「2022年 食市場のトレンド相関図」に「実感マーケティング」というキーワードを入れました。購入したもの、利用したものに対して、謳い文句は本当なのか、期待通りの効果はあるのか、社会の役に立っているのかなど、生活者の中で、“実証して欲しい”“実感したい”というニーズが高まっているのです。そして今年は、「authenticity(オーセンティシティ)」という言葉が注目されています。直訳すると、「信頼性や真正であること」といった意味で、嘘がない、本物であることが求められる時代になっているということです。
企業に対し、サステナブルな取り組みが求められる中、実体が伴わない環境対策をアピールする“グリーンウォッシュ”の問題も広がっていて、企業には生活者への説明責任を問われています。
加えて、かつては厨房におけるアルバイトの、最近では回転寿司店における客の、不適切な行為による深刻なネット炎上で明らかになったように、行為をしたアルバイトや客が非難されると同時に、店側のずさんな衛生状態や労働環境の劣悪さ、企業の顧客に対する広告の嘘など、企業自体の問題も同時にネット上に“告発”されることになります。
たれの瓶の中で虫が動いている動画がSNSに掲載された「餃子の王将」のケースは、店側の衛生管理に問題があるのか、悪意のある行為があったのか分かりません。が、前者もあり得ると客が思えるのであれば、それは企業側の責任です。
企業側の不都合がバレやすくなっている時代だからこそ、オーセンティシティがより重要になっていると言えます。逆に言えば、企業や従業員の“神対応”が、顧客やファンの感動を呼び、それが大きな話題になることもあり得ます。SNS時代は、“正直者が馬鹿を見る”のではなく、“正直にやっていなければ取り返しがつかなくなる時代”なのです。