“町中華”。いい響きです。かつては、商店街には必ずと言っていいほど存在していた庶民派の中華料理店。看板に「ラーメン」と大きく書かれていても、一通りの中華料理が楽しめる店が多かったと思います。
私も町中華が大好きです。町中華といえば冷えた瓶ビール。餃子は必ず、次に炒め物。もしくは、ご飯ものか麺。本当は両方行きたいのですが、さすがにお腹が付いて来ません。ひとりでさっと飲んで食べるもいいし、複数人でちょっとした飲み会もできる。そんな使い勝手がいいところも、町中華の魅力です。
商店街が寂れてしまうと、町中華も存在しづらくなります。その代わりのように、大きなショッピングセンター(以下SC)のレストラン街に中華料理のチェーン店があります。久しぶりにその1店に入りました。東京でも名が知れた大きなチェーン店。まだ店舗数が少ない頃、都心の店に入ったことがあります。本場感を演出した店内の雰囲気が楽しく、料理もおいしかったと記憶しています。が、SCのテナント店は、その印象を大きく覆しました。
収益の上げ方が特殊な地方のSCのテナント店。それなりの苦労は分かりますが、料理の味が記憶と大きく違うのです。食材をケチっているわけではありません。味の落としどころを間違えていると感じるのです。大手チェーンですから、セントラルキッチンで合わせ調味料を作ったり、食品会社にOEMを委託したりしているでしょう。ならば、落としどころさえ間違わなければ、店舗の人員に頼らなくても安定したおいしさを提供できるはずです。
当初は顧客の期待にはまっていた味が、また魅力と受け取られていた特徴が、立地や店舗の雰囲気、時の流れで異なるものに感じられることがあります。ズレが生じるのです。確認・検討・修正の繰り返しが、メニュー開発にも商品開発にも欠かせないのです。