お酒の飲み方の偏差値が上がる機会だったのに

 時間に関係なく、飲食店で酒類が提供されなくなった今、酒好きの私はランチも含めて外食をほとんどしなくなりました。ワインを飲まずにフレンチやイタリアンをいただいて、8時には店を出なくてはならない。そんなゆとりのない食事はしたくないのです。もちろん、お店のためには行くべきなのでしょうが。

 お酒が入ると騒いでしまうから、提供しないように。お酒そのものがいけないのではなく、気が緩んでマスクをかけ忘れたり、密になってしまったり、酔って大声で話したりなど、新型コロナウイルスを感染させてしまう“行動”がいけないということ。ならば、ひとりご飯のときや、バーなどでひとり時間を楽しみたいときは、お酒をいただいても問題ないと思います。一方、レストランやカフェで食事をしながら、しっかり盛り上がっているご婦人グループを見ることも。騒ぐ騒がないは、お酒だけの問題ではありません。

 もちろん、路上飲みで迷惑をかける若者たちも少なからず目にします。でも、「飲める場所を取り上げられたのだから仕方がない」と同情も。まだ子どもなのですから。私も学生なら、いえ20代なら、路上飲みをして盛り上がっていただろうこと想像に難くありません。

 死に至るかもしれないウイルス感染の恐ろしさ、若者も免れられない後遺症の苦しみ、変異を繰り返すウイルスの厄介さ。それらを十二分に理解させ、正しく恐れるよう教育を徹底したうえで、お酒の場での配慮を促せば、世界的に見て決して高いとは言えない日本人のお酒の飲み方における偏差値が上がったのではないかと思います。若者には、大人の嗜みを啓蒙するいい機会になったのではないかと。理想論かもしれませんが、それが残念でなりません。