早く速くが求められている今、歩きながらでもさっと食べられる、ワンハンドフードがちょっとしたトレンドになっています。
セブンイレブンは外出機会が増える春休みシーズンに合わせて3/25、片手で食べられる冷凍食品2品を数量限定で発売しました。皿にのせるのが“常識”のお好み焼きを片手でパクッと食べられるようにしたり、温めて食べるのが“常識”の今川焼きを電子レンジで冷たく仕上げる設計にしたり、“冷凍食品の常識を覆そう”をテーマに掲げています。
一方、Hotto Mottoが提供するのは、人気のお弁当をワンハンドで手軽に味わえる“BENTOバーガー”シリーズ。“のり弁バーガー”は、おかか昆布の上に海苔をのせ、白身魚のフライ、ちくわの天ぷらを盛り付け、ソースで味付け。ひと口で海苔弁のおいしさを堪能できるといいます。
大阪・関西万博に出展する飲食店では、会場を巡りながら食べられるワンハンドメニューを提供する動きも見られます。「ほっかほっか亭 MADE by HURXLEY」は、十六穀米を使ったご飯でおかずをサンドした“ワンハンドBENTO”を提供していますし、不二家は、“気軽に、好きなタイミングで楽しめる新たなスタイル”として“ワンハンドショートケーキ”を提案しています。
2007年のトレンドにも、【ウォーキングフード】というキーワードでワンハンドフードが取り上げられています。丸く固めて焼いたラーメンの麺をパンに見立て、ハンバーグの代わりにチャーシューをはさんだ“麺バーガー”。スティックケーキやモチクリームなど、ワンハンドで食べられるひと口スイーツも流行りました。当時、北米で250店をチェーン展開していた、ピタパンを使ったサンドイッチ店「ピタピット」の日本1号店が、東京・千代田にオープン。ピタパンに、たっぷりの野菜、チキンやローストビーフなどを詰めて巻き込むように包むため、片手でも中身やソースがこぼれずに食べやすいうえ、栄養のバランスもよいと人気になりました。
月: 2025年4月
ツンとした刺激が懐かしい
ここ数年、積極的に酢飲料を飲む生活者が増えています。中でも人気なのは、健康によいイメージが定着している黒酢と果実酢。黒酢商品では、タマノイ酢のロングセラー「はちみつ黒酢ダイエット」や、果実酢では100%果実発酵酢から作られたCJジャパンの「美酢(ミチョ)」など、長く人気を誇る商品が多く、Mizkanやキユーピー醸造も、業務用を含めてさまざまな酢飲料を販売しています。
今年3/25、Mizkanは30~40代男女をターゲットに、“気になるカラダまとめて対策飲料”と謳う機能性表示食品のビネガードリンク「NEW酢SHOT(ニュウスショット)」を発売しました。同社史上最大レベルの酢酸を配合したこの商品。酢酸には、血圧が高めの人の血圧を下げる機能、日常生活で生じる運動程度の一時的な疲労感を軽減する機能、肥満気味の人の内臓脂肪を減少させる機能があることが報告されています。酢愛好者が、性別、年代に関係なくどんどん広がっているようです。
Mizkanが2009年に発売した「やさしいお酢」は、“ツンとこない”酢を目指して作られた酢調味料。鶏肉の煮物や魚の照り焼きに使うなど、今までの酢にはないレシピを提案し、酢を料理に使うことが少なかったターゲットの掘り起こしに成功。酢が苦手な人にも受け入れられてヒットしました。続いて登場した既存商品をリニューアルした「カンタン酢」は、今やMizkanの稼ぎ頭。20年には飲食店向けに「ぽん酢」を使ったアルコールドリンク“ぽん酢サワー”を提案するなど、酢の利用範囲も広げています。元々、日本古来の発酵食品であり、身体によいと言い伝えられてきた酢。ツンとしなければ万人受けするのは当然です。
“子どもと男性は酢が苦手”。なんとなくそう思っている人も多いのでは。確かに、昭和時代の酢には、吸い込むとむせるような、ツンとした角がありました。まろやかな酢味もいいのですが、時には、キリッとした強い刺激が懐かしくなります。