1月、夜の車道をダチョウが爆走している中国の映像をニュースで見ました。近くの農場から逃げ出したとのこと。中国では近年、ダチョウビジネスが盛んで、短期間にダチョウ飼養企業が次々に誕生。その数は優に200社を超え、このほかに小規模な飼育場が多数存在しているといいます。
中国でダチョウビジネスが急速な成長を遂げてきた背景には、①広大な牧草地帯などは必要なく、限られた面積で飼育が可能 ②飼育管理に手間が掛からないうえ、 繁殖力が強く、 かつ乾燥や高温といった厳しい気候にも耐性がある ③飼料は、草や茎、ふすまや豆かすなど「粗食」でよい ④肉質は、高タンパク、低脂肪、低コレステロールのヘルシーミート ⑤卵は、大きいもので鶏卵30個分。しかも1羽が産む数は、年間50~100個。かつ長期間に渡り産卵が期待できる ⑥皮は、言わずと知れた「オーストリッチ」。クイルマークと呼ばれる独特なドット柄の羽軸跡は、日本の女性にも人気の高級レザー ⑦羽は、衣装の飾りに使われるほか、車のほこり取りとして今でも人気。つまり、飼育効率が高い、捨てるところがない家畜なのです。
日本で近年、ダチョウの話題といえば、やはり「ダチョウ抗体マスク」でしょう。ダチョウの卵を使って生成したウイルスの抗体を塗ったマスクです。ダチョウ抗体は、安価で素早く、大量生産できる点で、新種のウイルスが原因のパンデミックに対し、かなり有効な対策になります。因みにダチョウ抗体は、新型コロナウイルスの変異株にもしっかり結合することを、京都府立大学塚本康浩学長の研究グループが確認しています。