“カタカナスシ”と“客が育てるセカンドライン”

 最近の寿司市場。流行りは、“カタカナスシ”と称されるカジュアルな寿司酒場と、“客が育てる”高級店のセカンドラインです。
 先日、前者の先駆けとも言える「スシエビス 恵比寿本店」にふらりと立ち寄りました。風変りなメニューがウリとの話は聞いていました。カウンターに座ると、目の前には大きな蒸し器。ちょっと変わった“小籠包”が人気だとか。おすすめは、“名物!エビ・カニ合戦”。カニの甲羅に叩いたエビとズワイガニ、イクラとうずら卵が盛り付けてあり、それをよくかき混ぜて甲羅の下に並べられたカニ味噌の細巻きにかけていただきます。“とろける鰻バター”は、うなぎの握りの上に、スタッフがバターを削りながらたっぷりかけてくれる、動画向きの一品。まさにSNS映えと気軽さがウリの「寿司居酒屋」です。接客も明るくて親切なのですが、オ―ダーは完全スマホ経由。カウンターに座っても、板さんとのやり取りはありません。
 後者の代表格は、4/23にオープンした立ち食い寿司店「鮨 銀座おのでら 登龍門」です。「銀座おのでら」が、“お客様に育てていただく鮨店”をコンセプトに立ち上げた店。ポストコロナのさらなる世界展開に向けて、実力のある寿司職人を育てていくことが目的です。ネタは総本店と同じものを使用しながら、価格は若手職人の“勉強代”としてよりリーズナブルに設定していると言います。
 これに先立ち昨年10月にオープンした「廻転鮨 銀座おのでら本店」(東京・表参道)。「銀座おのでら」でも提供されている「やま幸」の本マグロを目当てに出掛けました。その時付いてくれた板さんに「どのくらいお寿司握ってるの?」と聞いたら、「6ヵ月です」とのこと。このプロジェクト、その時既に始まっていたのですね。