2/19、厚生労働省は、酒類の適正な摂取量などを示す【健康に配慮した飲酒に関するガイドライン】を発表しました。それを受け、飲食店に役立つサービスを提供する“飲食店ドットコム”を運営するシンクロ・フード(東京・渋谷)は、飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)404人を対象に、3/8~18、ノンアルコール・低アルコール飲料の提供についてアンケート調査を実施しました。
それによると、飲食店で注文されるアルコールの量や内容を発表前と比べると、87.3%が「特に変化はない」と答え、「変化があった」は1.3%にとどまることが分かりました(N=386)。【飲酒に関するガイドライン】の発表からわずか1ヵ月。情報番組で取り上げられてはいたものの、認知も関心も低いようです。一方、ノンアル・低アル飲料の直近1年間の注文量は、「変わらない」が74.9%と多く、「増えた」も22.8%と一定数あり、ノンアル・低アル飲料の需要は確実に定着しています(N=334)。
2023年、アサヒビールは筑波大学との共同研究で、ノンアルコール飲料がアルコール飲料に置き換わる可能性があることを世界で初めて実証しました。飲酒量が多い123人に対し、54人にノンアル飲料を12週間提供し、残り69人には提供しませんでした。結果、前者は約30%飲酒量が減少。しかも、その効果が提供8週間後も持続していることも分かりました。ノンアル飲料摂取量の増加と飲酒量の減少とに相関関係が見られたといいます。
国が推進する「健康増進・医療費削減」。たばこの次に槍玉に挙がっているのがお酒です。酒類メーカーも、健康的な飲酒を推奨。ノンアル・低アル飲料に比重を移しています。
「酒は百薬の長」。これは、新王朝の皇帝・王莽(おうもう・紀元前45~23年)が発した、“酒は素晴らしくて重要だから政府の専売事業とする”という詔の中の一節だとか。政府で利権を独占する酒をもっともっと飲むようにと民に発した宣伝文句ではないかと曲解することもできます。にしても、お酒を「百薬の長」にするのはとても難しい。