AIが解析!? 肥満因子と減量因子

 太る痩せるのメカニズムは、摂取カロリーと消費カロリーのバランスというのが定説。食べ過ぎれば太るし、運動すれば痩せる。だから食事の量を減らしたり、甘いものを我慢したりして摂取カロリーを抑えることがダイエットの常套手段でした。が、近年は、摂取カロリーを気にしないダイエット法が増えています。
 例えば、基礎代謝を上げて太りにくい身体にするためにタンパク質中心の食事をするプロテインダイエット、糖質を極限まで減らし、足りないエネルギーは脂質で補うケトジェニックダイエット、血糖値を上げる食品を避ける、血糖値を上げない食べ方をする低インスリンダイエット、農耕が始まる前の狩猟採集型の食生活を推奨するパレオダイエットなどなど。
 信州大学発のベンチャー、ウェルナスは、AI技術による動的データ解析によって個々人が必要な栄養素を特定するサービスを始めます。ユーザーが設定した目標(健康・美容・運動機能・学力など)に関連する体重・血圧・筋肉量などの生体データと、日々摂取する食事に含まれる栄養素データを解析して両者の関係性を明らかにし、生体データを改善するために個別最適化された“栄養最適食”のメニューを提案するという内容です。
 この情報の中で私が驚いたのは、人によって生体データに影響する栄養素(関与因子)が異なるということ。例えば、血圧に関与すると言われている“Na(ナトリウム)=塩分”が、血圧上昇因子ではなく、むしろ血圧安定因子として働く人もいるというのです。
 肥満因子として働く栄養素と減量因子として働く栄養素。自分にとってのそれが分かれば、最も信じられるダイエット法になるでしょう。

「涼しい街」勝浦と朝市

 100年以上、一度も35℃を超える猛暑日になったことがない「涼しい街」として、今夏、突如注目を集めることとなった千葉県勝浦市。“クーラーをつけたことがない”“寝る前には靴下をはく”“寝床には毛布を用意しておく”などなど、連日、体感的には40℃超えを耐えている東京人には羨ましい限りです。“本当かいな?”とばかりお盆休みに行ってみました。
 勝浦市と言えば、朝市が有名。ならばと早起きして出かけたのですが、途中、事故渋滞に巻き込まれ、到着したのは10時。朝市は11時までです。朝市通りには、店がポツンポツンとあるだけ。時すでに遅し。
 ならば、せめて海の幸でもいただこうと飲食店に目ぼしを付けますが、どの店も開店前から列ができています。仕方なく、近くのアンテナショップ「かつうら商店」でひと休みしがてら、看板娘たちとおしゃべり。彼女たちも、勝浦市が「涼しい街」として話題になっていることに驚き、移住の問い合わせが急増していることを喜んでいました。が反面、朝市が寂しくなってしまっていることをとても嘆いていました。“三大朝市のひとつと言われると、お客様に申し訳なくて”“以前は100店ぐらい出てたけど、後継者がいなくてずいぶん減ったね”と。活気がない朝市の風景に、早く来なかった自分を責めるのは、どうやら的外れだったようです。
 「涼しい街」を売り出そうと、即PRに動き出した勝浦市観光協会。観光ポスターを刷新したり、空撮動画を制作したり。そのスピード感を生かして、活気溢れる朝市を取り戻すことに、さらに尽力していただきたいと願います。因みに、勝浦市。日陰に入ると確かに風がひんやりとしていました。

猛暑の影響を受ける農産物

 40度に届きそうな猛暑日が続いています。こうなると心配なのが、農畜産物への影響です。強過ぎる日差しで葉が焼けたり、表皮にキズが付いたり、病気が出たり。家畜は暑さで衰弱したり、乳牛は乳が出なくなったり。過去にも猛暑が食卓を直撃しました。
 そんな中、Oisixが展開しているのが、猛暑の影響で形が不揃いになったり、見た目が悪くなったりで通常の流通ができなくなった野菜の販売です。例えば、栃木県産のパプリカ。ビニールハウス内の温度があっという間に50度を超えてしまい、パプリカの表面から水分が抜ける蒸散量が一気に増え、表皮にクレーターのようなでこぼこが。また福島県産きゅうりは、生育時に異常な高温と過度な日照が続いたことで、水分が実に十分に行き渡らず、皮が引っ張られるような状態になって大きく曲がってしまっています。茨城県産のかぼちゃは猛暑で生育が進み、大きくなり過ぎて販路の確保が難しく、熊本県産のシャインマスカットは、猛暑で実にかけた袋の中が蒸れてしまい、表面にシミができてしまっています。いずれも味や歯応えは、通常品と変わらないと言います。
 農産物が天候の影響を受けるのは避けられないことです。自分で育てたものならキズついていようが、曲がっていようが気になりませんし、大きく育ったらうれしいはずです。道の駅で生産者の方が「わたしが作りました」と売ったら、曲がったきゅうりにも愛着が沸きます。スーパーの店頭では、ついつい選り好みしてしまいますが、野菜の向こうにいる生産者のことを想像して有り難く手に取ろうと思います。

