新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、世界中で人の行き来が禁止されています。そのしわ寄せが、農業に影を落とし始めています。
ウイルス発生以降、中国からの野菜の輸入が急減しています。ウイルスが中国で猛威を振るった2月。中国野菜の輸入量は、前年同期比で6割も減少しました。中国国内での移動制限で農業従事者が不足し、出荷が減少したからです。
欧米では、人手不足はもっと深刻です。米国の場合、人手を南米からの移民に頼る農家が多く、外国との渡航禁止措置が長期化すれば、収穫に大きな影響を及ぼすことは避けられません。農作業だけではありません。農産物を箱に入れる人、それを運ぶ人も、多くは移民です。
欧州も同様です。フランスの農業は、東欧やモロッコなどからの出稼ぎ労働者によって支えられています。3月下旬、営業中止で働き口がなくなったレストラン従事者に対し、フランスのギヨーム農相が「農業を守る戦いに参加してほしい」と呼びかけたほど。ドイツ政府は、農作物が収穫できなくなると訴える農業団体の求めに応じ、早々に農業に従事する季節労働者の入国禁止を一部解除すると発表しました。
日本でも、外国人技能実習生の労働力を期待していた農家は、大変な思いをしているとか。
中国と米国はアグリテックによる、人手に頼らない農業を進めています。そのスピードが今回の移動制限でさらに加速するのは間違いありません。