およそ1ヵ月間に渡って開催されたサッカーのワールドカップが、深夜、アルゼンチンの優勝で幕を閉じました。日本同様、“ジャイアントキラー”と呼ばれたモロッコは残念ながら準決勝で敗退しましたが、その対戦相手フランスは、奇しくも植民地支配をした国でした。
モロッコの料理と言えば、とんがり帽子のような蓋が付いたタジン鍋が有名。水が貴重な砂漠で素材の水分を逃がさないように、蓋内の上部に上がった蒸気が冷やされ、鍋の中に戻る仕組みです。このタジン鍋、カロリーを抑えられ、しかも栄養素を逃さない蒸し料理ができるとあって、かつて日本でも大流行。過去の「食のトレンド情報」には、2006年3月にその情報が登場していて、ル・クルーゼから、ステンレス製の土台にカラフルなセラミック製の蓋を組み合わせたおしゃれなタジン鍋が発売されたとあります。その後、タジン鍋は日本風に進化。電子レンジで加熱する安価なシリコン製が発売され、一気に拡がりました。
フランス料理には、モロッコ料理の影響を色濃く受けているものがあります。そのひとつが、デュラム小麦に水を含ませて粒状に丸めたクスクス。私はクスクスが好きで、煮込んだ肉や野菜をクスクスと一緒にいただく「ビダヴィ」や、細かく刻んだ生野菜とクスクスを合わせたサラダ「タブレ」をよく作ります。「ビダヴィ」を初めていただいたのは、かつて渋谷にあったフレンチの名店ヴァンセーヌ。酒井一之シェフのそれは感動的なおいしさでした。今は、銀座の「コックアジル」で名誉料理長をなさっているとか。「クスクス食べたい!」と電話をしたら、作ってくださるのかなぁ。