緊急事態宣言の規制が解除され、久しぶりに福岡へ講演に行きました。帰途、福岡空港で、一緒に登壇した静鉄ストアの元専務取締役、中山直人氏と会いました。傍らには、男性がずっと付いていらっしゃいます。話は、自然と私の出身地でもある静岡県のことに。
「私は磐田出身なんです」。すると傍らの方は「僕は今は磐田に住んでいるんですが、出身は森です」「母が森の出です」「どちらですか」「下宿です」「僕も下宿です」。そういえば、この方、こんにゃく屋さんをやっているとか??? で、はっとしました。よく祖母と母の会話にでてきた名前「こんにゃくやのおこうちゃ」。祖母の家のお隣りか、お隣りのお隣りか、記憶は定かではありませんが、「おこうちゃ」さんは確かに祖母の家の隣人で、祖母のお友達で、おそらく嫁同士で。で、その方は、「おこうちゃ」さんのお孫さんだったのです。お名前は、倉島正三さん。現在は、遠州森町の小国神社に向かう街道筋で「久米吉」という立派なこんにゃく屋さんを経営していらっしゃいます。
私の家は商売をしていたので両親はいつも忙しく、兄と二人でバスに揺られ、よく祖母の家に泊まりに行きました。近くに太田川が流れていて、夏休みは毎日川遊びです。遠くに見える鉄橋には、時々、煙を吐きながら蒸気機関車が走っていました。祖父は大工の棟梁だったので、家には常時10人くらいの弟子が寝泊まりしていて、夕食時などはそれは賑やかでした。私はいつも、横に長く並べられたテーブルの真ん中にどんと座わる祖父の膝に乗って、得意満面でした。
そんなことを思い出しながら、祖母や母が生きていたら、この偶然の出会いを、きっと驚いて、そして喜んでくれたに違いないと思いました。