音もおいしさ。癒しを求める生活者にも人気「ASMR」

 最近、脳が気持ちよいと感じるASMR(自律感覚絶頂反応)を販促に取り入れる企業が増えています。
 カルビーは11/25、冬向けのポテトチップス“冬ポテト”を発売しました。冬においしいじゃが芋に合う食感を追求。まるで雪のような、サクサクとした食感とほろほろとした口溶けに仕上げました。日本音響研究所が調べたところ、同品の食感音は「新雪を踏む音」に似ていることが分かったといいます。
 一方、モスバーガーは、9/12、新しい‟日本のハンバーガー”を展開するシリーズ‟MOS JAPAN PRIDE”の第1弾として‟海老天七味マヨ”を発売。天ぷらは‟ざくりざくり”とした食感にこだわって1本1本手作業で揚げています。日本音響研究所に同品をかじった時の音の心地良さの検証を依頼。「音まで、うまい」とアピールしています。
 4月、日本ケンタッキー・フライド・チキンは、“パリパリ旨塩チキン”を発売したのに合わせ、同品の咀嚼音を伝えるウェブ動画を公開。食パンや寿司を食べるシーンにパリパリとした咀嚼音をかぶせ、「パリパリは極上の調味料」とナレーションを付けました。森永製菓も4月、チョコアイス“パキシエル”で、音に着目した動画を配信。食べた人にしか聞こえない「骨導音」が、パキシエルを食べた際に快感に繋がることが判明したと話します。
 ASMRは、食感だけではありません。ガスバーナーの「ボォォォ…」という音を聞くと癒されるという人もいますし、スポンジを包丁で切る音が心地良いという人もいます。反対に、キーという高い金属音で鳥肌が立つ人もいます。小川のせせらぎや木々の葉が擦れ合う音に癒し効果があることは以前から知られていました。人によって癒される音は多種多様に拡がっているようです。

ローソンの元旦休業実験。コンビニだって休みます!

 コンビニ各社の24時間営業見直しが進む中、ローソンは、全国の約100店のFC加盟店で、元日休業の実験を行うと発表しました。ローソンに限らず、1年間に丸1日休める日がないコンビニオーナーが少なくない現状を、最適化によって変えていこうという試みです。
 正月という、平日とも日曜とも異なる特別な消費行動が生まれる日に、店を開けている意味がない店もあるでしょう。例えば、ビジネス街のコンビニは閉めてもいいでしょう。それに対し、明治神宮に近い原宿のコンビニは大晦日からずっと手を休める間もないでしょう。立地や使われ方によって、それぞれの適正に合わせて営業時間を決定するということに異論はないと思います。
 ただ、深夜の営業を止めた店は、昼の来店客も減少するという実験結果があります。閉まっていることで、コンビニとしての信頼感が薄れるという利用者心理が働いているものと思われます。いつでも煌々と光を放ち、元気にウエルカムしてくれるのがコンビニの当たり前。生活者は、閉店している暗いコンビニなど見たことがないのですから。コンビニオーナーとしては、正月に休んだせいで、正月明けの来店客数が減るのではないかという不安があります。
 ローソンの決定を歓迎する生活者の声は大きく、「休ませてあげたい」というやさしい言葉も本部に届いているとか。“コンビニだって休みます!”そんな新たな宣言を大々的にしてはどうでしょうか。

労働力不足が変える働き方と業態の在り方

 学生アルバイトや主婦のパートの労働力に頼って拡大、維持してきた業態が、ここに来てその体制を問われる事態が起こっています。
 例えば、コンビニ。人手不足は時給をアップさせ、利益を圧縮させます。オーナーは自ら店に出て体力と気力の限界まで働くことが常態化。とうとう、セブンイレブンのオーナーは24時間営業を巡って本部と戦い、厳しいながらも一定の条件を基に時短を選択できるところまで改革しました。コンビニのオーナーも、労働力があれば24時間営業を継続したいと思っているはずです。深夜は、商品の棚卸し、商品棚の整理やチェックなど、さまざまな雑業務ができる大切な時間です。この間を休むことは、レジとは別の人手が必要になることを意味しています。営業時間の短縮が、そのまま丸っと人件費の圧縮に繋がるわけではないのです。
 例えば、料理のデリバリー。こちらも、ヒマな時間を使って仕事ができることをウリに、若者を中心とした労働力を集めています。大きな荷物を背負ってレンタル自転車で颯爽と走る若者の姿は、イマドキの働き方を象徴しています。そのひとつがウーバーイーツ。先行する出前館に追い着け追い越せとばかりデリバリーエリアを拡げていて、配達員の確保は焦眉の急です。そんな中、ウーバーイーツと契約している配達員の有志が、労働環境が少しでもよくなるよう活動する労働組合「ウーバーイーツユニオン」を立ち上げました。多くの組合員を募ることで、会社との団体交渉を有利に動かし、労働条件の改善に繋げたいと考えています。一方、ウーバーイーツは、配達員は個人事業主。従業員ではないので、賃金補償や労災保険などは適用されないという見解です。
 無人コンビニに自動走行車。人の労働力をAIに代わらせる技術が急速に進む現実は、労働環境において窮地に追い込まれる立場の人を助けるためなのか、はたまた黙らせるためなのか。答えは、すぐそこに来ています。

11/1 「渋谷スクランブルスクエア」がオープンしました

 先週11月1日金曜日、「渋谷スクランブルスクエア」がオープンしました。食のフロアは、いわゆるデパ地下系の物販が地下2階~1階、レストランフロアは12、13階です。
 前日は、ハロウィン。首都圏放映の情報番組は、渋谷の夜の混乱した映像とペアのように、「渋谷スクランブルスクエア」のオープンを紹介していました。日本初上陸、東京初出店、中食市場初挑戦の店も多く、番組はそれらの店に多くの時間を割いていました。
 今回、地下2階の店舗をお手伝いする機会をいただき、オープン日の午後、ご挨拶に伺いました。混乱を防ぐためか、入り口は1ヵ所に限定されていて、入店するには長蛇の列に並ばなくてはなりません。およそ20~30分かけてやっと入店できました。早速店舗に向かいましたが、通路は人でいっぱい。なかなかお目当ての場所にたどり着けません。店舗では、オープン記念の限定品はもちろん、目ぼしい商品はおおかた完売していました。
 混むと分かっているオープン日。並んでも混み込みの場所に行きたいと思う人がこんなにも多いことに、私は正直驚きます。仕事でなければ、熱も冷めきった頃に行けばいいと思う方です。新しいものへの興味と何かを買いたいと思う欲。そのエネルギーの強さに感服します。
 渋谷はまだまだ開発が進みます。今回開業したのは東館。2027年に、西館と中央棟が開業します。かつての「東急百貨店東横店」は、そこに入るのかもしれません。私は何より、「東横のれん街」が利用しやすい場所に戻って来ることを期待しています。