新型コロナウイルス拡散防止のため、さまざまな国と地域で移動制限措置がとられました。人の行き来ができなければ、農業従事者も農産物を加工する人も不足します。既に一部の農業大国で、農産物の輸出を制限する動きが出ています。
例えば、世界最大の小麦の輸出国であるロシアは4/26、予定していた輸出業者への割り当てが終了したとして、小麦の輸出の停止を発表。これに合わせるように、ウクライナやカザフスタンも、小麦の輸出制限をかけました。また米の世界最大の輸出国インドは米と小麦の輸出を停止していますし、第3位のベトナムも一時、輸出を取り止めました。
一方、米国では、密閉が原因で新型コロナウイルスの集団感染が発生。豚肉加工場が次々と閉鎖に追い込まれました。全米食品・商業労働組合によると、5月上旬までの2ヵ月間に全米で30の加工施設が閉鎖され、食肉加工能力が豚肉で40%、牛肉で25%減少したといいます。これを受けてか、米国産豚肉の最大輸入国である日本では、既に豚肉の価格が高騰しています。
日本の食料自給率は2018年時点でカロリーベースで37%。米はほぼ100%時給できますが、小麦は9割近くを米国、カナダからの輸入に頼っていますし、豚肉の自給率は50%を切ります。食糧は国防。“自国ファースト”が、米国の専売特許ではないことを痛感する日が来ないことを願います。