最近、週末は朝から豆を煮込むことが多くなりました。レッドキドニー、白いんげん豆、青えんどう豆、ひよこ豆など、前日の夜、料理に使う豆をたっぷりの水に漬けて置きます。翌朝には二回りも三回りも大きく膨らんでいて、“さあ煮込むぞ”と思わせてくれます。
ゆでた豆の缶詰もありますが、乾燥豆を戻すところから始めるのは、豆をゆでていると甘くてほくほくとした香りがキッチンいっぱいに広がり、幸せな気分になれるから。もうひとつの理由は、“絶対においしい料理がいただける”という期待感を高めてくれるからです。
合わせるのは、牛肉や豚肉、鶏肉や鴨肉と、ハムやベーコン、ソーセージやウインナーなどの畜肉加工品の中から。たっぷりの野菜と合わせてイタリアンなスープにしたり、玉ねぎやにんにくなどの香味野菜と合わせて豆とソーセージが主役のフレンチ風のスープにしたり。牛肉と合わせてメキシコ料理の「チリコンカン」を作ったり、鴨やラム、生ソーセージなどを贅沢に使ってフランス南西部の郷土料理「カスレ」に挑戦したり。肉や畜肉加工品のうま味と塩味、香りと脂がたっぷりとスープに溶け出し、それを豆がお腹いっぱいに吸い込んで。おいしくならない理由が見つかりません。フレンチ風のスープは、仕上げにレンズ豆を加えると、ポテッとした煮込み料理にもなります。
豆料理は世界中に広がっていて、穫れる豆によって料理が異なり、加工の仕方もさまざまです。例えば、北南米や欧州には煮込んだ料理が多い一方、中近東やアフリカでは豆を潰してコロッケのように揚げた「ファラフェル」が有名です。東アジアでは豆から豆腐や納豆、みそやしょうゆを製造し、豆腐は水分を抜いて豆腐干や高野豆腐に加工。もちろん煮豆は日本の伝統食ですし、北陸や東北には大豆を潰して平たくし乾燥させた保存食「打ち豆」もあります。
豆はタンパク質と食物繊維が豊富で、ビタミンやミネラルをバランスよく含む栄養的に優れた食品。卵が命の元のように、豆は植物の種子、発芽の元です。“食べれば絶対にパワーをいただける”。そんな気になれるのも豆の魅力です。