料理には食材のバランスが大切だと痛感するときがよくあります。
例えば「ちらし寿司」。このコラムにも度々登場していますが、私は毎年、ひな祭りや木の芽の季節に合わせて、女子栄養大学に脈々と伝わる「ちらし寿司」を作ります。酢飯に、それぞれに味付けされたかんぴょう、しいたけ、れんこん、人参、穴子、三つ葉を混ぜ込み、上に、そぼろ、錦糸卵、エビ、さやえんどう、甘酢しょうが、海苔、桜の花の塩漬け、木の芽などを飾ります。このちらし寿司、意外にも“のんべえ”に評判がいいのです。なぜか。具材の種類が多いうえに、材料表の分量よりも多め多めに混ぜ込むからです。意外と塩気が強い酢飯に、しっかり調味されたたっぷりの具材。これはもう「ご飯もの」というより、「アテ」にぴったり。年々具材の量が多くなることにはたと気付いた今年。来年からは「ご飯もの」にリセットです。
例えば「冷やし中華」。せっかく手作りするのだからと、具だくさんになりがちです。きゅうりにトマト、錦糸卵に焼き豚、くらげにエビ。肉被りですが、ハムも捨てがたい。紅しょうがはマスト。白ごまと刻み海苔も。具材が多い分、中華麺は控えて・・・などとやっていると、もはや「麺料理」ではなく「サラダ」に。酸味とごま油の風味が利いたしょうゆだれが、辛うじて冷やし中華であることをアピールしています。
ふたつの料理の共通点は、ベースの炭水化物と多種な具材の組み合わせ。いろいろな具材を楽しみたい、リッチにしたい、ヘルシーにしたいといった欲求に加え、食材を中途半端に余らせてもという迷いも。
「焼きそば」も、ついつい野菜を多くし過ぎて「野菜炒め(ソース味)・麺入り」になってしまうのが常。日々の外食では満足できないことを、手作りでリベンジしているのかも。