令和5年が始まりました。新型コロナウイルス発生後、初めての行動制限がないお正月。久しぶりに帰省した人も多かったと思います。
食の産業化とともに地方色が薄まったといわれる故郷の料理。でもお雑煮は、その土地その土地、その家その家ならではの味が残っているのではないでしょうか。かつて女性は婚家の風習に倣い、その家のお雑煮に慣れていくのが当たり前でしたが、最近は、夫の実家では婚家の味で、自宅では妻が慣れ親しんだ味で、お雑煮を楽しむ家庭も多いとか。
我が家の場合、私は静岡県西部(遠江国)、夫は愛知県東三河(三河国)。県は違えど、このふたつの地域は徳川家康で繋がっていて、食文化はかなり似ています。お雑煮は至ってシンプル。角餅に、カツオだしのすまし汁、具は、小松菜が基本。夫の実家が鶏を飼っていたので、鶏肉も入れます。違いは、東三河では小松菜が餅菜(正月菜)になること。
年の暮れになると、スーパーには餅菜(正月菜)が並びます。結婚して20年以上。私は、お正月限定で、小松菜の呼び名を変えて販売促進しているのだと思い込んでいました。ところが夫曰く「餅菜と小松菜は違う。餅菜を育てている人から聞いたから確かだ」。そう言われてみると、小松菜に比べて火の通りが早く、今年初めて「あれぇ?小松菜じゃないぞ」と気付いたのです。調べてみると、古くから尾張地域で栽培されてきた小松菜に近い在来の菜っ葉で、小松菜よりも葉の色が淡く軟らかいのが特徴だとか。ただし、小松菜を餅菜(正月菜)として販売している場合もあるとのこと。
思い込みは禁物。でも逆パターンで騙されることも間々あり。そんなときは、「1本取られました!」と笑い飛ばすことにして、もう少し素直な気持ちで物事に接しようと今年の誓いを立てました。