近隣にあるとうれしい魚屋さん

 自粛要請で飲食店が休業し、行き場をなくした鮮魚。それを有効利用する動きがありました。いつもなら魚を仕入れて料理にして提供する居酒屋が、仕入れたばかりの魚を店頭で売り始めたのです。休業中、魚を売れば少しは売り上げになりますが、料理をしてなんぼの商売。そのまま売っても売り上げが戻るわけではありません。魚卸のためです。売り先がなくなった卸のために、少しでも魚を捌こうという気持ちです。そんな気持ちに呼応してか、近隣の主婦には大好評。スーパーより新鮮な魚が手に入る。しかもその場でおろしてくれる。商店街から魚屋が消えて久しく、人気になるのも分かります。
 通常営業に戻った現在も、魚を売っている居酒屋があります。鮮魚居酒屋「魚まみれ眞吉 原宿店」です。“近くに魚屋がないから助かる”と喜ばれ、連日ほぼ完売なのだそう。無料で三枚におろすほか、500円の手間賃で焼き魚や煮魚、刺身などにもしてくれます。魚の販売が呼び水になり、テイクアウトや本業の居酒屋も好調といいます。
 先週、代官山にユニークな魚屋「魚屋かどはち」がオープンしました。鮮魚、刺身、寿司、和洋中にアレンジされた魚料理と魚弁当。ウリは、マグロ、ブリ、タイなどから好みの切り身を選んで刺身の盛り合わせを作ることができる「刺身ブュッフェ」と、地下の仕込み室でオーダーごとに作る「でき立て弁当」です。目の前に代官山駅と高層マンション。近隣の皆さん、さぞやお喜びのことと思います。