あえてお酒を飲まないライフスタイル“ソバーキュリアス”を標榜する生活者が増えるなど、アルコールとの付き合い方が多様化している中、“割って飲む”スタイルもすっかり定着しているようです。
サントリーホールディングスは炭酸水で割って飲むことを前提に開発した、アルコール度数16%のビール“ビアボール”を、白菊酒造は同様に炭酸水で割って楽しむ日本酒“&Soda(アンドソーダ)”を、どちらも昨秋発売しました。一方、東京・吉祥寺の居酒屋「にほん酒や」では、音楽と一緒に日本酒を楽しむための新しい飲み方として日本酒を水で割って燗つけした“割り水燗”を提案しています。音楽イベントで燗酒を提供する際、音楽を聴きながら飲むのであれば、味わいやアルコールは軽い方がいいと感じて考案したそうで、“割り水燗”と音楽の可能性を探るイベントを日本各地で開催しています。
この割り酒人気。2010年にも似たような情報があります。ビールやロゼワイン、日本酒などで“オンザロック”に注目が集まっているという内容です。氷で冷やすことでビールはキリッと引き締まった味になる、甘口のワインは甘さが和らぎ飲みやすくなる、見た目も涼やかで、飲み口も軽やかになる。と、若い女性を中心に、お酒の新しい飲み方として人気になりました。
とは言え当時はまだ、「氷を入れたら薄まってしまい、本来の味が楽しめない。邪道だ」という声が中高年を中心に多かったと思います。私も同じです。「お酒は最高の状態に仕上げられるもの。薄めるなんて酒蔵に失礼だ」と思っていましたから。ワインや日本酒は当然そのままで、アルコール度数40度以上のウイスキーやジン、ラムもストレートをショットグラスで、が当たり前でした。
それから十数年が経ち、邪道もタブーもマナー違反も、すべての既成概念が取っ払われました。自分に合った飲み方で自由に楽しむー。それでいい、それがいいと、私でさえも思える時流になっています。