ゴッドファーザーとカンノーリ

 7月、米国の俳優ジェームズ・カーン氏が亡くなりました。映画「ゴッドファーザー」でのドン・コルレオーネの長男ソニー役が印象強く、久しぶりに「ゴッドファーザー」を見ました。
 映画を見ていてよく思うことは、それが何であるのかを知っているのと知らないのとでは、解釈や感情に大きな違いがあるということ。今回のそれは“カンノーリ”です。カンノーリは、小麦粉で作った生地を筒型に揚げ、クリームをたっぷりと絞り込んだお菓子。「ゴッドファーザー」と「ゴッドファーザーRARTⅢ」に出てきます。
 「ゴッドファーザー」では、ドンの部下、クレメンザが広大な麦畑のような場所に車を止めさせて小用を。その間に手下は車内で裏切り者を銃殺。クレメンザは何事もなかったように、車の中に置いてあった、奥さんから買ってくるように頼まれたカンノーリを持ってこさせるのです。せりふは、“Take the cannoli”ですが、字幕は“ケーキを(持って来てくれ)”。1972年の日本では、カンノーリを知っている日本人はほとんどいなかったからでしょう。
 「ゴッドファーザーRARTⅢ」では、コルレオーネ家のドンとなったマイケルの妹コニーが、ドン・アルトベッロを毒殺するのにカンノーリを使います。ドン・アルトベッロは観劇中、コニーから誕生日のお祝いにもらったカンノーリを、おいしそうに食べ続けていました。
 カンノーリの発祥の地は、イタリアのシチリア島。ドン・コルレオーネはシチリア島のマフィアから逃れて来た移民、アメリカンマフィアの起源はシチリア島にあります。強面のマフィアもメロメロになるのは、故郷のお菓子、マンマの味だからでしょう。それを理解して見ると、ふたつのシーンが一段と残酷さを帯びてくるのです。

甘い麦茶

 子どもの頃、母が作る麦茶には砂糖が入っていました。昭和の話です。今は、細かく粉砕された大麦がティーバッグに入っているので水出しも可能ですが、当時は、炒っただけの大麦。大きなやかんでじっくりと煮出します。熱いうちに砂糖を入れて溶かし、冷蔵庫で冷やします。
 甘い麦茶が当たり前だったのに、いつの間に甘くない麦茶がフツーになったのか、思い出せません。一方、スタッフの中には、同世代でも一度も甘い麦茶を飲んだことがない人もいます。甘い麦茶は、時代物ではなく、地域物のようです。確かにネットで検索してみると、私の出身地の静岡県、山梨県、栃木県、山形県、新潟県、富山県、四国では香川県あたりではあり、関西と九州はなし、沖縄では一部で砂糖を入れるようです。
 なぜ麦茶を甘くするのでしょうか。おそらく、ひとつにはエネルギー補給のため、もうひとつは、甘いものが豊富ではなかった時代、贅沢品だった砂糖を入れてお客様にお出ししたからではないかと思います。事実、私の実家は燃料屋をしていて、プロパンを配達する社員たちがひっきりなしに飲んでいたのを覚えています。トラックにはクーラーがない時代です。体力の消耗も激しかったことでしょう。そして、お客様に氷を入れたグラスで甘い麦茶をお出しするのは私の仕事でした。
 当時は、コーヒーにも紅茶にも砂糖を入れるのが当たり前。甘い飲み物は、ちょっと幸せな気分にしてくれたのだと思います。最近は、フルーツの香りを生かした甘い茶飲料が人気です。紅茶に加え、烏龍茶にも甘い商品(サントリー果茶 芳醇な白桃)が登場しています。