9月第3月曜日は敬老の日。国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人を高齢者としていて、日本の全人口に占める高齢者の割合は、およそ3割です。
先日「徹子の部屋」に、「80歳の壁」の著者で高齢者専門の精神科医、和田秀樹氏が出演。人生100年時代を元気で幸せに過ごすための提案をされていました。番組の最後で和田氏は、「こんなことを言うと愚痴になるのですが」と前置きをなさった後、「本は売れている、みんな高齢者向けの本。いろいろな出版社がまた書いてくださいと言ってくれるが、残念なのは、高齢者向けの新しいエンターテインメントをやりたいから、新しい製品を作りたいから、和田さんちょっとアイデア貸してくださいとか、一緒にプロジェクトに参加してくださいとか言ってきた会社がひとつもないんですよ(※)」とおっしゃっていました。「今、人口の30%もいる高齢者の人に買ってほしいものを探すだとか、楽しんでもらうものを探すだとか、そういうことを、もっといろんな業界がしてほしいとは思いますよ(※)」。
確かにその通りだと思います。高齢者向けの食と言えば、咀嚼嚥下がしやすいよう軟らかく仕上げたもの、タンパク質やカルシウムなどの栄養素を強化したもの、記憶力をサポートする成分が添加されたものなど、加齢に伴う身体的能力の低下を補う目的の加工食品がほとんどです。一方、和田氏は提案の中で、「生活に変化をつける」「残存能力を生かす」ことが大切だとおっしゃっています。食べたことがないものにトライしてみたくなる、咀嚼力や嚥下力を維持するためのトレーニングにもなるなど、元気な高齢者でいるために最も重要だとされる“前向きに生きる姿勢”を応援する食の提供はできないものか。Z世代がそうであるように、高齢者にも「マインド消費」の流れが来ていると思います。
※一部、簡略化しています。