“ポテトサラダ論争”が、 SNSやテレビのワイドショーを賑わせています。発端は、スーパーの惣菜売り場でポテトサラダを買おうとした子ども連れの女性が、高齢の男性に「母親ならポテトサラダぐらい作ったらどうだ」と言われ、うつむいてしまったという出来事を綴ったツイッター。これに対し、「料理をしたことがないから言える言葉」「自分で作ってみたら分かる」「簡単そうな料理こそ手間がかかる」という反論の声が上がり、ついには、「どんな料理が面倒だと思うか」など、論点の裾野が拡がっています。
料理というものは押し並べてそうですが、少しでもおいしさの高みを目指そうとすると手間が増えるし、面倒なことが多くなります。ポテトサラダも同様。じゃが芋を皮ごとゆでて熱いうちに潰して下味を付けるから、じゃが芋のコクと甘味、ホクホクのおいしさが味わえるのです。でも、丸ごとのじゃが芋をちょうどよいゆで加減で火を通すには経験が必要ですし、ゆで立ての熱々のじゃが芋の皮を手でむくのは大変です。簡単に作ろうと思えば、皮をむいてカットしたじゃが芋をゆでればいいのですが、それではどうしても水っぽくなります。
メインディッシュに添えられたり、居酒屋でお通しとして出てきたり、外食市場においてポテトサラダの地位は決して高いものではありません。ポテトサラダとはそういうものだと思っている方は、「ポテトサラダぐらい・・・」という言葉がついて出るのだと思います。
この夏、在宅勤務で1日3回食事を作っているパートナーに、「そうめん“で”いいよ」「冷やし中華“で”いいよ」などとは決して言いませんように。両方とも、面倒な料理に挙がっていますから。