中高生時代に通った浜松の居酒屋で「遠州焼き」なるものをいただきました。初めて知った料理名ですが、メニューの写真を見て昔懐かしい「お好み焼き」だと分かりました。子どもの頃、駄菓子屋には鉄板テーブルがあり、おばちゃんがお好み焼きや焼きそばを焼いて売っていました。これに冬はおでん、夏はかき氷が、駄菓子屋の定番。コンビニで言うところのFFです。
駄菓子屋のお好み焼きは、お小遣いで買えるおやつ。とても質素だったと記憶しています。肉や魚介などは一切なく、小麦粉を溶いた生地に天かすとねぎ、紅しょうが、おかかを振りかけておしまいのような。ソースも、濃厚なトンカツソースではなく、ウスターソースか、ひょっとしたらしょうゆだったような記憶もあります。
「遠州焼き」を調べてみたら、特徴的なのはたくあんを入れること。そう言えば入っていたかも。ソースではなく、しょうゆ。おかかではなく、サバやアジの削り粉のよう。記憶よりチープな感じだから正しいのでしょう。
懐かしくなってレシピを探し、作ってみました。そうそう、もうひとつ忘れてはならないことが。丸く焼いた後、両端を折りたたんで真ん中で重ね合わせるのです。駄菓子屋ではそれを、横長の発泡スチロールの皿に載せてくれました。薄いからできる提供方法です。
食には貧乏くさいほうがおいしいものがたくさんあります。「遠州焼き」のポイントは、たくあん。古漬けの酸っぱいものとあります。確かに、昔食べていたたくあんは、酸っぱかった。が、近くのスーパーでは見つけられず。
懐かしの味なのかと言われれば、そうのような。違うと言われればちょっと違うような。舌の記憶が曖昧なうえ、古漬けではない。なんとも、中途半端なノスタルジーに浸った休日でした。