最近、都市部では、「UberEats」と書かれた大きな四角い箱を背負って自転車で滑走する若者、「出前館」のマークが付いたバイク、「楽天デリバリー」の自転車が並ぶスペースを、本当によく見掛けるようになりました。
今年10月に導入が予定されている消費税増税、軽減税率適用。それを待たずして、積極的にデリバリー市場に参入を始める飲食店は着実に増えています。理由は、人手不足や食材のコスト高。利益向上のためには、ビジネスチャンスを拡げる必要があります。
関東から始め、関西にも拠点を拡げた「ウーバーイーツ」は昨年11月、営業地域を愛知県名古屋市にも拡大。提携する飲食店は4,000店を超えました。
また「出前館」を運営する「夢の街創造委員会」も、都市圏が中心だった宅配拠点を地方に広げていて、今年8月期末には210拠点と前期末の2.5倍に増やす計画です。「出前館」で注文できる店舗数は1万7,000店を超えていて、「吉野家」「天丼てんや」などファストフードを中心に利用企業が増加。年間アクティブユーザーも269万人と昨年から14%増えています。
さらに同社は新しい取り組みとして、プロバスケットボールのBリーグと提携。今年1月のオールスター戦で会場内にデリバリーシートを設置しました。来場者は観戦しながら「出前館」を使って届いた料理が食べられます。同社は、利用状況を見ながら他のスポーツ会場にもサービスを広げていくといいます。
飲食店とお客様を結ぶデリバリーシステム。お客様がいるところならどこへでも。その場所探しが、すでに始まっています。
月: 2019年1月
増加する単身者。強まる“共食”ニーズ
2035年、日本の15歳以上全人口の5割が独身者になると予想されています。死別、離婚による高齢の単身者、未婚による単身者を合わせると、独身者は約4800万人。高齢者の人口は約3740万人と予想されていますから、独身者の人口が高齢者のそれを上回ることになります。
そんな日本において確実に進んでいるのが、一人で食事をする“孤食化”です。65歳以上を対象にした調査によると、孤食の死亡リスクは、誰かと一緒に食べるのに比べ、男性で1.5倍、女性で1.2倍になったといいます。一緒に食べる人がいればいいのですが、ひとり暮らしではままなりません。そんな中、誰かと一緒に食卓を囲みたいというニーズがますます高まっています。
地域の空きスペースなどを使い、シニア層ら住民同士が食卓を囲む「共食」が広がっています。東京都大田区の商店街では毎週金曜日、「元気かあさんのミマモリ食堂」がオープン。500円程度で食事を提供しています。管理栄養士の指導の下、地元に暮らす70歳前後の女性たちが食事を作ります。この食堂に集まる高齢者の中には、ほぼ毎回通う人もいて、この食堂をきっかけに住民同士の関係性が深まっています。
一方、ネットを使いこなす中高年の間では、見知らぬ人と食事する動きもみられます。「キッチハイク」は、共食を希望する人同士を繋ぐネットサービス。自宅のキッチンと食卓を提供する人、料理をする人、食べる人がネットで繋がり、一緒に食卓を囲みます。集う人は、「どうせ食べるなら誰かと一緒の方がおいしい」「知らない人の方が気を遣わずに話せる」といいます。
食事を共にすることには、栄養バランスを改善する効果もあるといわれ、政府や自治体も「共食」を推奨しています。
おせちは、手作りと惣菜を上手に合わせて
年末のワイドショーは、年末年始に寒波が来ると大騒ぎでしたが、幸いにも関東から関西にかけての太平洋側はそうでもなかったような。日中は日差しも温かく、いつものように、穏やかなお正月だったように思います。
私は今年も、おせち料理を作り、婚家の親族の集まりのための料理を作りと、年末から正月にかけて台所で過ごしました。雑誌「Mart」2月号に、読者を対象に‟おせち料理”について調査した結果があります。それによると、おせち料理を1品でも自分で作る人は56%、そのうち、数品作る人は半数以上でした。作る料理のトップ3は、「紅白なます」(60%)、「煮しめ」(56%)、「きんとん」(47%)。一方、おせち料理を買う場合、「単品のおかずを買う」と答えた人は60%で最多。次いで「買わない」(27%)、「お重のセット物を買う」(13%)でした。買う料理は、「黒豆」(60%)、「数の子」(58%)、「昆布締め」(48%)がベスト3です。
手作りと惣菜を上手に組み合わせて、おせち料理を用意。お正月の気分を食卓で楽しむことに積極的な生活者は、まだまだいます。因みに、私が作るのは、「黒豆・田作り・煮しめ」、買うのは「数の子」です。「Mart」の読者とはやや異なります。年代の差かな?
今年も昨年に引き続き、外食チェーンやスーパーマーケットの多くは元旦を休業しました。年末のスーパーは、お正月の準備と買いだめの客で大賑わいです。2日には買えるのだからと思うのですが、スーパーが開いていないという小さな恐怖心は、まだまだ私の中からも消えません。