コロナウイルス感染拡大の影響が食市場に広がっています。
外食を自ら控える人、勤め先から会食を控えるよう指示が出ている人、そもそもテレワークで家から一歩も出ない人もいて、外食市場は冷え込んでいます。中・高価格帯飲食店の予約サービス「テーブルチェック」では、通常9%程度の予約キャンセル率が2月には20%を超えたといいます。高級料理店で提供される和牛や国産マグロ、結婚式などの宴会需要が多いマスクメロンは値下がり始めていますし、業務用食品の売り上げは減少、外食卸も大打撃を受けています。
一方、家ナカ消費でスーパーは堅調です。子どもの昼食用にと冷凍食品やカレールウ、惣菜が売れています。また納豆やヨーグルトなどは、免疫力を高めるという理由で求める生活者が多く、供給が間に合わないといいます。1度や2度、納豆菌や乳酸菌を体内に取り込んでも、そんなに早く免疫力は向上しないと思いますが、消費者心理とは不思議なものです。
比較的安価で持ち帰りができるファストフードは余り影響を受けていませんし、そうそう手作りもしていられないでしょうから、デリバリーも人気です。
よく、“食”は固いと言われます。人は食べなくては生きられません。食べる場所と食べ物の調達方法が変わるだけだからです。働き方改革で食の外部化が進み、消費増税、軽減税率で中食市場が活気づき、コロナウイルスで内食需要が高まる―。でも、“外”“中”“内”、すべての市場が元気でないと、食業界全体が盛り上がらないこともまた事実です。