物を持つよりもその場の体験や瞬間を楽しむ、近年話題の“リキッド消費”。その流れを受けて、“その場限り”の体験をウリにする[トキ消費]が食の世界でも広がりを見せています。“賞味期限5秒”“加熱時間1分”など時間のライブ感を前面に打ち出す食品、短い期間しかオープンしない店舗など、時間を限定することで興味をかき立てる手法がウケているようです。
2017年、[速食ニーズ]というキーワードが挙がりました。生活者は調理に手軽さと時短を求め、SNSの世界では瞬間をウリにした食べ物が絶好のネタになり、一方、食べることに時間を取られたくない若者は超手軽な完全栄養食を求め—。そのいずれにも「速食」というコンセプトが存在していました。
この年、家庭用カレー商品市場において、レトルトカレーがカレールウの販売金額を初めて逆転しました。お湯を注ぐだけのフリーズドライタイプやぺーストタイプのインスタントカレーも登場。早く溶けて時短に役立つと好評でした。
賞味期限が非常に短い「瞬食グルメ」も話題になりました。賞味期限が10分の“10分モンブラン”、 賞味期限58秒のしょうゆ煎餅‟ゆげたち”、賞味期限30秒の“エスプレッソ・ゼリー”などなど、でき立ての食感と風味を最高の瞬間で味わうことに価値を置き、その体験をSNSで伝えたい若者たちに注目されました。
“食べることは面倒で不経済”と考える若者に向けて開発されたのが、それだけを食べていれば、ほかに何も食べなくても生きていける。そんな夢のような食品、“完全栄養食”です。完全栄養飲料「COMP」や、世界初のパスタタイプの完全栄養食品「ベースパスタ」が発売されたのもこの年。当時は、異次元の話のように感じましたが、同様の商品が今では、コンビニでも販売されています。
17年は、[ファストマーケティング][時短家電][1分料理動画]などもキーワードに挙がるほど、[時短ニーズ]が強かった年。それから9年。今年も、手軽に栄養を摂りたい[コスパ栄養]や食事の代わりにもなる[おやつ食]など、タイパとコスパの両得ニーズは相変わらずです。が一方で、[逆タイパ志向]も。ゆっくりじっくり時間を楽しみたいニーズも確実に大きくなっています。