私は、学生時代の2年間、女子栄養大学の寮で過ごしました。当時、寮は大学の敷地内にあり、ほとんどが4人部屋。2年生の先輩と1年生の後輩が一緒に生活します。人生初の寮生活。思い出は数知れずですが、最も懐かしく思うのは、厨房で調理をしたことです。
学生寮では、調理の先生のご指導の下、当番の学生が朝食と夕食を自分たちで作ります。栄大らしいでしょ。当番は1週間続きます。朝はいつもより早く起き、身支度を整えて厨房へ。寝坊していると放送で呼び出しがかかります。夜遊びに出かけ寮に帰って来ない子がいると、連帯責任で同部屋の子が代わります。冬の早朝は寒くて辛いと思いましたが、厨房のガス台に火が入り、料理ができ上がる頃にはすっかり温かくなっていて、いつまでもここに居たいと思ったものです。
栄大では、もちろん集団給食(大量調理)を学びますが、それより前に寮で実地を体験することになります。大きな回転釜を前に一寸法師よろしく櫂のようなしゃもじで具材をかき混ぜたり、仕上がった料理の重量を図って1人分を算出。整然と並べた100個余りの器に適量を盛り付けたり、大きな水槽に水を張って流れ作業で食器を洗ったり。いずれも家庭ではできない初めての体験。先生におしゃべりを注意されながら、皆で調理をする楽しさは、寮生活ならではです。
現在の寮は、ご時世に合わせてマンションタイプの一人部屋。厨房もありません。寮生はその方がうれしいのでしょうが、私には少し可哀想に思えるのです。
月: 2019年4月
イートイン利用率が高い女性は消費税2%の差も気にする
10月に予定されている消費税10%への引き上げと同時に導入予定の軽減税率。外食の消費税は10%、弁当、惣菜など持ち帰る中食は8%です。店内飲食とテイクアウトの両方を選択できるファストフード店やカフェ、イートインスペースがあるスーパーやコンビニの場合、レジでの混乱が予想されます。
先日、大手コンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会は、「店内で飲食する際は会計時にお申し出下さい」と書かれたポスターを貼ることで、お客様への意思確認をしたとみなすと発表しました。つまり、購入した商品をその場で食べる場合、お客様は、レジで「店内で食べます」と自ら申告し、消費税を2%多く支払うことになります。
「ホットペッパーグルメ外食総研」は、消費税増税および軽減税率適用と食生活の変化について調査しています。飲食時に税率8%と10%の差、2%を「気にする」人は全体で67.4%。若年層ほど「気にする」傾向にあり、最も比率が高いのは20代女性で78.3%でした。一方、全国の20~60代男女1,358人を対象に実施した調査では、コンビニのイートインスペースで飲食をしていると回答した人は全体で7.4%。性別・年代別では、20代女性の利用率が高く15%。男女とも若い世代ほどコンビニのイートインスペースを活用する傾向にあります。
イートインスペースの利用率が高い若い女性ほど、消費税の差2%を気にする―。お客様が申し出ずに店内で飲食した場合、罰則などは想定していないということですが、果たして、彼女たちはどうするのでしょうか。
変わり始めたスーパーの鮮魚売り場
スーパーマーケットの売り場で、長年課題になっているのが、鮮魚売り場とフルーツ売り場。そのひとつ、鮮魚売り場に変革の兆しが見られます。
今年2/6にオープンしたスーパーライフの旗艦店「桜新町店」は、鮮魚売り場に注力。さまざまな新しいチャレンジをしています。特に、簡便調理商品の販売に力を入れていて、例えば、冷凍平ケースには「オールインワンミールキット」コーナーを設置。‟えびとブロッコリーのバジルバターペンネ”‟いかの酢豚風黒酢炒め”など、中に入っているソースをかけて炒めるだけで魚料理ができ上がる冷凍キットが並びます。また、塩麹や西京みそ、無添加みそなどの漬け魚と、ほうれん草、かぼちゃ、ごぼう、トマトといったカゴメの野菜ピューレを組み合わせた、魚と野菜が同時に摂れる、「魚ベジ」シリーズも開発していて、“秋鮭ほうれん草ピューレ漬”‟からすがれいかぼちゃピューレ漬”など12アイテムほどがラインアップされています。さらには、「魚屋さんの手作りおかず」コーナーでは、魚を使った惣菜や漁師メシなどが販売されています。
一方、イオンリテールは、一部店舗で鮮魚売り場の常設コーナー「福島鮮魚便」を展開しています。漁港の競りで仕入れた魚を直送し、専任スタッフを常駐させて販売。丸魚の売り上げを伸ばしています。水産企画部の部長は、「多様な魚種(を扱うこと)で売り場が変化することが支持に繋がっている」と話します。さらに漁協側は「食べ方が分からなければ買っていただけない。店頭で販売のプロが調理の仕方を教えてくれる意義は大きい。それで食卓に魚が並び、おいしさを実感してもらえたらリピートに繋がる」と言います。
この事例、生活者の魚へのニーズをしっかり反映させて、ちゃんと売れば、魚は売れる商品であることを証明しています。
家族連れより若者のグループが目立った平成最後のお花見
3月31日日曜日。桜の名所は、平成最後の花見を楽しむ人々で盛り上がったようです。
私も、今年は久しぶりにお弁当を持って代々木公園にお花見に行きました。前回のコラムでお花見のことを書いたからか、無性に行きたくなったのです。代々木公園は、相変わらずの大盛況。広く伸びた桜の枝の下は、午前10時には既にブルーシートの海。見張り番が一人、時間を持て余している姿があっちにもこっちにも。傍から見ても、これから始まる宴会への期待が高まります。
それから2時間後、大きなシートでは既に宴会が始まっていますし、2-5人の小さなグループも次々にやって来てはシートを拡げます。気付いたことは、20代の若者のグループが増えたこと。10数年前は子ども連れが多かったのに、今は圧倒的に20-30代前半のグループが多く、家族という単位は少数派。自ずと、手作り弁当はわずか。シートの上には、スーパーの惣菜、オードブルの盛り合わせが並びます。若者のグループの中には、スナック菓子だけという人たちも珍しくありません。お酒は、やはりビールやビール系が圧倒的多数。24缶入りのケース持参です。時流なのか、クラフトビールも目立ちました。缶入りチューハイに獺祭などの銘柄酒、ワインにシャンパーニュと多彩です。日本酒の1.8ℓ入り紙パックが以外と目立っていました。
欲しいものがないと言われる成熟市場で、買いたいと思わせるキーワードは“ここだけ、今だけ、あなただけ”だとか。花見はまさに“今だけ、ここだけ、あなただけ(の思い出)”なのでしょう。