渋谷の複合施設。食のトレンド発信地になれる?

 今年後半は、渋谷が大きく変化した1年でした。渋谷スクランブルスクエアが11月1日に、渋谷パルコが11月22日に、東急プラザが入る複合ビル渋谷フクラスが12月5日に、オープンしました。
 かつては、東京に新しい複合施設が誕生すると、必ず、グルメ情報がテレビや雑誌などのメディアを大きく賑わしたものです。2003年六本木ヒルズが、07年東京ミッドタウンがオープンしたとき、“ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション”や“ル・ショコラ・ドゥ・アッシュ”など、話題の店が次々に登場。新ビルは、「日本初上陸」「東京初出店」「新業態」などのコピーが付いたグルメな話題に事欠かない食のトレンドの発信地となりました。
 が、それに比べると近年は、新しい複合施設がオープンしても、話題になるのはその前後数日のみ。かつてほど大きな話題にはなりません。
 渋谷スクランブルスクエアの場合も、パリの二ツ星レストランの総料理長であるティエリー・マルクス氏監修のベーカリー「ティエリー マルクス ラ ブーランジェリー」や、台湾の創作レストラン「参和院(サンワイン)」、ハワイで人気のカフェ「ピース カフェ ハワイ」など日本初上陸の店や、デリカテッセン「パリヤ」や天ぷらと天むすの「金子半之助」などデパ地下初出店の店が数回ワイドショーで紹介されただけで、今は、すっかり落ち着いています。渋谷パルコは、「近代的なカオティック(混とんとしている)」をテーマにデザインされた地下1階のフードコートが、パルコらしいちょっと尖ったショップが並んでいることで注目されましたが、やはりオープン時のみの話題で終わっています。
 「日本初上陸」も「初出店」も、令和の今、それほど魅力のあるコピーではないのか、グルメ情報に浮かれるほど景気がよくないのか。常に人で溢れている渋谷の喧騒に、華やかさが感じられないのは、私だけでしょうか。

“忘年会スルー”したい若手社員。ドタキャンは外食店に迷惑です

 忘年会、クリスマス、納会と、これからが書き入れ時の外食市場。ところが近年は、恋人とクリスマスディナーを楽しむ若者は減少。忘年会に関しても、職場の忘年会に参加しない“忘年会スルー”という言葉が生まれるほど、参加拒否をする人が増えています。
 忘年会に関しては、賛否両論がメディアを賑わしています。忘年会スルー組の言い分は、「自腹で参加しているのに、ビールをついだり、料理を取り分けたり、気を使わなくてはならない」「上司の自慢話を聞かされる」「一次会から三次会まで上司から同じ話を聞かされるのにいつも初めて聞いた反応をしなくてはならない」「上司と年齢の差があり過ぎて話が合わない」など。中には無料でも参加したくないという意見もあり、ある調査によると、忘年会スルーをしたい若手社員は8割に上るそうです。
 片や上司は、「忘年会はコミュニケーションの場として必要」「仕事の一環、参加は当たり前」といった意見が。
 一方、外食店にとっては、ドタキャンが恐ろしいとか。若手社員、端から不参加を表明するのは憚られ、当日、体調か、もしくはどうしようもない家庭の事情を理由に、参加を免除してもらおうと画策するようで、参加人数の変更がその場で伝えられることも多いとか。宴会料理の場合、予約人数分の食材を用意していますから、その分は泣き寝入りするしかありません。
 忘年会スルー組は、それなりの理由で自分を正当化しているのでしょうが、当日キャンセルは、上司ではなく、外食店に迷惑をかけていることに考えを及ばせていただきたいものです。

“併せ買い”販促陳列も意味なし? 西友・三軒茶屋店

 先日、待ち合わせの時間より大分早く現地に着いてしまったので、時間潰しに近くのスーパーに入りました。西友・三軒茶屋店です。
 スーパーは、ブランドによって、同じブランドでも店によって、雰囲気が異なるのがおもしろいところです。もちろん、立地、客層、店舗の大きさも影響しますが、何より、店長やバイヤーの意気込みによっても大きく変わると思います。
 さて、三軒茶屋の西友はというと。
 まず目に入ったのは、陳列されているシャンメリーの数。弊社の「食市場のトレンド情報vol.742」で紹介しましたが、シャンメリーとは1メーカーの商品名ではなく、全国シャンメリー協同組合の登録商標。組合傘下の企業なら、一定の決まりの下、自由に使える名称です。ですから、クリスマスシーズンになると、さまざまなメーカーのシャンメリーが売り場を賑やかに演出します。最近では、ノンアルコール飲料人気を追い風に、世代を超えてみんなで楽しめる飲料としても、その価値が見直されていて、西友・三軒茶屋店、トレンドをしっかり抑えています。
 次に気になったのは、キリンビールが江崎グリコの「つぶつぶいちごポッキー」とコラボした商品、「キリン 氷結 meets Pocky(期間限定)」の陳列。この商品、「つぶつぶいちごポッキー」のイチゴフレーバーを「氷結」流にアレンジしたもので、「つぶつぶいちごポッキー」を一緒に食べると、「氷結」のイチゴ果汁と「つぶつぶいちごポッキー」の‟イチゴ果肉のハーモニー”が楽しめるといいます。併せ買い販促としては、同時展示が必須です。確かに、「キリン 氷結 meets Pocky」の横にはポッキーが。が、これがチョコレートのポッキー。これでは、“イチゴ果肉のハーモニー”は楽しめません。せっかくの併せ買い販促も意味なし。惜しい!

ヘルシー志向と味わいで支持されるノンアルコール飲料

 拡がるヘルシー志向の高まりを背景に、世界中でノンアルコール飲料に対するニーズが高まっています。
 最近は、ノンアルコールというだけでなく、機能性まで纏った商品が開発されていて、ヘルシー感と味わいがウケて流行っています。内臓脂肪を減らすと謳う、サントリービールが昨年7月に発売した「からだを想うオールフリー」、キリンビールが10月に売り出した「キリン カラダFREE」、食後の血中中性脂肪の上昇を抑える機能があるとアピールするサントリースピリッツのチューハイテイスト「のんある気分 DRY・ジンテイスト」、お腹の調子を整える機能があるアサヒビールが12月に発売したサワーテイストの「ヨーグルトサワーテイスト」など、いずれも予想販売量を超える売れ行きです。
 日本初、プロテイン入りノンアルコールビールも登場しています。Muscle Deliが販売する「JOYBRAU」です。「ダイエットしているからビールは控えている」「ビールが好きだけど太るからハイボールにしている」といった生活者の声を受けて、ドイツ発のプロテインビール「JOYBRAU」を広めたいと考えたそうです。1缶(330ml)で21gのタンパク質が摂取できるのが特徴で、筋肉の成長に不可欠な必須アミノ酸BCAA、脂肪燃焼に効果的なLカルニチンとベータアラミンも配合されています。ノンアルコールなのでアルコールによる筋肉分解の恐れもなく、ダイエットやボディメイクをしている人でも安心して飲めます。
 サントリーホールディングスの調査によると、ノンアルコールのビール飲料を1年前より飲む量が増えた理由について、「おいしくなったから」、「休肝日をつくろう、または増やそうと思ったから」が多く、一方で「車を運転する機会が増えたから」は少なかったそうで、運転などのやむを得ない事情というよりも、ノンアルコールビールテイスト飲料そのもののおいしさや、健康を気遣うなどの理由から飲用量が増えているようです。