが、通路は人でいっぱい。なかなかお目当ての場所にたどり着けません。店舗では、オープン記念の限定品はもちろん、目ぼしい商品はおおかた完売していました。
混むと分かっているオープン日。並んでも混み込みの場所に行きたいと思う人がこんなにも多いことに、私は正直驚きます。仕事でなければ、熱も冷めきった頃に行けばいいと思う方です。新しいものへの興味と何かを買いたいと思う欲。そのエネルギーの強さに感服します。
渋谷はまだまだ開発が進みます。今回開業したのは東館。2027年に、西館と中央棟が開業します。かつての「東急百貨店東横店」は、そこに入るのかもしれません。私は何より、「東横のれん街」が利用しやすい場所に戻って来ることを期待しています。