メタボ(メタボリックシンドローム)という言葉がすっかり定着。男性もお腹回りを気にするようになり、ご飯の量を減らしたり、コンビニでサラダを求めたり、ジョギングをしてみたり。ここ10年で年代性別問わず、ヘルシー志向が一気に高まったと思います。
そんな中、「大人の食育」が注目されています。ひとり暮らしを始める若者、外食が多い中年男性、ダイエットに熱中しやすい女性、ひとり暮らしで栄養不足になりがちな高齢者など、それぞれの年代や生活状況に即した食事の摂り方を会得することは、とても大切だと思います。加齢に伴い、基礎代謝も消化機能も低下します。また女性は更年期を境に血圧が上がったり、骨がもろくなったり、気を付けなくてはならないことが多くなります。
企業活動としては、カゴメが“出張食育講座”を開催。今秋から事業化しました。またキユーピーは介護施設で食育イベントを行い、野菜に雑穀などを組み合わせた“ベジボウル”を提案しています。
米国NYには、大人向けの食育教室を開催しているレストランがあります。オーナーシェフの“健康な食習慣を伝えたい”という思いから始まったもので、シェフがカウンターで食材の効能や調理法をレクチャーしながら3コースの料理を作り、目の前の客に提供します。テーマは、‟発酵食品”や‟だし”、‟きのこ料理”など。例えばきのこ料理なら、しめじを使って菌類の効果やうま味について説明。みそやしょうゆ、いぶりがっこといった日本の食材も多く登場するといいます。こちらは、“大人の”というより、“大人っぽい食育”ですね。
月: 2018年10月
日本とはちょっとだけ違う東南アジアのおにぎり
行楽、遠足、運動会と、おにぎりを食べる機会が多い秋。新米で作る塩むすびは、まさに秋のごちそうです。そんなおにぎりは今、海外でも人気者です。ニューヨークやパリ、ロンドンやベルリンなど、おにぎり屋さんは世界中に拡がっています。近年は、コンビニの進出で東南アジアでもポピュラーな存在になっています。もともと米食文化を持つ国々ですから、馴染みやすいのだと思いますが、逆に米食文化があるからこそ、日本のままのおにぎりでは・・・という側面もあるようです。
例えば、東南アジアの国々では、チキンライスやガパオライスのように具とご飯を混ぜ合わせながら食べる習慣があるため、一口目からご飯と具が一緒に口に入るよう、おにぎりの上に中具がトッピングされています。加えて海苔で真っ黒な見た目もウケないようで、彩りを添えるという意味でもトッピングは不可欠のようです。
また東南アジアの人が好きなのは、サラサラとした長粒米ですが、日本のジャポニカ米のように粘りがないので、にぎるのが難しいのです。そのため、ジャポニカ米を固めに炊くなどの工夫もしています。
因みにベトナムには、ご飯をぎゅっと押し寿司のように固めてカットした「COM NAM(コムナム)」で具材をはさんで食べる料理があります。ライスサンドのようなものです。ところがベトナム人にとってコムナムは戦時中の貧しいイメージがあるようで、当初、おにぎりに良くないイメージを持っていた人も多かったようです。
ドンキは新しいスーパーのカタチを創れるのか
ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)は、総合スーパーユニーの全株式(60%)をドンキホーテHDに売却。これによりユニーは、ドンキホーテHDの完全子会社になりました。
両者は、昨年8月に業務提携を結び、11月にドンキホーテHDはユニーに40%出資したばかり。1年を経たずして100%株主となったわけです。実際、出資後のドンキの行動は早かった。3カ月後には、ユニーが展開する総合スーパー「アピタ」や「ピアゴ」の中から、売り上げが不振だった6店舗を一気に業態転換。「MEGAドン・キホーテUNY」としてリニューアルオープンさせ、売り上げを1.9倍に伸ばしたと言います。ドンキはまた、都内のファミリーマート3店舗で実験的に共同運営を始めていて、こちらも売り上げは、従来と比べて1.25倍のペースが続いているようです。
