脱サプリメント? ブレイン料理

 米国・NYで、“脳の健康にいい食事”がコンセプトのレストラン「Honeybrains(ハニーブレインズ)」が話題になっています。オーナーは元連邦検事。多くの犯罪事例に触れるうち、脳の機能を高める健全な食が社会には必要であると考えてオープンしたといいます。メニューは、ボウル、サンドイッチ、サラダなど約40品。すべて神経科学に基づいて開発、設計されています。素材は、脳の機能を高め、認知症などを防ぐ効果があるという豆類、オメガ3脂肪酸、果物、野菜、全粒穀類など。加工された砂糖の代わりに、栄養豊富な未加熱のはちみつを使っているのも特徴で、それが店名にもなっています。
 脳に栄養を与える「ブレインフード」。日本でも時々話題になり、弊社が毎年公表する相関図のトレンドキーワードにも、2016年と21年の2回上がっています。日本の場合、やはりサプリメントとしての商品化が主流。成分は、脳のエネルギー源としてブドウ糖、思考する時間をサポートすると謳う“熟成ホップエキス”、記憶力や集中力を上げるとされる“ポリフェノール”“α-リノレン酸”、記憶の精度を高める効果が期待されているイチョウの葉由来の“フラボノイド配糖体”“テルペンラクトン”、アルツハイマー型認知症などによる記憶力の低下を抑制する効果があるといわれている“中鎖脂肪酸”、アルツハイマー型認知症の発症リスクを抑えるとされる“ペプチド”“フェルラ酸”“トリゴネリン”などです。
 一方、2015年、早稲田大学の矢澤一良研究院教授は、“機能性食品”だけでなく、“機能性惣菜”の需要が拡大すると予想。「単に食物繊維が多いというだけではなく、ビタミンやミネラル、ポリフェノール、カロテノイドといった機能性成分の充足を目的とした惣菜が市場で提案されるべきだ」と主張していて、ターゲットに「ブレインフード」を挙げています。おいしい料理をいただきながら、脳活性も期待できる―。8年経ちましたが、まだ気配すらありません。栄養素や成分に期待される効能が生活者レベルで認知されていないと、機能性で惣菜を販売することはかなりハードルが高いと思われます。

ひめカン編“食のトレンド情報アーカイブ”【2015.8.14-8.20/機能性惣菜】