ゆっくり、でも確実に拡大するオーガニック食品市場

 米国では、ホールフーズ、トレーダージョーズ、スプラウツなどオーガニックスーパーは馴染みのある存在です。日本でも、米国ほどではありませんが、ナチュラルハウスが国産オーガニック食品の店として35年以上の歴史を刻んでいますし、他にも東京・国立のマザーズや大阪・靭のビオラルなど有機野菜にこだわるスーパーは多く、個店やネットショップなども含めると、オーガニック食品専門店は、決して珍しい存在ではなくなっています。
 通常の野菜より5割ほど高いオーガニック野菜。日本では、なかなか拡がらないのではと思っていました。が、普及のスピードは速くないものの、安全性や環境への意識の高まりで、オーガニック野菜を支持する生活者は確実に増えていると思います。
 早くから、有機野菜に着目していた野菜宅配大手のオイシックス・ラ・大地の3月末時点の宅配定期購入会員数は、16万9000人。計画を上回る数で、3年間で7割伸長しています。同社と提携して専用の売り場を設けるスーパーは全国に約35店。3年間で2倍以上に増えました。
 2年後の東京五輪に向けてインバウンド対応のひとつとして、外食市場においても、オーガニック食材の重要性は高まるものと考えます。
 農林水産省によると、2009年のオーガニック野菜の国内市場規模は、04年比で3.3倍の約1300億円。09年以降、現在まで右肩上がりが続いています。16年末時点の米国の4.7兆円、欧州の3.7兆円には遠く及びませんが、それだけに市場拡大の余地はまだまだあると言えるでしょう。

今年の〆市場はいかに

 今年もいよいよ忘年会の季節。今年の〆市場はどうでしょうか。
 昨年実施されたぐるなびの調査では、“夜の外食の〆のメニューとして思い浮かぶもの”として、デザート・スイーツ類が首位になりました。話題になったのは“〆パフェ”です。10月には東京・渋谷に、北海道発の“〆パフェ”専門店「パフェテリアベル」がオープン。〆に合うようにフルーツとアイスの甘さや酸味を調整した、さっぱりとした味わいのパフェが人気でした。同様に、“さっぱり〆たい”酔客にウケたのが、かき氷。東京・六本木の「yelo」は、朝5時まで営業する店。アルコールを揃えてバーとして運営しているものの、〆のかき氷目当てのお客さんがほとんどだと言います。
 居酒屋チェーン各社も、〆による客単価アップを狙って知恵を絞りました。「養老乃瀧」では、かつてランチ用に販売していた「養老牛丼」を〆メシとして十数年ぶりに復活。一方、「旬鮮酒場天狗」では、深煎りのイタリアンエスプレッソコーヒーを使用したゼリーを、「鳥貴族」は定番のアイスのほか、スペインの揚げ菓子チュロを揃えました。
 飲酒をすると、排尿などで体内の塩分量が低下します。また、アルコールは肝臓で分解され、二日酔いの原因になる猛毒のアセドアルデヒドが発生します。このアセドアルデヒドの分解をスムーズにするために、アラニンやオルニチンといったアミノ酸が必要になります。かつて〆の王道と言われたラーメンには、塩分もこれらのアミノ酸もしっかり入っています。酒を余り飲まない今の若者たちには、そんな体の欲求は起こらないでしょう。〆のバリエーションがスイーツに流れるのも理解できます。

人手不足を追い風に進むキャッシュレス化

 小売りや外食の市場でキャッシュレス化が進んでいます。
 いち早く取り組んだのがコンビニエンスストア。ローソンは春、深夜のレジを無人にする実験をしました。東京都内の数店舗にスマホアプリで決済ができるレジを設置。午前1時から4時までレジを無人にしました。これにより、最大3時間分のレジ作業の労働力を減らせると分析しています。ファミリーマートも経済産業省の指導で、商品に価格情報などを搭載したICタグを貼り付け、客が自分で会計する無人レジの実証実験を同省内の店舗で実施しました。
 外食市場では、ロイヤルホールディングスが10/2、訪日外国人の来店を意識した、現金払い不可の実験店舗「大江戸てんや」を東京・浅草に開きました。この店舗、来店客の約9割が訪日外国人。メニュー数を4種に絞り、決済手段はクレジットカードや「アリペイ」「ウィーチャットペイ」などで、順次増やしていく予定です。プロントコーポレーションも商業施設「二重橋スクエア」に11/8、「プロント」のキャッシュレス1号店をオープン。上層階がオフィスのため交通系カードなど電子マネーを持っている人が多く、受け入れられやすいと判断したそうです。2020年までに30店出店する計画です。
 日本人のキャッシュレス決済比率は2割程度とか。日本では偽札の心配がないこと、貨幣の質がよいのに加え、日本人はお金に対して神聖なものという感覚があり、丁寧に扱うため汚れていません。それが、米国や中国と比べてキャッシュレス化が進まない理由です。ただここに来て、キャッシュレス化がかなりのスピードで進んでいることを感じます。その理由はいう間でもなく、深刻な人手不足です。

健康が心配。草食男子

 草食男子という言葉がマスメディアに初めて登場したのは、2006年。女性に対して淡泊。異性とも肩を並べて草を食べることができる優しい草食動物というイメージから生まれた言葉です。
 最近私が気になるのが、この草食男子です。コンビニエンスストアの調査で、いろいろな場所にある店舗を周りました。その中のひとつが、ビジネス街の店舗。大きなオフィスビルの地下1階、広いイートインスペースが併設されています。昼時、多くのビジネスパーソンがどっと来店します。レジ近くで皆さんが買っているものを拝見すると・・・。
 驚いたことに、男性でボリュームたっぷりの弁当を買っている人はわずか。一番人気は、なんとサラダです。サラダにプラスおにぎりやサンドイッチや具だくさんのスープなどの併せ買い。サンドイッチの中でも、たっぷりの野菜をトルティーヤで巻いたラップサンドが人気でした。
 野菜が足りていない、野菜を食べなくては。男性客のほとんどが、そんな強迫観念にかられているのではないかと思えるような光景でした。まさに草食男子の群れです。デスクワークが中心としても、1日2000kcal程度は必要なのに、足りているのでしょうか。加えて、タンパク質も不足していると思います。もちろん食べ過ぎはいけませんが、20-40代でこのような低栄養の食生活をすると体がそれに慣れてしまい、ますます低燃費になり、太りやすくなるのです。加えて、筋肉量は減り、頭髪にもよくありません。
 朝食と夕食でバランスを取っているのであればいいのですが、行き過ぎたヘルシー志向が返って不健康を誘発しているような気がして、とっても心配になりました。