ドンキと言えば、通路にまではみ出し、天井まで積み上げられた陳列手法。どこに何があるのか分からないことが却って、こんな所にこんなものがという驚きに変わるワクワク感が魅力です。安売り価格のPOPもドカーンと大きく、多くのスーパーの整然とした店内とは印象が異なります。商品構成や価格設定は本部ではなく各店舗が地域に合わせて決定。PB偏重ではなく、その時々で売れそうな仕入れ品を多数揃えて“編集”することを重視している点も、利益の集約と効率化を優先させるスーパーの施策とは逆行します。
ドンキのユニークな戦法がユニーを復活させるだけでなく、不振に悩むスーパー業界全体の変革にまで繋がっていくのか、これからが楽しみです。
消費税10%まで1年。軽減税率でなくなる“イートイン”
来年10月に予定されている消費税10%への引き上げを前に、4日、コンビニエンスストア業界が、客が持ち帰ることを前提に、酒類を除いた飲食料品全てを軽減税率の対象品にすることで、政府と調整に入っていると伝えられました。対外食戦略で拡大路線を続けて来たイートインコーナーについては休憩施設とみなし、「飲食禁止」の貼紙などで対応すると言います。
コンビニのこの対応策に、軽減税率対象外の外食業界からは批判の声が上がるでしょう。税額2%の差がある上に、“休憩施設”で食事をさせないことの徹底がどれほどなされるのかは、疑問です。因みに、持ち帰れば8%、店内で食べれば10%の線引きが必要なファストフード店では、持ち帰る予定だったのが、会計後、店内で飲食することになった場合、またその逆の場合、お客様の申し出があれば、2%をいただいたり、返したりの対応を検討しているようです。
3年前、スーパーマ―ケットはこぞってイートインコーナーを開設。店内で購入した惣菜を食べるお客様が増えました。ならばもっと居心地を良くしようと、店側は、テーブルを拭いたり、食べ終わった惣菜の容器を片付けたりするスタッフを常駐させ、焼き立てピザを皿に盛り付け、ワインをグラスで販売するなど、サービスを強化しました。が、これでは外食扱いになってしまうのではという懸念が。消費税10%導入を前に、せっかく始めたサービスを続けるべきかやめるべきか悩んでいたことを思い出します。
さて今回は待ったなしの様相。スーパーは、イートインコーナーの扱いをどうするのでしょうか。
男だって甘いもので癒されたい。増えるスイーツ男子
お菓子やケーキが大好きなスイーツ男子が増えているようです。マーケティング会社マーシュが5月に実施した調査によると、会社で仕事中や休憩中にお菓子を「毎日」または「よく食べる」男性はそれぞれ25%と23%で、合計すると半数近くに上ります。
私が、甘いもの好きな男性が目立ち始めたなと思ったのは、2005年、夜の西麻布でのこと。お酒を飲んでいたと思われる男性たちが、ホブソンズ(アイスクリームショップ)の前でアイスを食べている光景をよく見掛けるようになったことがきっかけでした。“お酒の〆が、ラーメンからアイスに変わった!” と思った瞬間です。この年、森永乳業から「MEN’S バニラ」が発売されました。またグリコ乳業(当時)からは10-20代の男性をターゲットにした「とろーりクリームonプリン」が発売されています。この商品、開発のきっかけは“ビッグサイズ”の「プッチンプリ」です。元々は、お腹が空いた女子高校生向けにと開発されたのですが、ボリュームがあっていいと、夜のコンビニで男性を中心に売れました。ならば、男性が好むプリンを作ろうということで調査したところ、男性は、こってりとした甘さが好きということが判明。“量と味にこだわるメンズプリン”として、「とろ~りクリームonプリン」ができたそうです。その後、男のチョコレート、男のゼリーなど、男性をターゲットにしたスイーツ商品がたくさん発売されました。
およそ半世紀前、「男は黙ってサッポロビール」というテレビCM がありました。男のやせ我慢を美学としてとらえていたと思います。が、時代は徐々に、男性にやせ我慢を求めなくなりました。“男だって癒されたい。酒ではなくスイーツで”。潜在的ニーズが顕著になったのが、2005年だったのかもしれません。