料理レシピには伝承された“当たり前”がたくさん存在し、それが今の食材に適さなくなっている例がたくさんあります。そのことを改めて気付かせてくれたのが、10/12に放送されたNHKの「あしたが変わるトリセツショー」の「ごぼうのトリセツ」。
こぼうの味は好きなのに、料理はしない。なぜなら、下ごしらえが大変だからとの声に対し、ごぼうは下ごしらえをしなくてもいいという内容。昔のごぼうはしっかり成長してから収穫するので太く、長く、アクが強い。が今は、軟らかく、アクが少ない最適時に収穫される。ゆえに、土を洗い流すだけでよく、皮むきも水さらしも不要とのこと。私も以前は、母から教えられた通り包丁の背で皮をこそげ取っていましたが、ごぼうの香りと栄養は皮に多く含まれることを知ってからは、土を落とす程度に水洗いをするだけです。
このように昔の野菜を基準に今も下ごしらえが常態化、常識化している野菜があります。例えば、ほうれん草など緑が濃い葉野菜。アクの素となるシュウ酸を取り除くためにゆで、色鮮やかにするためにすぐに水に取るというのが常識ですが、昨今のほうれん草はそこまでアクが強くないので、さっと洗ってラップに包んでレンジ加熱という下ごしらえも紹介されています。
れんこんもごぼう同様、水や酢水にさらすことが当たり前のように言われますが、これは、褐変を防ぐため。筑前煮など白く仕上げる必要がなく、しかもすぐに調理をするのなら、水にさらす必要はないと思います。人参も工場で洗浄される際に皮の大部分が取り除かれているので、見た目を気にする料理でなければ皮はむかなくてもかまいません。
今の野菜を知り、下ごしらえの目的が分かれば、反対にしなくていいことにも気が付きます。が一方で、ウチはそうだから、それが当たり前だから、今までそうしてきたから。理屈は分かっていても止められないことって、案外あるのかもしれませんね。