私のツボは、“言葉使い”と“外食店で見かける他人の行動”

 人にはそれぞれ“ツボ”というものがあります。“笑いのツボ”、“怒りのツボ”、“泣きのツボ”などなど。そこにはまると抜けられなくなってしまうのが“ツボ”です。私の場合、“どうしても気になってしまうツボ”があり、それは“言葉使い”と“外食店で見かける他人の行動”です。

 言葉使いでは「違(ちが)くて)」「難(むず)い」「こちらでよろしかったですか」など。また可愛い女性が「デカイ」「腹減った」などと言うのも気になります。かなり気になっているくせに、“言葉は生き物、変化するのが自然”“男女平等、女らしさの押し付け”と即、自身を戒めようとするところも我ながら鬱陶しい。

 外食店ではやたら他人の行動が気になります。帽子やバッグをテーブルの上に置くな、肘をついて食べるな、器はきちんと持て、箸を振り回すな、器を重ねるな、口を閉じて噛め、洋皿は持ち上げるな、スマホを見ながら食べるな、横柄な態度を取るな、残すなら最初に減らしてもらえ、ナプキンをくしゃくしゃにするな、・・・。心の中でまくしたてます。気にしなければいい、見なければいいと自分でも分かっているのですが、そこが“ツボ”だから仕方がない。その人が若い女性の場合、「この女性が息子が連れて来たお嫁さん候補だったらどうしよう」「息子が良ければそれが一番、何も言うまい」「顔に出たらどうしよう」「なるべく一緒に食事をしないようにしよう」「すごくいい娘(こ)なら気にならなくなるかも」と一連の瞬間空想が始まります。こちらも我ながら鬱陶しい。

 そして空想の後は決まって、駆け出しの料理編集者だった頃、“ばぁば”の愛称で親しまれた料理研究家の故鈴木登紀子先生宅のダイニングテーブルの上に、スーパーの袋を何も考えずに置いてしまい、先生に注意されたことを思い出すのです。

来るか!容器のリターナブル時代

 レジ袋有料化によりマイバッグが定着。次は、プラスチックのスプーンやフォーク、宿泊施設で提供される歯ブラシやカミソリといったアメニティグッズが有料化になる予定です。着々と進む脱プラスチック化。でもまだまだ私たちの生活にはプラスチックが溢れています。精肉や刺身のトレー然り、コンビニ弁当の包材然り。

 そんな中、ローソンは9/14、蓋付きの容器を持参したお客様に商品代金を割り引く「おでん鍋割セール」を一部店舗で始めると発表しました。これには、私も大賛成。保温ジャーや電子レンジ対応の汁漏れしないタッパを持って行こうと、やる気満々です。

 加工食品市場でも脱プラは進んでいます。パッケージに再生プラスチックを使ったり、内部のトレーを廃止したり。さらに一歩進めて、容器のリターナブル化に取り組む動きが世界的に拡がっています。リサイクル事業を行っているテラサイクルが運用しているサービス、「Loop」です。テラサイクルが定めた「耐久性」「洗浄のしやすさ」「LCA(Life Cycle Assessment)」という3つの基準の下、メーカーが容器を開発します。容器はメーカーの資産になるため、開発にも力が入ります。使い勝手、デザイン、耐久性、いずれも生活者が満足できるレベルになることは間違いありません。お客様はスーパーやECで商品を購入。使い終わったら購入したスーパーに持ち込むか、宅配業者に渡します。Loopが洗浄してメーカーに運び、メーカーは再び容器に商品を充填。販売します。食品では、ロッテや味の素、キリンビールが参加を表明しているようです。 

 昭和時代の牛乳のよう。ただし、牛乳瓶は生活者が洗っていましたが、Loopのモットーは「消費者に我慢や負担を強いないこと」。洗う必要はありません。

GONTRAN CHERRIER 再上陸!

 今年7月東京・青山に、パリ発、世界で約60店舗を展開するベーカリー「GONTRAN CHERRIER」(ゴントラン・シェリエ)が再上陸しました。初上陸は、2012年。この時の運営会社は、アパレルや飲食店のブランドを手広く展開しているベイクルーズグループ。今回は、不動産事業からIT開発までさらに幅広い事業をしている名鉄協商です。

 場所は、フレンチレストラン「ブノア東京」や「ピエール・エルメ・パリ 青山」が入っているビル「ラ・ポルト青山」。この一帯、パリ色が一気に強まった感じです。

 “Artiste Boulanger”と自称するだけあって、どの商品も芸術的。特に、ヴィエノワズリーはパンというよりケーキの見た目です。人気のクロワッサンにメレンゲが波形に絞られている「クラウドクロワッサン」はクリームが潰れないよう、テイクアウトの場合は、ひとつずつ箱に入れてくれます。冷蔵陳列されている商品は、保冷材を入れてこれまたひとつずつ箱に収まります。思わず“大変ね”とスタッフに言ってしまったのは、パン屋さんだと思うから。ここは、“Artiste Boulanger”です。

 朝7時30分からプティ・デジュネ(モーニングメニュー)を提供していて、休日は朝から客が途絶えることがありません。昼頃にはパン好き女子で満員状態。買った商品は、店先のオープンテラスや2階のテーブル席でいただけます。販売スタッフは10人ほど。ショーケースに並んだ商品を客のオーダーを聞きながらスタッフがトレーに載せ、客はそれを受け取ってレジに並ぶという手間がかかるシステム。加えて、ひとつひとつ紙袋や箱に入れる包装スタイル。時間も経費も掛かり過ぎです。パン屋さんだとしたら。

コロナ禍の米国で注目されるケトジェニック・ダイエット

 先々週に引き続き、新型コロナウイルス禍の米国で流行っていることを話題に。巣ごもりで運動不足になり、筋肉が減って代わりに脂肪が付いたと気にしているのは米国人も同じ。日本では、タンパク質を積極的に摂って炭水化物を減らす食生活を心掛ける傾向が高まっていますが、米国で近年実践する人が増えているのが、「ケトジェニック・ダイエット」です。

 私たちは通常、炭水化物や果糖などの糖質が体内で分解されて作られるグルコース(ブドウ糖)を主なエネルギー源にしています。ところが糖質を極端に制限すると、身体は脂肪を分解して「ケトン体」という物質を作り、グルコースの代わりにエネルギー源にするようになります。エネルギー源がグルコースからケトン体に切り替わった状態を「ケトーシス」と呼び、ケトーシス状態になると、身体は「超・脂肪燃焼モード」に。燃費の悪い自動車のように、皮下や内臓に蓄えられた脂肪がどんどん燃やされ、結果、痩せるというダイエット方法です。

 1日に摂取していい糖質の量は、一般に50g以下と言われています。パンやご飯を50gしか食べなければいいと単純に考えがちですが、芋や人参などの根菜類、ソースやみりんなどの調味料にも糖質は含まれていますから、これがなかなか難しいのです。タンパク質は、1日の摂取エネルギーの約20~30%、脂質は約60~70%摂ります。オリーブオイルやココナッツオイル、チーズや濃厚なクリームから。

 米国では「ケトジェニック・ダイエット」を実践している生活者のために、“Keto”“Low Carbo(低炭水化物)”と明記された加工食品も多く、低糖質にするためにパスタの代わりにズッキーニを細く切った「Zoodles」が添えられたりしています。日本でもご飯の代わりにカリフラワーを使った低糖質商品がありますが、白飯が食事の中心に鎮座する食生活を永年続けてきた日本人にとっては、米国人よりハードルが高いダイエット法かもしれませんね。