ダチョウ肉が再び脚光を浴びているとか。もう何度めかのプチブームです。今回と次回の2回に渡り、ダチョウ肉を含めたヘルシーミートのブームについて、過去の情報を振り返ってみましょう。
【食のトレンドキーワードの相関図】を紐解くと、2005年、【ヘルシー志向】から派生するキーワード【羊肉】の中でダチョウ肉が登場しています。当時ダチョウ肉は、鶏肉、豚肉、牛肉に続く第4の肉として羊肉、馬肉とともに注目されました。情報番組は、ダイエットに最も効果的なのは筋肉を付けることだと紹介し、男性だけでなく、女性にも筋肉志向が広がり始めました。佐賀県伊万里市では、クジラと似た食感から“鳥くじら”と呼ばれ、ダチョウ肉の刺身“鳥くじらの刺身”を提供する飲食店が話題になり、南信ネットワーク協同組合(長野・飯田)が運営するネット通販サイト“チョッとお寄りて南信州”でも、オーストラリアやニュージーランド産のダチョウ肉「オーストリッチミート」が人気でした。残念ながら前者はメニューから消え、後者はサイトがなくなり現状は分かりません。
翌06年には【ローファットミート】というキーワードに。脂が少ないヘルシーな肉は、「アスリートミート」とも呼ばれました。ボディビルダーにとって余分な脂肪は無用。質のいい筋肉だけを求めて鶏のササミやノンファットのツナなど脂が少ないタンパク源を積極的に摂取するため、そう呼ばれていたのです。当時すでにポスト羊肉として、ダチョウ肉や馬肉、カモ肉も国産品の売り上げを伸ばし、ダチョウ飼育業者の道下建設飛騨高山オーストリッチ(岐阜・高山)には、問い合わせが急増。ダチョウ肉を取り入れる飲食店が増え、注目度は着実に高まっていました。さらに北海道網走支庁は、海産物と並ぶ知床の名産品にしようと東京農大と協力。オーストラリア原産のダチョウに似た鳥“エミュー”の売り込みに取り組んでいました。エミューはダチョウに次ぐ世界で2番目に大きな鳥で、生命力が強く、寒暖の差に強いため北海道での飼育が可能です。この事業は、現在も肉や卵、オイルなどの活用に関する研究が継続されています。
この間、第4の肉が注目された背景には、鶏インフルエンザや豚コレラ、BSE問題など食肉に対する不安感、牛肉偽装といった食肉加工業界への不信感が、間違いなくありました。