罰則規定ばかりが目立つプラスチックごみのリサイクル法

 3月9日、政府が「プラスチック資源循環促進法案」を閣議決定しました。プラスチックごみのリサイクル強化や排出削減に向けた新法案です。

 日本の場合、リサイクルの3つの方法のひとつ、プラスチックごみを燃やした際に得られる熱エネルギーを回収する“サーマルリサイクル”が大半なのだとか。因みに欧米基準では、“サーマルリサイクル”はリサイクルに含まれないそう。プラスチックごみをそのままプラスチック製品に生まれ変わらせる“マテリアルリサイクル”と、化学分解したあとプラスチック製品に生まれ変わらせる“ケミカルリサイクル”だけをリサイクルと呼ぶそうです。

 政府は、家庭から出る食品トレーや菓子袋などを“プラスチック資源”として回収する仕組みを作るそうですが、回収後はちゃんと“マテリアルリサイクル”や“ケミカルリサイクル”に回されるのでしょうか。

 報道を見ていると、「コンビニのスプーンとフォークの有料化」と「飲食店などでの使い捨てプラスチック製品の削減義務付けは、有料化や代替素材への切り替え、使うかどうかを客に確認するなど、何らかの取り組みを求め、怠った事業者には改善を勧告・命令し、従わない場合は50万円以下の罰金を科す」という政府の文言ばかりが印象に残ります。「地球環境のために、プラスチックのリサイクルに本腰を入れて取り組みます。再び製品化しますから、分別してくださいね、きれいに洗って出してくださいね」という国民への話しかけが最初にあるべきだと思うのですが。小泉環境大臣は、「これからは無料でスプーンが出てこなくなる。レジ袋有料化の発展版だ」とおっしゃっていますが、短期間でレジ袋辞退率7割を達成できたのは、国民の協力あってのこと。生活者から共感されなくては、企業も生き残れない時代に、まったく共感されないアピールを連発している日本政府には呆れるばかりです。